今回は機体の種類ごとのリスクです。飛行機、ヘリコプター、マルチローター、そして大型機(最大離陸重量25kg以上)の4つ。
この節も、6.1と同じく〔一等〕の比重が大きいつくりになっています。各機種について(1)(2)(3)と項目が並びますが、〔一等〕が付いていないのは(1)の「運航の特徴」だけ。二等の方が読むのは、4機種ぶんの(1)——それだけです。
ただ、今回は〔一等〕の項目にも二等の方に役立つ数字が入っています。離陸地点を、操縦者から何メートル離すか。——マルチローターだけ、他の機種と1桁ちがいます。そこもご紹介します。
教則第5版 6.3 機体の種類に応じた運航リスクの評価(全文)
出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」(令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用)。読みやすさのためレイアウトを再構成し、原本で混在している英数字の全角・半角を半角にそろえています。本記事は国土交通省の公式なものではありません。
飛行機
- (1) 飛行機の運航の特徴
滑走により離着陸する飛行機は、回転翼航空機よりも広い離着陸エリアが必要である。また回転翼航空機と比べて、飛行中の最小旋回半径が大きくなることが特徴である。
飛行機の運航は、離陸、着陸共に、向い風を受ける方向から行う。横風の場合でもできるだけ向かい風方向で行うが操縦の難易度は高くなる。追い風の離着陸は失速のおそれがあるので行わない。回転翼航空機と違いホバリング(空中停止)はできない。上空待機を行う場合はサークルを描くように旋回飛行を行う。着陸は失速しない程度に速度を下げて行うため、高度なエレベーター操作が必要となる。
- (2) 使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例〔一等〕
飛行機の飛行計画においては気象、経路、緊急着陸地点の確保が重要である。離着陸においては向かい風で行うため風向の予測と風向に適した滑走路の確保が必要となる。また地上風速だけでなく上空の風速の確認(アプリ等)も重要である。地上経路設定においては過度な上昇角度、過度に旋回半径が小さくならないようにする。緊急着陸は滑空により行うので広範囲のエリアが必要となる。リスク低減策の例として以上のような点が挙げられるが、飛行計画が正しく設定されているか、複数人で確認を行う運航者の体制も重要である。
- (3) リスク軽減策を踏まえた運航の計画の立案の例〔一等〕
飛行機において、リスク軽減策を踏まえた運航計画の立案の際に留意すべき要素の例として、以下の項目が挙げられる。
- 1) 離陸及び着陸
- ⚫ 離着陸地点は操縦者及び補助者と 20m 以上離れることを推奨する。取扱説明書等に、推奨距離が記載されている場合は、その指示に従う。
- ⚫ 離着陸地点は滑走範囲も考慮して周囲の物件から 30m以上離すことができる場所を選定する。距離が確保できない場合は、補助者を配置するなどの安全対策を講じる。
- ⚫ 離陸後は失速しない適度な速度と角度を保って上昇する。着陸は失速しない程度の低速度で滑走路に確実に進入させ、安全に接地させる。
- 2) 飛行
- ⚫ 上昇させる場合は、取扱説明書等で指定された上昇角度以内で飛行させる。
- ⚫ 旋回させる場合は、取扱説明書等で指定された最大バンク角以内で飛行させる。
- ⚫ 降下させる場合は、取扱説明書等で指定された降下速度以内で飛行させる。
- ⚫ 飛行中断に備え、飛行経路上又はその近傍に緊急着陸地点を事前に選定する。第三者の立入りを制限できる場所の選定又は補助者の配置を検討する。
回転翼航空機(ヘリコプター)
- (1) 回転翼航空機(ヘリコプター)の運航の特徴
回転翼航空機(ヘリコプター)は、構造上プロペラガードがない機体が一般的であるため、安全のためにプロペラガード付きの回転翼航空機(マルチローター)よりも広い離着陸エリアが必要である。離着陸において、機体と操縦者及び補助者の必要隔離距離を取扱説明書等で確認するとともに、十分確保すること。
機体高度が、およそメインローター半径以下になると、地面効果の影響が顕著になりやすいため、推力変化及びホバリング時の安定・挙動に注意が必要である。
前進させながら上昇させた方が必要パワーを削減できるため、垂直上昇は避けることが望ましい。山間部又は斜面に沿って飛行させる場合、吹き下ろし風が強いと上昇できない場合があり、注意が必要である。
垂直降下又は降下を伴う低速前進時は、ボルテックス・リング・ステートとなり、急激に高度が低下し回復できない危険性がある。前進させながら降下することは、ボルテックス・リング・ステートの予防に有効である。
オートローテーション機構を装備している機体は、動力が停止しても軟着陸が可能である。ただし、オートローテーションに入るためには必要な操作、飛行高度範囲及び速度範囲がある。
- (2) 回転翼航空機(ヘリコプター)の使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例〔一等〕
回転翼航空機(ヘリコプター)において、使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例として、以下の項目が挙げられる。
- 1) 離陸及び着陸
- ⚫ 離着陸地点において、機体と操縦者、補助者及び周囲の物件との必要な安全距離を確保する。
