小型無人機等飛行禁止法をやさしく読む(第1回)|第1〜9条 何が対象で、どこが禁止になるのか【全文+講師の解説】

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今回から2回に分けて、小型無人機等飛行禁止法を全文で読みます。教則の連載(第11回)でも触れた法律ですが、あちらは教則が書いている範囲だけでした。今回は法律そのものを、条文のまま載せます。

先にお伝えしておきたいことが1つあります。この法律には、重さの規定が1文字もありません。「100グラム」も「重量」も出てきません。私が全文を機械で検索して確かめました。つまり——手のひらサイズのトイドローンでも、まったく同じように規制の対象です。

航空法は100グラム以上が対象でした。だから「うちの機体は100グラム未満だから関係ない」と考えてしまう方がいます。この法律に関しては、それが通りません。そこが、この法律をわざわざ読む価値のあるところだと思っています。

小型無人機等飛行禁止法 第1条〜第9条(全文)

出典:e-Gov法令検索「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」(平成28年法律第9号)。法令には著作権がありません(著作権法第13条第1号)ので、条文をそのまま掲載しています。読みやすさのため、項番号・号番号の体裁だけ整えています。2026年9月時点の現行版で、令和8年の改正(対象区域おおむね1,000メートル・拘禁刑への変更など)が反映されたものです。

第一条 (目的)

この法律は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等、防衛関係施設、空港及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止することにより、これらの重要施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等、良好な国際関係、我が国を防衛するための基盤並びに国民生活及び経済活動の基盤の維持並びに公共の安全の確保に資することを目的とする。

第二条 (定義)

この法律において「対象施設」とは、次に掲げる施設をいう。

  • 一国の重要な施設等として次に掲げる施設
    • イ国会議事堂、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百三十二条の二に規定する議員会館並びに衆議院議長及び参議院議長の公邸その他国会に置かれる機関(国会に置かれる機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第百五号)第一条第二項に規定する国会に置かれる機関をいう。)の庁舎(国家機関がその事務を処理するために使用する建築物(専ら公園の管理事務所として使用されるものを除く。)をいう。ハ及びニにおいて同じ。)であって東京都千代田区永田町一丁目又は二丁目に所在するもの
    • ロ内閣総理大臣官邸並びに内閣総理大臣及び内閣官房長官の公邸
    • ハロに掲げるもののほか、対象危機管理行政機関(危機管理(国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止をいう。以下このハにおいて同じ。)に関する機能を担う国の行政機関であって政令で定めるものをいう。以下同じ。)の庁舎であって当該対象危機管理行政機関の担う危機管理に関する機能を維持するため特に必要なものとして政令で定めるもの
    • ニ最高裁判所の庁舎であって東京都千代田区隼町に所在するもの
    • ホ皇居及び御所であって東京都港区元赤坂二丁目に所在するもの
    • ヘ第三条の二第一項の規定により対象特別要人所在施設として指定された施設
    • ト第四条第一項の規定により対象政党事務所として指定された施設
  • 二第五条第一項の規定により対象外国公館等として指定された施設
  • 三第六条第一項の規定により対象防衛関係施設として指定された施設
  • 四第七条第一項の規定により対象空港として指定された施設
  • 五第八条第一項の規定により対象原子力事業所として指定された施設

2この法律において「対象施設周辺地域」とは、前項第一号イからホまでに掲げる対象施設については次条第二項の規定により指定された地域をいい、同号ヘに掲げる対象施設については第三条の二第二項の規定により指定された地域をいい、同号トに掲げる対象施設については第四条第二項の規定により指定された地域をいい、前項第二号に掲げる対象施設については第五条第二項の規定により指定された地域をいい、前項第三号に掲げる対象施設については第六条第二項の規定により指定された地域をいい、前項第四号に掲げる対象施設については第七条第二項の規定により指定された地域をいい、前項第五号に掲げる対象施設については第八条第二項の規定により指定された地域をいう。

