一等無人航空機操縦士 基本修了審査 完全攻略【2026年6月版】

一等無人航空機操縦士 基本修了審査 完全攻略 アイキャッチ ドローン国家資格

ドローンの国家資格でいちばん上の「一等無人航空機操縦士」。

その実技の関門が、登録講習機関の「修了審査」です。

修了審査に合格すれば、指定試験機関の実地試験が免除されます。

つまり、ここが一等取得の最大の山場です。

この記事は、その修了審査(基本)を一本で攻略しきるための決定版です。

机上・口述・実技の全工程を、減点の境目まで踏み込んで解説します。

実技は科目ごとに「どこで減点されるか」を厚めに書きました。

なお内容は2026年6月5日施行の実地試験実施細則(改正版)に対応しています。

※この記事は審査の流れと要点の解説です。机上・口述で使われる試験問題そのものは掲載していません。


まず結論:基本修了審査の基本データ

迷ったらここだけ覚えてください。

項目 内容
対象 一等・基本(回転翼マルチローター)
採点方式 100点持ち点からの減点式
合格基準 80点以上(各試験科目の終了時点)
実技科目 高度変化スクエア/ピルエットホバリング/緊急着陸を伴う8の字
机上審査 5問・各5点・10分
口述審査 飛行前点検・飛行後点検・記録・事故/重大インシデント
準拠する細則 実地試験実施細則(2026年6月5日施行)
準拠する教則 飛行の安全に関する教則 第4版

二等の合格ラインは70点。

一等は80点です。

同じ持ち点100点でも、一等のほうが落とせる幅が狭くなります。


1. 修了審査とは何か

修了審査は、登録講習機関が自校の受講者に対して行う最終試験です。

これに受かると、指定試験機関で受ける実地試験が「免除」されます。

学科試験と身体検査は別途必要ですが、実技の山場はこの修了審査です。

審査は机上・口述・実技をすべて同じ日に完結させます。

2026年6月5日の改正で、この「同日完了」が明文化されました。

2. 当日の流れ(全体像)

進行の順番は決まっています。

まず全体像を頭に入れてください。

  1. 冒頭宣言 … 試験員が一発不合格の条件を告げます。
  2. 机上審査 … 飛行シナリオを読んでリスクを判断します。
  3. 口述(飛行前点検) … 機体を声に出して点検します。
  4. 実技審査 … 3科目を飛ばします。
  5. 口述(飛行後点検・飛行記録) … 点検と記録の記入を口述します。
  6. 口述(事故・重大インシデント) … 知識を問われます。

この6ステップが基本の構成です。

どこか一つでも大きく崩すと、点が一気に削られます。

3. 合格基準と採点のしくみ

ここを理解しないと対策の優先順位を間違えます。

採点は「100点の持ち点から引いていく」減点方式です。

一等は80点以上で合格です。(二等は70点以上)

つまり、許される減点は20点まで。

5点減点が4回でアウト、という感覚を持ってください。

減点の3段階

減点は大きく3つに分かれます。

一発不合格(即終了)

