はじめてドローンを買う前に知っておくこと

ドローンの規制まるわかりガイド2026 国内規制

「ドローンを買おう」と決めて、機体の比較から始めていませんか。

実は、機体選びの前に知っておかないと後悔することが、日本のドローン制度にはいくつもあります。買ってから「登録が必要だったの?」「家の庭では飛ばせないの?」と気づく人が、本当に多いのです。

この記事では、登録講習機関で講師をしている筆者が、はじめての1台を買う前に知っておかなければならないことを、手続きから飛ばせる場所、電波のルール、資格、罰則まで一気に整理します。

買う前に押さえる3つのポイント

先に結論です。買う前に知っておくべきことは、大きく次の3つに整理できます。

1. どの機体を買うかで、手続きも合法性も変わる。境目は重量100gと、技適マークの有無です。

2. 買っても、どこでも自由に飛ばせるわけではない。飛ばせる場所と飛ばし方が法律で決まっています。

3. 資格がなくても買えるし飛ばせる。ただし高度な飛行には資格・許可・義務が付いてくる。

この3つの中心にあるのが「航空法」です。順番に見ていきます。

その機体、100g以上?未満?──買う前に一番大事な分かれ目

最初に確認してほしいのが、買おうとしている機体の重量です。

重量100g以上のドローンは、飛ばす前に国への機体登録が義務です。この「重量」は機体本体とバッテリーの合計で、プロペラガードなど取り外し可能な付属品は含みません。登録はオンラインの「DIPS2.0」で行い、発行された登録記号を機体に表示します。登録の有効期間は3年で、期限が来たら更新します(機体登録の更新手順はこちら)。

登録記号の表示に加えて、機体の識別情報を電波で発信する「リモートID」機能の搭載も原則必要です。そこで買う前に確認したいのが、リモートIDが内蔵された機体かどうか。リモートIDには内蔵型と外付型があり、内蔵していない機体では外付けのリモートID機器を別途購入して搭載する必要があり、その分の出費と手間がかかります。製品仕様の「リモートID対応(内蔵)」の表記を確認してから選びましょう。

なお、長さ30m以内の紐などで係留して飛ばす場合や、あらかじめ国に届け出た特定区域内で必要な措置を講じて飛ばす場合など、リモートIDの搭載が免除される例外もあります。また、リモートIDが発信するのは機体の製造番号・登録記号や位置・速度などの情報で、所有者の氏名などの情報は含まれません。

登録せずに飛ばすと、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金の対象です。「買ったその日に公園で試し飛ばし」は、登録を済ませていなければ違法になりえます。

では100g未満のトイドローンなら完全に自由かというと、そうでもありません。機体登録は不要ですが、後述する小型無人機等飛行禁止法などのルールは、重さに関係なく適用されます。

技適マークは付いているか──海外通販の最大の罠

もう一つ、機体選びで最重要と言っていいのが「技適マーク」です。

ドローンは操縦や映像の伝送に電波を使います。日本国内で電波を発射する機器は、電波法の技術基準に合致していることが必要です。Wi-Fiなど2.4GHz帯を使う一般的なドローンが免許・資格なしで使えるのは、「技術基準適合証明等(技適マーク)を受けた機体であること」が条件です。技適のない機体を国内で飛ばすと、電波を発射した時点で電波法違反に問われるおそれがあります。

そして、ここが罠です。技適のない機体でも、販売すること自体への罰則はありません。海外通販などでは、技適のない機体が普通に売られています。「日本で買えるのだから使ってよい」は通用せず、違反に問われるのは売った側ではなく、飛ばしたあなたです。買う前に、製品ページや機体本体で技適マークの有無を必ず確認してください。

また、海外向けのFPVドローンに多い5GHz帯の映像伝送は、技適とは別に、アマチュア無線技士の資格とアマチュア無線局の免許が必要になります。アマチュア無線は金銭上の利益を目的としない通信のため、仕事での利用もできません。

