無人航空機操縦士の難易度|一等は正答率90%が必要【70%で合格は誤り】

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「無人航空機操縦士って、どのくらい難しいんですか」

講習の申込前に、いちばん多く聞かれる質問です。

ネットで調べると「合格率○%」という数字がたくさん出てきます。ただ、その数字の出どころを確かめると、ほとんどが行き止まりになります。

この記事では、公表されている事実と、出典が確認できない話を分けて整理します。

最初に一番大事なこと一等学科試験の合格に最低限必要な正答率は、指定試験機関の公式サイトに「90%程度」と明記されています。「70%取れれば合格」と書いている解説を見かけますが、公式の記載とは一致しません。

合格ラインは公表されている

まず、確実な数字から。指定試験機関(一般財団法人日本海事協会)が公式サイトで公表しているものです。

学科試験

  一等 二等
形式 三肢択一式 70問 三肢択一式 50問
試験時間 75分 30分
必要な正答率 90%程度 80%程度
1問あたりの時間 約64秒 約36秒
合格証明番号の有効期間 2年 2年

正答率90%は、70問なら63問正解が必要という水準です。国家資格の学科試験としてはかなり高い部類に入ります。

そして見落とされがちなのが二等の試験時間です。50問を30分。1問あたり36秒しかありません。

二等の本当の難所は時間二等は合格ラインが80%と一等より低いのに、1問あたりの時間は一等の半分近くです。迷ったら終わります。「考えれば分かる」レベルの理解では間に合わず、見た瞬間に答えが出る状態まで持っていく必要があります。

実地試験

  一等 二等
採点方式 100点の持ち点からの減点式
合格ライン 80点以上 70点以上
減点できる余地 20点 30点
構成 机上試験・口述試験・実技試験

ここで重要なのは、「各試験科目終了時に」その点数を確保している必要がある、という点です。全体の合計ではありません。科目ごとに持ち点が管理されるので、どこか1科目で崩れると、他が良くても取り返せません。

出典上記2つの表は、指定試験機関である一般財団法人日本海事協会の試験案内サイト(学科試験実地試験)の記載に基づきます。

「合格率○%」の数字には出典がありません

ここは正直に書きます。

私が調べた範囲では、指定試験機関も国土交通省も、受験者数・合格者数の集計を公表していません。

「一等の学科は60〜70%台」「二等は80%超」といった数字がネット上に流通していますが、一次資料にたどり着けませんでした。実際にそのくらいなのかもしれませんし、違うかもしれません。分からない、というのが正確な答えです。

そして、仮に合格率が分かったとしても、受験者を選んで比べているわけではないので、あなたが受かるかどうかの参考にはなりません。

合格率より、合格ラインを見てください合格率は「他の受験者がどうだったか」の話です。合格ラインは「自分が何点取ればいいか」の話です。準備の役に立つのは後者だけです。

難易度は「ルート」で変わります

ここが、難易度を調べている人にいちばん知ってほしい部分です。

技能証明の取り方には2つのルートがあり、受ける試験の数が違います。

  登録講習機関ルート 直接受験ルート
学科試験(CBT) 必要 必要
実地試験(指定試験機関) 免除 必要
代わりに必要なもの 講習の受講+修了審査
身体検査 必要 必要
費用 高い 安い
難易度の体感 下がりやすい 上がりやすい

登録講習機関で講習を受け、修了審査に合格すれば、指定試験機関での実地試験は免除されます。一等・二等ともに同じです。

修了審査も新規取得時の実地試験と同等の内容なので、審査そのものが甘いわけではありません。違うのは、そこに至るまでに練習と指導があるかどうかです。


制度側にある、もう一つの難所

試験の中身とは別に、直接受験ルートを選ぶ人が必ずぶつかる壁があります。

指定試験機関の公式サイトには、こう書かれています。

現在予約が大変取りづらくなっており、手数料をお支払いいただいてもご希望の日程の予約が取れないことがあります

実地試験のマルチローター(基本・夜間・目視外)は集合試験方式で、会場と日程が限られます。ヘリコプター・飛行機・25kg以上は出張試験方式なので、機体も場所も自分で用意し、日程を調整する必要があります。