航空法等の違反、危険な飛行、墜落・損傷・制御不能、不合格区画への進入、制限時間超過、試験員の操作介入、不正行為。

5点減点

飛行経路の逸脱、指示と異なる飛行、離着陸不良、監視不足、安全確認不足。

1点減点

ふらつき、動きの不円滑、機首方向の不良。

「指示と明らかに異なる高度で飛ぶ」も2026年改正で5点減点に明記されました。

区画の考え方

コースには2種類の「枠」があります。

減点区画 … 飛行経路から1.5m離れたライン。ここに機体が半分以上入ると5点減点。

不合格区画 … 経路から2.5m離れたライン。ここに機体が半分以上入ると一発不合格。

ただし減点区画には、救済があります。

ポイントは「飛行区画(区間)ごとに、初回の進入だけ」が対象という点です。

各区間で最初に入ったときは、試験員から進入の通知を受けたあと、おおむね2秒以内に経路へ戻れば減点なし。

全体で1回きりの救済ではありません。区間が変われば、また初回の救済が使えます。

この「概ね2秒以内」も2026年改正で明確化された数字です。

4. 机上試験の攻略

一等の机上は 5問・各5点・制限時間10分 です。

飛行シナリオ・地図・機体諸元・気象がセットで提示されます。

そこから「この飛行に潜むリスク」を選択式で答えます。

一等は複合的なリスクを問われます。

たとえば、高層ビル群でのGNSS(GPS)の乱れ。

ビルの間を抜ける突風(ビル風)。

地表150m以上の高度規制。

ジオフェンスの設定。

こうした要素が重なった状況で、何が一番危ないかを見抜く力が問われます。

試験問題そのものは持出厳禁の管理物です。この記事では具体的な問題文や正答は載せません。代わりに「どう考えるか」の型をお伝えします。

攻略の型

まず気象(特に風速)を機体の限界値と比較する。

次に地形・障害物から電波と風の乱れを想像する。

最後に高度・空域の規制に触れていないか確認する。

この順で読めば、見落としは大きく減ります。

5. 口述(飛行前点検)の攻略

制限時間:飛行空域等の確認 3分/作動前点検+作動点検 あわせて12分

ここは満点を取りに行く場所です。

飛行前点検は、実技で飛ばす機体を、点検項目に沿って声に出して確認します。

知識ではなく「漏らさず言えるか」の勝負です。

飛行前点検の減点表

細則の減点細目を、そのまま並べます。

減点細目 減点 内容
点検漏れ 10点 実技に必要な点検を一つでも行わなかったとき
日常点検記録の記載漏れ・誤り 5点 様式の記載項目を一つでも書かない、または誤り
日常点検記録の軽微な誤り 1点 記入方法に従わず、点検日時・場所等を誤記
航空法等の違反 不合格 アルコール・薬物の影響、機体の未登録、登録記号の未表示、必要な許可承認・技能証明/機体認証なし
危険な操作 不合格 安全を確保せず推進系統を作動させて点検した、など
不正行為 不合格 助言・補助を受けた、円滑な実施を妨げた

点検漏れの10点が、いちばん重い。

1つの取りこぼしで、合格ラインがぐっと遠のきます。

知っておきたい3つのルール

① 複数ミスでも「いちばん重い1つだけ」

飛行前点検のなかで複数の減点に該当しても、適用されるのは最も高い減点1つだけです(細則1-5)。

たとえば点検漏れ(10点)と軽微な誤り(1点)が同時に起きても、引かれるのは10点だけ。

ただし「10点で済むなら気楽」ではなく、1つ漏らした時点で10点が確定という意味です。

② 制限時間を過ぎたら「やらなかった」扱い

制限時間内に点検・記録を終えないと、未回答・点検漏れ・記録漏れとして扱われます(細則1-6)。

黙り込んで時間を溶かすのが、いちばん危険です。

③ 受験者に起因しない事由は減点しない

機材側の不具合など、受験者のせいでない事項は減点対象外です(細則1-3)。

点検は「順番を体で覚える」

日常点検記録の様式は、確認する部位が決まっています。

機体全般・プロペラ・フレーム・通信系・推進系・電源系。

自動制御・操縦装置・バッテリー・機体識別表示。

リモートID・灯火・カメラ。

この流れを、よどみなく言い切れるまで反復してください。

記入面では、登録記号の記載忘れが定番のミスです。

部位の点検に集中するあまり、欄が抜けがちです。意識して先に埋めましょう。

時間を先取りするコツ

最後に行う飛行後点検・飛行記録は、あわせて5分と時間がかなり短い。

そこで飛行前のこの段階で、実施場所・実施年月日・実施者まで記載しておくと、後半に余裕が生まれます。

※先に記入してよいかは、試験員に必ず確認してください。

「非該当」の言い方を間違えない

基本飛行では、灯火とカメラは使いません。

ここで黙って飛ばすと、点検漏れに取られます。

正解は、「非該当です」と口に出し、備考にも記載すること。

これで減点はゼロになります。

ちなみに私自身も受けましたが、ここは知っているかどうかだけの差でした。

6. 実技の攻略(一等基本の3科目)