操縦士の視点:海外通販の激安機に飛びつく前に、価格差の理由を疑ってください。技適を取っていない機体は、その分だけ安く売れます。買えても日本の空では合法に飛ばせない、いわば「飾るしかない機体」です。機体選びの最初のふるいは、性能でも価格でもなく技適マーク。ここだけは妥協しないでください。

買っても、どこでも飛ばせるわけではない

次に知っておくべきなのが、飛ばせる場所と飛ばし方の制限です。ここを知らずに買うと、「飛ばせる場所が近くにない」ということになりかねません。

許可が必要な空域(飛行禁止空域)

空港などの周辺、地表・水面から150m以上の高さ、人口集中地区(DID)の上空、緊急用務空域などでは、原則として国土交通大臣の許可が必要です。

特に注意したいのがDIDです。都市部にお住まいなら、自宅もその周辺もDIDに入っている可能性が高く、その場合「家の庭でちょっと練習」も許可なしではできません。買う前に、自分が飛ばすつもりの場所がDIDかどうかを地図で確認しておきましょう。

承認が必要な飛び方

夜間飛行、目視外飛行、人や物から30m未満の飛行、催し場所の上空、危険物の輸送、物件の投下は、承認が必要です。

これら規制対象の空域・方法での飛行を「特定飛行」と呼び、事前に許可・承認を受けます。

許可がいらなくても守る基本ルール

特定飛行に当たらない飛行でも、全員が守るべきルールがあります。飛行前の機体・気象などの確認、航空機や他のドローンとの衝突防止、アルコール・薬物の影響下での飛行禁止、急降下など他人に迷惑を及ぼす飛行の禁止です。これらに違反した場合も50万円以下の罰金の対象になります。

操縦士の視点:買う前の相談でいちばん多いのが「家の庭で練習できますか」です。都市部の庭でも、DIDに入っていれば許可なしでは飛ばせません。機体を選ぶ前に、地図でDIDや空港周辺かを確認し、飛ばせる場所の目星を付けておく。これが後悔しない買い方の第一歩です。

将来どこまでやりたいか──飛行レベル1〜4

趣味で終えるか、仕事にするか。買う前に将来像を少し考えておくと、機体選びも資格の要不要も変わってきます。目安になるのが、難易度に応じた「飛行レベル」の分類です。

レベル1・2。目視の範囲内で飛ばす、手動または自動の飛行です。はじめての1台は、まずここからです。

レベル3。山や海など無人地帯での目視外飛行です。

レベル3.5。機上カメラの活用、技能証明の保有、保険への加入の3つを条件に、レベル3で必要だった補助者の配置や看板の設置を機上カメラでの確認に代えられる制度です。2023年12月に新設され、2026年度から本格的な実装が進んでいます(レベル3.5飛行の完全ガイドはこちら)。

レベル4。都市部など有人地帯での、補助者なしの目視外飛行です。もっとも高度な運用で、一等資格・第一種機体認証・個別の許可の3点がそろって初めて可能になります。

資格がなくても買える。ただし誤解しないこと

「ドローンは資格がないと飛ばせない」と思い込んで、購入をためらう方がいます。これは誤解で、資格がなくても買えますし、ルールの範囲内なら飛ばせます。

国家資格「無人航空機操縦者技能証明」は2022年12月に始まった制度で、一等と二等の2種類があり、16歳から受験でき、有効期間は3年です。取得すると特定飛行の許可・承認の手続きが簡略化され、レベル4飛行への道も開けます(国家資格の仕組みの完全ガイド学科試験の難易度はこちら)。

機体登録も飛行許可申請も、手続きはオンラインシステム「DIPS2.0」の一つの窓口で完結します。買ったらまずDIPS2.0のアカウントを作る、と覚えておけば大丈夫です。

操縦士の視点:逆に「資格を取れば、どこでも自由に飛ばせる」という誤解もあります。国家資格はあくまで技能の証明で、特定飛行では別途、許可・承認や機体認証が絡みます。資格・機体認証・許可承認は別々の仕組み、と買う前に分けて理解しておくと、その後の判断がぶれません。