3この法律において「小型無人機」とは、飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるものをいう。

4この法律において「特定航空用機器」とは、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第一項に規定する航空機以外の航空の用に供することができる機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの(高度又は進路を容易に変更することができるものとして国家公安委員会規則で定めるものに限る。)をいう。

5この法律において「小型無人機等の飛行」とは、次に掲げる行為をいう。

  • 一小型無人機を飛行させること。
  • 二特定航空用機器を用いて人が飛行すること。

第三条 (国の所有又は管理に属する対象施設の敷地等の指定)

次の各号に掲げる者は、当該各号に定める対象施設の敷地(一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう。以下同じ。)又は区域を指定しなければならない。

  • 一衆議院議長及び参議院議長 その所管に属する前条第一項第一号イに掲げる対象施設の敷地(国会議事堂の敷地にあっては、その所管に属する部分に限る。)
  • 二内閣総理大臣 前条第一項第一号ロに掲げる対象施設の敷地及び同号ホに掲げる対象施設の区域(一般の利用に供される区域を除く。)
  • 三対象危機管理行政機関の長 前条第一項第一号ハに掲げる対象施設の敷地
  • 四最高裁判所長官 前条第一項第一号ニに掲げる対象施設の敷地

2前項各号に掲げる者は、同項の規定により同項各号に定める対象施設の敷地又は区域を指定するときは、当該対象施設の敷地又は区域及びその周囲おおむね千メートルの地域を、当該対象施設に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3第一項各号に掲げる者は、同項の規定により同項各号に定める対象施設の敷地又は区域を指定し、及び前項の規定により当該対象施設に係る対象施設周辺地域を指定しようとするときは、あらかじめ、警察庁長官(当該対象施設周辺地域が海域(海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)第二十八条の二第一項の離島を含む。以下同じ。)を含む場合にあっては、警察庁長官及び海上保安庁長官。第四条第三項、第五条第四項、第六条第三項、第七条第三項、第十条第三項ただし書及び第十一条第四項において同じ。)と協議しなければならない。

4第一項各号に掲げる者は、同項各号に定める対象施設の敷地又は区域及び当該対象施設に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨並びに当該対象施設の敷地又は区域及び当該対象施設に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

5対象危機管理行政機関の長は、当該対象危機管理行政機関に係る対象施設が対象施設でなくなったときは、直ちに当該対象危機管理行政機関に係る対象施設の敷地及び当該対象施設に係る対象施設周辺地域の指定を解除しなければならない。

6対象危機管理行政機関の長は、当該対象危機管理行政機関に係る対象施設の敷地及び当該対象施設に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない。

第三条の二 (対象特別要人所在施設の指定等)

警察庁長官は、天皇又は内閣総理大臣の所在する施設(第二条第一項第一号ロ及びホに掲げる対象施設を除く。)のうち、第一条の目的に照らしその施設に対する小型無人機等の飛行による危険を未然に防止することが必要であると認めるものを、対象特別要人所在施設として指定することができる。 この場合において、警察庁長官は、併せて当該対象特別要人所在施設の敷地又は区域を指定するものとする。

2警察庁長官は、前項の規定により対象特別要人所在施設及び当該対象特別要人所在施設の敷地又は区域を指定するときは、当該対象特別要人所在施設の敷地又は区域及びその周囲おおむね千メートルの地域を、当該対象特別要人所在施設に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3警察庁長官は、第一項の規定により対象特別要人所在施設及び当該対象特別要人所在施設の敷地又は区域を指定し、並びに前項の規定により当該対象特別要人所在施設に係る対象施設周辺地域を指定するときは、期間を定めて指定するものとする。 この場合において、当該期間は、天皇又は内閣総理大臣の安全を確保するために必要な期間を定めるものとする。