ここが本記事の核心です。

一等基本の実技は3科目。

そして一等の最大の特徴は、3科目すべてをGNSS OFF(位置安定機能オフ・ATTI)で飛ばすことです。

GNSSもビジョンセンサーも切るので、機体は自分で止まってくれません。

風に流される機体を、自分のスティック操作だけで止め続ける技術が要ります。

二等が「正常時はGNSS ON・異常時だけGNSS OFF」なのに対し、一等は最初から最後までGNSS OFF。

ここが、二等を取った人でも一等で苦戦する最大の理由です。

3科目共通の「型」

科目ごとに動きは違いますが、入りの手順は共通です。

どの科目も、機首を前方に向けて離陸 → 規定の高度まで上昇 → 5秒間ホバリングから始まります。

この最初の5秒ホバリングが、地味に効きます。

ここで機体を落ち着かせられないと、そのあとの動作すべてが乱れます。

離陸直後にあわてて動き出さず、まず「5秒、ピタッと止める」を体に入れてください。

飛行区域は21m×13m。

その中で、経路から1.5mの減点ライン、2.5mの不合格ラインを意識し続けます。

では、科目ごとに見ていきます。


6-1. 高度変化を伴うスクエア飛行

GNSS OFF/高度 1.5m⇄3.5m/制限6分

四角形(スクエア)の経路を、高度を変えながら一周する科目です。

コースの点配置(上から見た図)。

長方形の四隅と、下辺の中央に目印があります。

  • H:離着陸地点(中央)。ここで離陸・着陸します。
  • A:下辺の中央(Hのすぐ手前)。スクエアの出入口です。
  • B:右下の角(高度1.5m)
  • C:右上の角(高度3.5m)
  • D:左上の角(高度3.5m)
  • E:左下の角(高度1.5m)
高度変化を伴うスクエア飛行の飛行経路(上から見た図)
上から見た飛行経路図。斜線部のうち経路から1.5m外側が減点区画、さらに2.5m外側が不合格区画です。太い矢印が進行方向(H→A→B→C→D→E→A→H)。右辺B→Cで上昇、左辺D→Eで下降します。

移動順。

H(離陸)→ A → B → C → D → E → A → H(着陸)の順でまわります。

具体的には、こう動きます。

  1. Hで離陸し、高度1.5mまで上昇して5秒間ホバリング
  2. Aへ出て、そこからB(右下)へ。
  3. B→C(右辺を上昇)。ここで1.5m→3.5mへ高度変化
  4. C→D(上辺を移動。高度3.5mのまま)。
  5. D→E(左辺を下降)。ここで3.5m→1.5mへ高度変化
  6. E→A(下辺を戻る)。
  7. A→Hへ戻って着陸。

機首は常に進行方向に向けたまま動かします。

高度が変わるのは、上昇のB→Cと下降のD→Eの2区間だけ。残りは高度一定です。

狙われる減点ポイント。

経路逸脱5点。コーナーで外にふくらむと、減点区画の1.5mラインに触れます。

高度変化のラフさ5点相当。指示と明らかに異なる高度で飛ぶと取られます。

機首方向不良1点。進行方向に機首を向け続けられないと引かれます。

ふらつき・不円滑各1点。GNSS OFFゆえの細かい揺れも積み重なります。

ここで差がつくアドバイス

コーナーは「手前で減速」。突っ込んでから止めようとすると必ずふくらみます。

止めてから次へ。角で一拍おく意識を持つと、経路が安定します。

高度変化の区間(B–C間・E–D間)は止まらない

「移動しながら高度を変える」のが指示内容です。ここで止まって高さを作ってから進むと、「指示と異なる飛行」または「高度を一定の割合でなく急に変化させた」として5点減点になります。

コツは、区間の始まりから終わりまで、進む距離に対して高度を均等に配り、一定の割合で上げ(下げ)ながら移動すること。

スティックを一気に倒さず、水平移動とそろえてなめらかに変化させましょう。

そして当日いちばん最初に、風向きを確認する。風上区間と風下区間で当て舵が逆になります。


6-2. ピルエットホバリング

GNSS OFF/高度 3.5m/1回転 約20秒/制限3分

その場で機体を360度回しながら、位置を保ち続ける科目です。

3科目のなかで、最も合否を分けると考えてください。

ピルエットホバリングの飛行領域(上から見た図)
上から見た飛行領域図。中央Hの離着陸場を中心に、半径1.5mまでが安全域、半径1.5〜2.5mの斜線帯が減点区画、半径2.5mより外側が不合格区画です。移動せず、Hの真上でその場旋回(ピルエット)します(回転方向は試験員の指示で左右どちらもあり)。

この科目だけは、ABCDEのような移動はありません。

離陸地点の1点(真上)で完結します。位置を変えず、その場で回すだけです。

移動順(手順)。

  1. 離陸地点で離陸し、高度3.5mまで上昇して5秒間ホバリング
  2. 離陸地点の真上で、試験員が指示する方向(右回り/左回り)に、20秒間程度で一回転する速度で回す。
  3. 一回転したら、その場へ降りて着陸。