「安く取れるから直接受験にしよう」と決めた人が、実際には半年動けない、ということが起こります。これは技術の難易度ではなく、段取りの難易度です。でも受験する側にとっては同じ壁です。


一等と二等、どちらが難しいか

数字上は一等が明確に上です。ただ、それだけでは判断を誤ります。

観点 一等が難しい理由 二等が難しい理由
学科 正答率90%程度。出題範囲にカテゴリーⅢのリスク評価が加わる 1問36秒。知識の定着が浅いと時間切れ
実地 合格ライン80点。減点の余地が20点しかない 合格ライン70点で余地は30点
その他 身体検査が厳しくなる場合がある(25kg以上に対応する場合)。登録免許税も必要

一等の学科では、二等にない「カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価」が範囲に入ります。ここは暗記ではなく考え方の理解が要る部分で、独学でつまずきやすい箇所です。

迷っているなら一等が必要なのは、立入管理措置を講じずに第三者上空を飛ばす場合(カテゴリーⅢ飛行)です。現在の業務でそこまで必要ないなら、二等で足ります。難易度で選ぶのではなく、やりたい飛行から逆算してください。

一等無人航空機操縦士でできること・できないこと
二等無人航空機操縦士でできること・できないこと


2026年7月14日から、学科試験の内容が変わりました

難易度を調べているなら、ここは必ず押さえてください。

学科試験は国土交通省の「無人航空機の飛行の安全に関する教則」に準拠します。この教則が第5版になり、2026年7月14日から学科試験に適用されています。

古い教材や、それ以前に書かれた対策記事のままだと、範囲がずれます。学習を始める前に、手元の教材が第5版に対応しているか確認してください。

ドローン教則 第5版の変更点|覚え直すのは3つだけ


難易度を下げる方法

試験の難易度は変えられませんが、自分の側の条件は変えられます。

  • 教則第5版に対応した教材で学習する
  • 学科は「考えれば分かる」ではなく「見た瞬間に答えが出る」まで反復する
  • 模試を本番と同じ時間制限で解き、時間切れを先に経験しておく
  • 実地は登録講習機関ルートを選び、練習と指導の時間を確保する
  • 直接受験を選ぶなら、予約が取りにくい前提でスケジュールを組む
  • 学科合格証明番号の有効期間は2年。実地までの計画を先に立てる
まず自分の位置を測る教則第5版の改正点から20問を無料で公開しています。全問解説つきなので、いま自分がどのくらい取れるかを測るところから始めてください。
【無料】教則第5版 改正点チェック20問
【無料】一等学科 模試70問75分 第1回
【無料】二等学科 模試50問30分 第1回

よくある誤解の整理

誤解 実際
一等の学科は70%で合格 公式サイトの記載は「90%程度」
合格率は公表されている 受験者数・合格者数の集計は確認できない
二等は簡単だから時間は余る 1問36秒。時間切れが起こりやすい
実地は合計点で判定される 各試験科目終了時に持ち点を確保する必要がある
スクールに通えば実地試験も受ける 修了審査に合格すれば実地試験は免除
直接受験なら安くて早い 安いが、予約が取りにくい

まとめ

難易度を数字で言うなら、こうなります。

  • 一等学科:正答率90%程度/70問75分
  • 二等学科:正答率80%程度/50問30分
  • 一等実地:100点満点の減点式で80点以上
  • 二等実地:同じく70点以上

合格率は分かりません。ただ、合格ラインが分かっていれば準備はできます。

修了審査を担当していて思うのは、落ちる人と受かる人の差は才能ではなく、準備の具体性だということです。「だいたい分かった」で止めた人が落ち、「この場面でこう動く」まで落とし込んだ人が受かります。

ドローン修了審査で落ちる理由|審査員が見る減点票の中身

ご注意本記事は指定試験機関(一般財団法人日本海事協会)の試験案内サイト、および国土交通省の公表資料に基づく解説です。合格基準は問題改定に伴い統計的に調整される旨が公式に示されています。制度・基準は変更されることがありますので、受験前に必ず指定試験機関の最新情報をご確認ください。

登録講習機関講師・修了審査員 フライトデスク 監修

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