4警察庁長官は、第一項の規定により対象特別要人所在施設及び当該対象特別要人所在施設の敷地又は区域を指定し、並びに第二項の規定により当該対象特別要人所在施設に係る対象施設周辺地域を指定しようとする場合であって、当該対象施設周辺地域が海域を含むときは、あらかじめ、海上保安庁長官と協議しなければならない。

5警察庁長官は、対象特別要人所在施設及び当該対象特別要人所在施設の敷地又は区域並びに当該対象特別要人所在施設に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨及び期間並びに当該対象特別要人所在施設の名称、所在地及び敷地又は区域並びに当該対象特別要人所在施設に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

6警察庁長官は、対象特別要人所在施設及び当該対象特別要人所在施設の敷地又は区域並びに当該対象特別要人所在施設に係る対象施設周辺地域についてその指定の必要がなくなったと認めるときは、直ちに当該指定を解除しなければならない。

7第四項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

8警察庁長官は、対象特別要人所在施設及び当該対象特別要人所在施設の敷地又は区域並びに当該対象特別要人所在施設に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない。

第四条 (対象政党事務所の指定等)

総務大臣は、衆議院議員又は参議院議員が所属している政党(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により政党である旨を総務大臣に届け出たものに限る。第五項及び第六項において同じ。)の要請があったときは、その主たる事務所を対象政党事務所として指定するものとする。 この場合において、総務大臣は、併せて当該対象政党事務所の敷地を指定するものとする。

2総務大臣は、前項の規定により対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地を指定するときは、当該対象政党事務所の敷地及びその周囲おおむね千メートルの地域を、当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3総務大臣は、第一項の規定により対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地を指定し、並びに前項の規定により当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域を指定しようとするときは、あらかじめ、警察庁長官と協議しなければならない。

4総務大臣は、対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨並びに当該対象政党事務所の名称、所在地及び敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

5第一項の規定によりその主たる事務所が対象政党事務所として指定された政党(次項において「対象政党」という。)は、第一項の規定により指定された対象政党事務所が衆議院議員又は参議院議員が所属している政党の主たる事務所でなくなったときは、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。

6総務大臣は、対象政党から当該対象政党に係る対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域の指定の解除の要請があったとき又は第一項の規定により指定された対象政党事務所が衆議院議員若しくは参議院議員が所属している政党の主たる事務所でなくなったときは、直ちに当該対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域の指定を解除しなければならない。

7総務大臣は、対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない。

第五条 (対象外国公館等の指定等)

外務大臣は、次に掲げる施設のうち、第一条の目的に照らしその施設に対する小型無人機等の飛行による危険を未然に防止することが必要であると認めるものを、対象外国公館等として指定することができる。 この場合において、外務大臣は、併せて当該対象外国公館等の敷地又は区域を指定するものとする。

  • 一外交関係に関するウィーン条約第一条(i)に規定する使節団の公館、領事関係に関するウィーン条約第一条1(j)に規定する領事機関の公館及び条約において不可侵とされる外国政府又は国際機関の事務所
  • 二別表に定める外国要人の所在する施設
  • 三国際会議(別表に定める外国要人が参加するものに限る。)の準備又は運営のために使用される会議場施設その他の施設

2外務大臣は、前項の規定により対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域を指定するときは、当該対象外国公館等の敷地又は区域及びその周囲おおむね千メートルの地域を、当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3外務大臣は、第一項の規定により対象外国公館等として同項第二号又は第三号に掲げる施設を指定し、及び当該施設に係る対象外国公館等の敷地又は区域を指定し、並びに前項の規定により当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を指定するときは、期間を定めて指定するものとする。 この場合において、当該期間は、第一項第二号に掲げる施設にあっては当該外国要人の安全を確保するために必要な期間を、同項第三号に掲げる施設にあっては当該国際会議の円滑な準備又は運営のために必要な期間を定めるものとする。

4外務大臣は、第一項の規定により対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域を指定し、並びに第二項の規定により当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を指定しようとするときは、あらかじめ、警察庁長官と協議しなければならない。