移動がないぶん、「位置を動かさないこと」だけに集中できる科目です。

時間の縛りが明確です

1回転が16秒未満、または26秒以上で5点減点。速すぎても遅すぎても引かれます。20秒前後を体に入れておきましょう。

狙われる減点ポイント。

回転中の位置ずれ(経路逸脱5点)。機首が回ると、当て舵の方向感覚が入れ替わって流されます。

回転速度のムラ。一定ペースを保てないと、時間判定にも引っかかります。

高度の沈み込み。回しながら高度を保つのが難しく、3.5mが下がりがちです。

ここで差がつくアドバイス

機首が回ると、「前」と思っている方向が実際とずれます。機体の向きではなく、地面の景色を基準に位置を見ます。

特に機首が自分(受験者)を向く瞬間は、左右の当て舵が逆に感じます。ここで逆に切って流す人が多いです。

対策はシンプルで、「直す」より「崩さない」。大きく当てず、小刻みな修正で中心に留めます。

回転は等速を最優先。頭の中で「いち、に、さん…」と秒を数えると、速度ムラも時間オーバーも防げます。

練習では、地面に基準点を置き、その真上から機体を動かさない訓練を反復すると効きます。

私の体感でも、合否を一番分けたのはこの科目でした。


6-3. 緊急着陸を伴う8の字飛行

GNSS OFF/円直径 約5m/1周以上/制限5分

8の字を描いたあと、途中で発生する緊急事態に対応して着陸する科目です。

2026年6月の改正で、緊急着陸の手順が変わりました。ここは新ルールなので特に注意です。

緊急着陸を伴う8の字飛行の飛行経路(上から見た図)
上から見た飛行経路図。直径約5mの円を左右に2つ並べて8の字を描き、交点のHが離着陸地点です。経路から1.5mまでが安全域、1.5〜2.5mの斜線帯が減点区画、2.5mより外が不合格区画(緊急着陸時は減点区画が無効)。緊急事態の宣言後はその場でホバリングし、指示が出たら赤矢印のようにHへ移動して着陸します。

左右にならんだ2つの円で、8の字を描きます(円の直径はそれぞれ約5m)。

2つの円が交わる中央が離着陸地点(H)です。8の字の交点=Hを毎周通ります。

緊急着陸する着陸地点は、ホームポイント(H)に指定されます。

移動順(手順)。

  1. Hで離陸し、高度1.5mまで上昇して5秒間ホバリング
  2. 機首を進行方向に向けたまま、8の字を1周以上、連続して飛ぶ(中央Hを通って左右の円を交互に描く。回り出す向きは試験員の指示に従う)。
  3. 飛行中、試験員から緊急事態発生の宣言が入る。
  4. 宣言があり次第、8の字を中断し、その場でホバリング
  5. 続いて試験員から緊急着陸の口頭指示
  6. 指示が出たら、高度を維持したまま最短経路で指定の着陸地点へ移動。
  7. 着陸地点で着陸

ポイントは、宣言が出てすぐ降ろさないこと。いったん止まって、着陸指示を待ちます。

狙われる減点ポイント。

8の字の形が崩れる。円の中心を含まずに回ると不合格です。中心を意識して円を描く必要があります。

周回数の不足。1周以上が必須です。

緊急着陸での遠回り。最短経路でないと減点対象になります。

減点区画の適用が、フェーズで変わる(重要)