買った後に待っている義務──特定飛行をするなら

夜間や目視外など特定飛行までやりたい方は、許可・承認を取れば終わりではないことも知っておいてください。飛ばすたびに守る義務がセットで付いてきます。

飛行計画の通報。特定飛行では、飛行前に飛行計画をドローン情報基盤システム(DIPS2.0の飛行計画通報機能)へ通報することが義務です。通報せずに特定飛行を行うと30万円以下の罰金の対象になります(飛行計画の通報の完全ガイドはこちら)。

飛行日誌の記載。特定飛行を行った場合は、飛行記録・日常点検記録・点検整備記録を遅滞なく飛行日誌に記載します。日誌を備えずに特定飛行を行うと10万円以下の罰金の対象です。

事故時の対応と報告。事故が起きたら直ちに飛行を中止し、負傷者の救護など危険を防止する措置を取ったうえで、国土交通大臣への報告が必要です。この措置を怠ると2年以下の懲役又は100万円以下の罰金という、航空法のドローン規制でもっとも重い罰則が科されるおそれがあります。

なお保険は、自動車の自賠責のような強制保険はなくすべて任意ですが、総重量25kg以上の機体やレベル3.5飛行では、十分な補償が可能な第三者賠償責任保険への加入が求められます。それ以外でも、万一に備えて購入と同時に加入しておくのが実務の常識です。

操縦士の視点:許可・承認は取ったのに、飛行計画の通報と飛行日誌を知らなかった、という相談は本当に多いです。罰金の額は小さく見えますが、違反歴は次の許可申請の審査に響きます。「申請して終わり」ではなく「飛ぶたびに通報と記録」までをワンセットの習慣にしておくと安心です。

航空法だけではない──他の法律にも注意

ドローンには、航空法以外の規制もあります。

代表的なのが「小型無人機等飛行禁止法」です。国会議事堂や原子力発電所、在日米軍施設など重要施設の周辺での飛行を禁じており、機体の大きさや重さにかかわらず、100g未満のトイドローンも対象になります。2026年の改正では、周囲の規制範囲(イエロー・ゾーン)がおおむね300mから1,000mへ拡大され、違反への罰則も強化されました。このほか、電波法(機体の無線)、道路交通法、民法上の土地所有権、各自治体の条例なども関わります。

航空法側の罰則も整理しておきます。機体登録をせずに飛ばすと1年以下の懲役又は50万円以下の罰金。許可・承認を受けずに特定飛行を行うと50万円以下の罰金。飛行計画を通報しない特定飛行は30万円以下、飛行日誌の不備は10万円以下の罰金です。金額の大小はあっても、いずれも前科になりうる刑事罰です。

まとめ:買う前の4つのチェック

最後に、買う前のチェックをまとめます。

①飛ばす場所の目星は付いているか。そこはDIDや空港周辺ではないか、地図で確認しましたか。

②買う機体は100g以上か未満か。100g以上なら、飛ばす前にDIPS2.0での機体登録とリモートIDが必要です。リモートIDが内蔵された機体かどうかも、ここで確認を。

③技適マークは付いているか。技適のない機体は、買えても日本の空では合法に飛ばせません。

④どんな飛ばし方までやりたいか。夜間や目視外までやるなら、許可・承認に加えて通報と記録の義務が付いてきます。

制度は改正も多いため、飛ばす前に必ず最新の公式情報(国土交通省・DIPS2.0)を確認しましょう。学科試験の教則も2026年7月14日から第5版に切り替わっています(教則第5版の変更点はこちら)。

このページは制度改定に合わせて随時更新します。個別のニュースは国内規制カテゴリもあわせてご覧ください。

▶ 買った後の手順はこちら:購入後にやること完全ロードマップ

▶ 機体登録の第一歩:DIPS2.0 アカウント開設ガイド

▶ 資格取得を考えるなら:ドローン国家資格 完全ガイド

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