5外務大臣は、対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨(対象外国公館等として第一項第二号又は第三号に掲げる施設及び当該施設に係る対象外国公館等の敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を指定するときは、その旨及び期間)並びに当該対象外国公館等の名称、所在地及び敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

6外務大臣は、対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域についてその指定の必要がなくなったと認めるときは、直ちに当該指定を解除しなければならない。

7第四項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

8外務大臣は、対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない。

第六条 (対象防衛関係施設の指定等)

防衛大臣は、自衛隊の施設並びに日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条第一項の施設及び区域のうち、第一条の目的に照らしその施設に対する小型無人機等の飛行による危険を未然に防止することが必要であると認めるものを、対象防衛関係施設として指定することができる。 この場合において、防衛大臣は、併せて当該対象防衛関係施設の敷地又は区域を指定するものとする。

2防衛大臣は、前項の規定により対象防衛関係施設及び当該対象防衛関係施設の敷地又は区域を指定するときは、当該対象防衛関係施設の敷地又は区域及びその周囲おおむね千メートルの地域を、当該対象防衛関係施設に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3防衛大臣は、第一項の規定により対象防衛関係施設及び当該対象防衛関係施設の敷地又は区域を指定し、並びに前項の規定により当該対象防衛関係施設に係る対象施設周辺地域を指定しようとするときは、あらかじめ、警察庁長官と協議しなければならない。

4防衛大臣は、対象防衛関係施設及び当該対象防衛関係施設の敷地又は区域並びに当該対象防衛関係施設に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨並びに当該対象防衛関係施設の名称、所在地及び敷地又は区域並びに当該対象防衛関係施設に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

5防衛大臣は、対象防衛関係施設及び当該対象防衛関係施設の敷地又は区域並びに当該対象防衛関係施設に係る対象施設周辺地域についてその指定の必要がなくなったと認めるときは、直ちに当該指定を解除しなければならない。

6第三項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

7防衛大臣は、対象防衛関係施設及び当該対象防衛関係施設の敷地又は区域並びに当該対象防衛関係施設に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない。

第七条 (対象空港の指定等)

国土交通大臣は、空港法(昭和三十一年法律第八十号)第二条に規定する空港のうち、第一条の目的に照らしその施設に対する小型無人機等の飛行による危険を未然に防止することが必要であると認めるものを、対象空港として指定することができる。 この場合において、国土交通大臣は、併せて当該対象空港の敷地又は区域を指定するものとする。

2国土交通大臣は、前項の規定により対象空港及び当該対象空港の敷地又は区域を指定するときは、当該対象空港の敷地又は区域及びその周囲おおむね千メートルの地域を、当該対象空港に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3国土交通大臣は、第一項の規定により対象空港及び当該対象空港の敷地又は区域を指定し、並びに前項の規定により当該対象空港に係る対象施設周辺地域を指定しようとするときは、あらかじめ、警察庁長官と協議しなければならない。

4国土交通大臣は、対象空港及び当該対象空港の敷地又は区域並びに当該対象空港に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨並びに当該対象空港の名称、所在地及び敷地又は区域並びに当該対象空港に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

5国土交通大臣は、対象空港及び当該対象空港の敷地又は区域並びに当該対象空港に係る対象施設周辺地域についてその指定の必要がなくなったと認めるときは、直ちに当該指定を解除しなければならない。

6第三項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

7国土交通大臣は、対象空港及び当該対象空港の敷地又は区域並びに当該対象空港に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない。

第八条 (対象原子力事業所の指定等)

国家公安委員会は、原子力事業所であってテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。以下この項において同じ。)の対象となるおそれがあり、かつ、その施設に対してテロリズムが行われた場合に、広域にわたり、国民の生命及び身体に甚大な被害を及ぼすおそれのあるものとして政令で定めるもののうち、第一条の目的に照らしその施設に対する小型無人機等の飛行による危険を未然に防止することが必要であると認めるものを、対象原子力事業所として指定することができる。 この場合において、国家公安委員会は、併せて当該対象原子力事業所の敷地又は区域を指定するものとする。