8の字飛行中〜緊急着陸の指示までは、不合格区画(2.5m)と減点区画(1.5m)が適用されます。

ところが、緊急着陸の指示が出たあとの移動中は、減点区画(1.5m)が適用されません(不合格区画は適用)。

つまり緊急着陸の移動は、内側の減点区画が無効になっているので安心して着陸地点まで直進して問題ないということです。

ここで差がつくアドバイス

8の字は「2つの円」を別物として意識し、交点(中心付近)を毎回ていねいに通します。

円を小さくしすぎない。小さいほど中心を外しやすく、不合格リスクが上がります。

緊急の宣言が来たら、まず止める。着陸指示を待たずにあわてて移動を始めるのが、改正後のいちばんの失点です。

ホバリングで機体を安定させてから、指示を聞いて動く。この順番を体に刻んでおきましょう。


実技全体を貫く3つのコツ

最後に、3科目すべてに効く考え方です。

① 「止める技術」がすべて。
GNSS OFFの機体は、放っておけば必ず流れます。操作していない時間こそ、当て舵で止め続ける。

② 当日の最初に風を読む。
風向き・風速で、当て舵の方向と量が全部変わります。各科目開始前に必ず確認する。

③ 安全確認を声と動作で示す。
監視不足・安全確認不足はそれぞれ5点減点です。周囲を見る、確認したと伝える——黙ってやらない。

技術はもちろん大切ですが、この3つを外さないだけで、防げる減点はかなり減ります。

7. 口述(飛行後点検・飛行記録)の攻略

制限時間:飛行後点検+飛行後の記録 あわせて5分

飛行のあとにも口述があります。

ここも取りこぼしやすい場所です。

飛行後の「機体の点検」と「飛行記録の記入」の2つを確認されます。

「あわせて5分」は、やってみるとかなり短い時間です。

鍵は、飛行後点検の流れを考えずに行えるか。次の順番を体に入れておきます。

  1. 機体の電源OFF → 操縦装置の電源OFF
  2. 機器の取り付け状況の確認
  3. プロペラ・フレーム・識別表示の外観点検
  4. 発熱・ゴミの付着の確認

日常点検記録への記載は、異常なしならチェック一つで済むので心配いりません。

飛行後点検・記録の減点表

減点細目 減点 内容
飛行記録の記載漏れ・誤り 10点 飛行日誌の様式で、記載項目を一つでも書かない/飛行時間の計算に誤り
点検漏れ 5点 飛行後の状態確認に必要な点検を一つでも行わなかった
日常点検記録の記載漏れ・誤り 5点 様式の記載項目を一つでも書かない、または誤り
飛行記録の軽微な誤り 1点 飛行年月日・離着陸場所等の誤記
日常点検記録の軽微な誤り 1点 点検日時・場所等の誤記
不正行為 不合格 助言・補助を受けた、円滑な実施を妨げた

いちばん重いのは、飛行記録のミスの10点です。

点検(5点)より記録(10点)のほうが重い、と覚えてください。

ここが要注意:減点が「2グループ別々」に効く

飛行前点検と違い、飛行後はまとめて最高1つではありません。

細則は、減点を2つのグループに分けています。

グループA(点検系) … 点検漏れ・日常点検記録の記載漏れ/誤り・その軽微な誤り。複数でも最高1つだけ適用(細則3-5)。

グループB(記録系) … 飛行記録の記載漏れ/誤り・その軽微な誤り。複数でも最高1つだけ適用(細則3-6)。

ポイントは、AとBは別カウントだということ。

点検でミス+記録でもミス=最大15点

5点+10点で最大15点まで引かれ得ます。ここは「片方だけ気をつければいい」と誤解しやすい所です。

記録で間違えやすい点

飛行記録の年月日は西暦で記入します。

和暦で書くと誤りに取られます。

飛行時間・総飛行時間・離着陸の場所と時刻も埋めます。

特に飛行時間の計算ミスは「記載漏れ・誤り」と同じ10点になるので、検算しましょう。

安全に影響した事項の欄も忘れずに。

なお、飛行前点検ですでに減点された記載ミスは、飛行後で二重に減点されません(細則の注)。

「書く項目を一つも飛ばさない・計算を間違えない」だけで10点を守れます。

飛行記録は「1フライト」にまとめられる

審査中にバッテリーの交換がなければ、1フライトとして数えてよいことになっています。

その場合、記入は登録記号・飛行年月日・氏名・飛行概要「一等基本」で足ります。

離陸場所は迷わないよう、事前にしっかり確認しておきましょう。

飛行時間は試験員から提供されますが、複数バッテリーのフライトに分かれた場合は、総飛行時間の計算を間違えないこと。

※この扱いが認められるかは、試験員に必ず確認してください。

8. 口述(事故・重大インシデント)の攻略

最後は知識の口述です。

基本の科目にだけ含まれます。

構成は2つの設問です。

設問1:事故・重大インシデントの説明(3分)。事故または重大インシデントに関する設問。

設問2:発生時の処置の説明(3分・1問)。事故等が起きたときの適切な処置を答えます。

減点はシンプル

場面 減点
回答に抜け・誤りがあった 5点
制限時間内に答えなかった(未回答) 5点

実技のような細かい段階はなく、間違い・未回答はどちらも5点です。

逆に言えば、知識で答え切れば確実に守れる場所です。

押さえる知識

設問1は「事故」と「重大インシデント」の区別。

事故の定義。無人航空機の飛行で、次のいずれかに当たる事態です。

  • 無人航空機による人の死傷(重傷以上)。重傷は治療に30日以上を要するもの。操縦者・運航関係者を含み、悪天候など外的要因によるものも対象。
  • 第三者が所有する物件の損壊。瓦のひび割れなど軽度の破損も含む。
  • 航空機との衝突または接触