2国家公安委員会は、前項の規定により対象原子力事業所及び当該対象原子力事業所の敷地又は区域を指定するときは、当該対象原子力事業所の敷地又は区域及びその周囲おおむね千メートルの地域を、当該対象原子力事業所に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3国家公安委員会は、第一項の規定により対象原子力事業所及び当該対象原子力事業所の敷地又は区域を指定し、並びに前項の規定により当該対象原子力事業所に係る対象施設周辺地域を指定しようとする場合であって、当該対象施設周辺地域が海域を含むときは、あらかじめ、海上保安庁長官と協議しなければならない。

4国家公安委員会は、対象原子力事業所及び当該対象原子力事業所の敷地又は区域並びに当該対象原子力事業所に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨並びに当該対象原子力事業所の名称、所在地及び敷地又は区域並びに当該対象原子力事業所に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

5国家公安委員会は、対象原子力事業所及び当該対象原子力事業所の敷地又は区域並びに当該対象原子力事業所に係る対象施設周辺地域についてその指定の必要がなくなったと認めるときは、直ちに当該指定を解除しなければならない。

6第三項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

7国家公安委員会は、対象原子力事業所及び当該対象原子力事業所の敷地又は区域並びに当該対象原子力事業所に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない。

第九条 (対象施設等の周知)

国は、対象施設、対象施設の指定敷地等(第三条第一項、第三条の二第一項、第四条第一項、第五条第一項、第六条第一項、第七条第一項又は前条第一項の規定により指定された敷地及び区域をいう。以下同じ。)及び対象施設周辺地域を国民に周知するため、対象施設、対象施設の指定敷地等及び対象施設周辺地域に関する地図を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表するものとする。

ここからは私の解説です

この法律がいちばん言いたいこと

ひとことで言うと、「大事な施設の上は、とにかく飛ばすな」です。

航空法は「安全に飛ばすためのルール」でした。高さ、場所、方法を決めて、条件を満たせば許可を取って飛ばせます。ところがこの法律は違います。許可の仕組みがありません。対象になった施設の周りは、原則として飛ばせない。それだけです。

第1条(目的)に、その理由がはっきり書かれています。

これらの重要施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等、良好な国際関係、我が国を防衛するための基盤並びに国民生活及び経済活動の基盤の維持並びに公共の安全の確保に資すること

「危険を未然に防止」——事故が起きてからでは遅い、という考え方です。だから条件付きで許すのではなく、はじめから禁止する。航空法とは発想がまったく違うことを、最初に押さえておいてください。

★重さの規定が、1文字もありません

ここがこの法律のいちばんの特徴です。第2条第3項の「小型無人機」の定義を、そのまま読んでみます。

この法律において「小型無人機」とは、飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるものをいう。

重さの話が、どこにも出てきません。条件は2つだけです。

条件 意味
構造上人が乗ることができない 人が乗れないもの
遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができる プロポで飛ばす、またはプログラムで自動で飛ぶ

念のため、法律の全文(14,687字)を機械で検索してみました。「百グラム」は0件、「重さ」も0件。「グラム」でヒットするのは「プログラム」の一部だけです。

ですので、航空法との違いはこうなります。

対象になるもの
航空法 機体本体とバッテリーの合計が100グラム以上。100グラム未満は「模型航空機」で無人航空機ではない
この法律 重さは無関係。人が乗れず、遠隔操作か自動操縦で飛ぶものはすべて

お子さんのおもちゃのドローンでも、国会議事堂の周りで飛ばせば同じように違反になります。ここは本当に間違えやすいところです。

もう1つ、人が乗るものも対象です

見落とされがちですが、この法律は「小型無人機等」という名前です。この「等」に、もう1つが入っています。第2条第4項です。

この法律において「特定航空用機器」とは、航空法第二条第一項に規定する航空機以外の航空の用に供することができる機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの(高度又は進路を容易に変更することができるものとして国家公安委員会規則で定めるものに限る。)をいう。