重大インシデントの定義。事故には至らないが、事故が発生するおそれがあったと認められる事態で、次のいずれかです。

  • 無人航空機による人の負傷(軽傷)。治療30日未満のもの。
  • 無人航空機の制御が不能となった事態(機体の不具合による通信障害・想定外のバッテリー切れ・機能不良など。操縦ミスは該当しない)。
  • 無人航空機が飛行中に発火した事態(モーター等が稼働中のもの。保管中の発火は対象外)。
  • 航空機との衝突または接触のおそれがあったと認めたとき。

設問2はケース問題。

たとえば、人が負傷した/火災が起きたのに飛行を続けている状況。

直後の措置を2つ。飛行の中止と、救護または消火。

その後の措置を1つ。国土交通大臣への報告(DIPS等で行う)。

この型で答えれば外しません。

9. 2026年6月5日改正で変わった点

直近で審査を受ける人が必ず押さえるべき変更点です。

知らないと当日とまどいます。

受験者補助員の制度が新設されました。直近2年で6か月以上、かつ50時間以上の飛行実績がある人が要件です。この制度を利用するシーンが正直想像つきません。また受験者補助員が操作に介入した際の扱いについては公式な見解が書かれていないので、分かり次第お知らせいたします。

保護具の着用が義務化されました。ヘルメットや保護メガネを着けます。以前からほとんどの登録講習機関でヘルメットは着用していたと思いますが、今回の改正で義務化され、あわせて保護メガネの着用も義務化されました。この保護メガネの要件に眼鏡は含まれませんので、眼鏡の上に保護メガネを装着することになります。意外と気になる点なので、修了審査前に慣れておくのも良いと思います。

試験の同日完了が明文化されました。

緊急着陸が2段階手順に変わりました(第6-3章のとおり)。

経路逸脱の復帰が「速やかに」から「おおむね2秒以内」に明確化されました。逸脱の通知は試験員が行います。

8の字・円周の不合格基準が明確化されました。円の中心を含まずに周回すると不合格です。

風速の基準が「以下」から「未満」に変わりました。

減点の適用基準も整理され、複数の減点が同時に起きたときは最も重い減点だけを適用することが明記されました。

10. 当日チェックリスト

最後に、忘れがちな項目をまとめます。

  • 風向き・風速を最初に確認したか
  • 点検は声に出し、灯火・カメラは「非該当です」と言ったか
  • ATTIで「止める」意識を保てているか
  • ピルエットは20秒前後を守れているか(16秒未満・26秒以上で減点)
  • 8の字は円の中心を含めて回っているか
  • 緊急着陸はホバリングで安定→最短経路の順を守ったか
  • 飛行記録の年月日は西暦か、記入漏れはないか
  • 保護具を着用したか

20点しか余裕はありません。

一つひとつの減点を「知っているだけで防げるミス」から潰していきましょう。

11. さいごに——登録講習機関の講師から

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

修了審査の現場で受講生を見てきて、いつも感じることがあります。

受かる人と、惜しくも届かない人。その差は才能ではありません。

「止める」「声に出す」「あわてない」——この3つを、本番でどれだけ“いつもどおり”出せるか。ほぼ、それだけです。

緊張すれば誰でも手は震えます。だからこそ、練習では“考えなくても体が動く”ところまで持っていってください。

ATTIのスティックも、点検の口述も、繰り返した人が最後に強い。技術は裏切りません。

そして、机上と口述は絶対に落とさないこと。ここは知っているかどうかだけの勝負で、実技と違って覚えた分がそのまま点になります。満点で通過して、実技に余裕を持って臨みましょう。

そして当日は、完璧を狙わないこと。20点の余裕は、ミスを取り返すためではなく、落ち着くためにあります。

一科目崩れても、次で立て直せば受かります。一発不合格の項目だけは、絶対にやらない。それを守れば道は残ります。

ここまで準備してきたあなたなら、大丈夫です。

当日は、深呼吸をひとつ。いつもの飛行を、いつもどおりに。

あなたの合格を、心から応援しています。


参考(公式情報)

※本記事は2026年6月5日施行の実地試験実施細則および教則第4版に基づきます。制度・基準は改正されることがあるため、受験前に必ず所属の登録講習機関と公式サイトで最新情報をご確認ください。机上・口述で使われる試験問題そのものは、取扱いの定めにより本記事には掲載していません。

最終更新:2026年6月

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