人が飛ぶもの——パラグライダー、ハンググライダー、気球といったものです。そして第2条第5項で、この2つをまとめて「小型無人機等の飛行」と定義しています。

「小型無人機等の飛行」とは 中身
一 小型無人機を飛行させること
二 特定航空用機器を用いて人が飛行すること

つまりこの法律は、ドローンだけの法律ではありません。名前に「小型無人機」とあるので誤解されやすいのですが、人が飛ぶものも同じ土俵に乗っています。

対象になる施設は、大きく5種類

第2条第1項が、対象施設を5つに分けています。ただし1号の中がさらに7つに分かれているので、実際はもっと細かいです。

号 対象施設
一 国の重要な施設等(イ〜トの7つ。下の表で)
二 対象外国公館等
三 対象防衛関係施設
四 対象空港
五 対象原子力事業所

1号の「国の重要な施設等」は、こう分かれています。

記号 施設
イ 国会議事堂、議員会館、衆参議長公邸など(永田町一丁目・二丁目にあるもの)
ロ 内閣総理大臣官邸、内閣総理大臣・内閣官房長官の公邸
ハ 危機管理を担う行政機関の庁舎(政令で定めるもの)
ニ 最高裁判所の庁舎(隼町にあるもの)
ホ 皇居及び御所(元赤坂二丁目にあるもの)
ヘ 対象特別要人所在施設(第3条の2で指定)
ト 対象政党事務所(第4条で指定)

面白いのは、イ・ニ・ホは住所で特定されていることです。「永田町一丁目又は二丁目」「隼町」「元赤坂二丁目」。条文に地名が書いてあるのは珍しいのですが、それだけ対象を動かさない、という意思の表れだと読めます。

指定するのは誰か——施設ごとに違います

ここは条文を並べて初めて見えるところです。誰が指定するかが、施設によって全部違います。

指定する人 何を指定するか
衆参議長・内閣総理大臣ほか 第3条:国の所有・管理に属する対象施設の敷地等
警察庁長官 第3条の2:対象特別要人所在施設(天皇又は内閣総理大臣の所在する施設)
総務大臣 第4条:対象政党事務所
外務大臣 第5条:対象外国公館等
防衛大臣 第6条:対象防衛関係施設(自衛隊施設・在日米軍の施設及び区域)
国土交通大臣 第7条:対象空港
国家公安委員会 第8条:対象原子力事業所

所管する役所がそれぞれ指定する仕組みです。ドローンの法律なのに、国土交通大臣が出てくるのは空港だけ——航空法の感覚でいると意外に思えるところです。

教則の言い方と、条文の言葉が違います

ここは気づいたので書いておきます。教則第5版は、令和8年の改正で追加されたものをこう説明しています。

天皇又は内閣総理大臣の所在する施設であって、国内要人が出席する行事会場等

ところが条文に「行事」という言葉はありません。第3条の2は、こう書いています。

警察庁長官は、天皇又は内閣総理大臣の所在する施設(第二条第一項第一号ロ及びホに掲げる対象施設を除く。)のうち、第一条の目的に照らしその施設に対する小型無人機等の飛行による危険を未然に防止することが必要であると認めるものを、対象特別要人所在施設として指定することができる。

条文の仕組みは「警察庁長官が、必要と認めた施設を指定する」です。行事があるかどうかで自動的に決まるのではなく、指定という行為があって初めて対象になる。教則の説明は運用のイメージを伝えるものだと読むのが正確だと思います。

そして括弧書きにも注目してください。「ロ及びホに掲げる対象施設を除く」——総理大臣官邸(ロ)と皇居・御所(ホ)は、もともと対象なので除く、ということです。条文は重複しないように作られている——こういう読み方ができると、法令はぐっと分かりやすくなります。

周囲は「おおむね1,000メートル」——ここが令和8年に変わりました

第3条から第8条まで、7つの条すべてに同じ文言が入っています。

当該対象施設の敷地又は区域及びその周囲おおむね千メートルの地域を、当該対象施設に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

おおむね1,000メートル。令和8年の改正前はおおむね300メートルでした。3倍以上に広がっています。教則第5版の変更点の1つとして挙げられているところです。

ここで用語を整理しておきます。混同しやすいので。

用語 何を指すか
対象施設 守られる施設そのもの
指定敷地等 その施設の敷地・区域(第3条などで指定)
対象施設周辺地域 敷地等+その周囲おおむね1,000メートル

第2回で読む罰則が、この2つで重さが変わります(敷地の上空か、周辺地域か)。今は「内側と外側で扱いが違う」とだけ覚えておいてください。

どこが対象かは「告示」で決まる——そして国には周知の義務があります

条文を読んでいて何度も出てくるのが「官報で告示」です。第1回の範囲だけで14回出てきます。指定するとき、変更するとき、解除するとき。そのたびに官報で告示する決まりです。

とはいえ、官報を毎日見ている方はいないと思います。そこで効いてくるのが第9条です。

国は、対象施設、対象施設の指定敷地等及び対象施設周辺地域を国民に周知するため、対象施設、対象施設の指定敷地等及び対象施設周辺地域に関する地図を作成し、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。

国が地図を作って、インターネットで公表しなければならない。これは義務です(「しなければならない」)。飛ばす前に確認できる場所が、法律で用意されているということです。

実務で言えば、飛行の前にこの地図を見るのがいちばん確実です。警察庁のウェブサイトに掲載されています。対象施設は指定によって増えたり減ったりしますので、「前に見たときは大丈夫だった」は根拠になりません。

この回のまとめ

  • 正式名称は「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」(平成28年法律第9号)
  • 航空法が「条件付きで許す」法律なのに対し、こちらは「はじめから禁止する」法律。許可の仕組みがない
  • ★重さの規定が1文字もない。100グラム未満のトイドローンも対象
  • 「小型無人機」=人が乗れない+遠隔操作か自動操縦で飛ぶもの
  • 「小型無人機等」の「等」=特定航空用機器(人が乗って飛ぶもの)も対象
  • 対象施設は5種類(国の重要な施設等/外国公館等/防衛関係施設/空港/原子力事業所)。1号はさらにイ〜トの7つ
  • イ・ニ・ホは住所で特定(永田町一丁目二丁目/隼町/元赤坂二丁目)
  • 指定する人は施設ごとに違う(警察庁長官・総務大臣・外務大臣・防衛大臣・国土交通大臣・国家公安委員会)
  • 周辺地域=敷地等+その周囲おおむね1,000メートル(令和8年の改正前は300メートル)
  • 指定は官報で告示。加えて国は地図を作りインターネットで公表する義務がある(第9条)

おわりに

第1回は「何が対象で、どこが飛行禁止になるのか」までを読みました。まだ「飛ばしてはいけない」という条文そのものは出てきていません。それは第10条です。

第2回では、第10条(飛行の禁止)・第11条(警察官等の措置)・第13条と第14条(罰則)を読みます。とくに第11条は3,000字あって、この法律でいちばん長い条文です。警察官が何をできるのか——機器を壊すことまで書いてあります——が、そこに書かれています。教則がほとんど触れていないところですので、読む価値があると思います。

出典

  • e-Gov法令検索「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」(平成28年法律第9号)2026年9月時点の現行版
  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用(3.2.1 の記述との対比)

本記事の内容は2026年9月時点のものです。対象施設は指定・解除によって変わります。実際に飛行させる前は、警察庁が公表している対象施設の地図で必ずご確認ください。法令には著作権がありません(著作権法第13条第1号)ので、条文はそのまま掲載しています。


登録講習機関講師 フライトデスク 監修

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