- ⚫ 地面効果範囲内の飛行時間を短くする。
- 2) 飛行
- ⚫ 余裕を持った上昇率を設定する。
- ⚫ ボルテックス・リング・ステートを予防できる降下方法を選定する。
- ⚫ 緊急着陸地点の安全確保方法を飛行前に検討する。
- ⚫ オートローテーション機能を理解し、飛行訓練を実施する。(オートローテーション機能付きの場合)。
- (3) リスク軽減策を踏まえた運航の計画の立案の例〔一等〕
回転翼航空機(ヘリコプター)において、リスク軽減策を踏まえた運航計画の立案の際に留意するべき要素の例として、以下の項目が挙げられる。
- 1) 離陸及び着陸
- ⚫ 離着陸地点は操縦者及び補助者と 20m 以上離れることを推奨する。取扱説明書等に、推奨距離が記載されている場合は、その指示に従う。
- ⚫ 離着陸地点は周囲の物件から 30m以上離すことができる場所を選定する。距離が確保できない場合は、補助者を配置するなどの安全対策を講じる。
- ⚫ 離陸後は速やかに地面効果外まで上昇する。機体状況の確認は地面効果外とする。
- 2) 飛行
- ⚫ 上昇させる場合は、取扱説明書等で指定された上昇率以内で飛行させる。
- ⚫ 前進させながら上昇させる飛行経路を検討する。
- ⚫ 降下させる場合、ボルテックス・リング・ステートに入ることを予防するため、取扱説明書等で指定された降下率範囲及び降下方法で飛行させること。
- ⚫ 飛行中断に備え、飛行経路上又はその近傍に緊急着陸地点を事前に選定する。プロペラガード等の安全装備がない機体の場合、第三者の立入りを制限できる場所の選定又は補助者の配置を検討する。
- ⚫ オートローテーション機能を装備した機体を運航する場合、機能が発揮できる条件を運航の計画に考慮する。
回転翼航空機(マルチローター)
- (1) 回転翼航空機(マルチローター)の運航の特徴
回転翼航空機(マルチローター)は複数のローターを機体周辺に備え、ローターを回転させることにより揚力を得て垂直上昇し、フライトコントロールシステムにより安定した飛行を行うことができる。
- (2) 回転翼航空機(マルチローター)の使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例〔一等〕
回転翼航空機(マルチローター)において、使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例として、以下の項目が挙げられる。
- 1) 離陸及び着陸
- ⚫ 離着陸地点において、機体と操縦者、補助者及び周囲の物件との必要な安全距離を確保する。
- ⚫ 地面効果範囲内の飛行時間を短くする。
- 2) 飛行
- ⚫ 飛行経路において人や物件との必要な安全距離を確保する。
- ⚫ 緊急着陸地点の安全確保方法を飛行前に検討する。
- ⚫ 自動帰還時の高度を障害物等が回避できる安全な高さに設定する。
- (3) リスク軽減策を踏まえた運航の計画の立案の例〔一等〕
回転翼航空機(マルチローター)において、リスク軽減策を踏まえた運航計画の立案の際に留意するべき要素の例として、以下の項目が挙げられる。
- 1) 離陸及び着陸
- ⚫ 離陸地点は操縦者及び補助者との距離を 3m 以上保つか、機体の取扱説明書に推奨距離が記載されている場合はその指示に従う。
- ⚫ 離陸地点は周囲の物件から 30m以上離すことができる場所を選定する。距離が確保できない場合は、補助者を配置するなどの安全対策を講じる。
- 2) 飛行
- ⚫ 飛行経路での最高飛行高度の設定を行う。
- ⚫ 飛行中断に備え、飛行経路上又はその近傍に緊急着陸地点を事前に選定する。プロペラガード等の安全装備がない機体の場合、第三者の立入りを制限できる場所の選定又は補助者の配置を検討する。操縦者も必要に応じて保護具を使用する。
大型機(最大離陸重量 25kg 以上)
- (1) 大型機(最大離陸重量 25kg 以上)の運航の特徴
大型機(最大離陸重量 25kg 以上)は、事故発生時の影響が大きいことから、操縦者の運航への習熟度及び安全運航意識が十分に高いことが要求される。大型機は機体の慣性力が大きいことから、増速・減速・上昇・降下などに要する時間と距離が長くなるため、障害物回避には特に注意が必要である。緊急着陸地点の選定も小型機よりは広い範囲が要求される。一般に小型の機体よりも騒音が大きくなるため、飛行経路周囲への配慮が必要である。
- (2) 大型機(最大離陸重量 25kg 以上)の使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例〔一等〕
大型機において、使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例として、以下の項目が挙げられる。
- ⚫ 飛行速度に応じた障害物回避に必要な時間や距離を事前に把握する。
- ⚫ 安全な緊急着陸地点を選定する。
- ⚫ 離着陸地点及び飛行経路周辺の騒音問題対応を検討する。
- (3) リスク軽減策を踏まえた運航の計画の立案の例〔一等〕
大型機において、リスク軽減策を踏まえた運航計画の立案の際に留意するべき要素の例として、以下の項目が挙げられる。
- ⚫ 障害物回避など機体の進行方向を変える場合は、時間的、距離的な余裕を十分に考慮した飛行経路及び飛行速度を設定する。
- ⚫ 緊急着陸地点は、第三者の進入が少ない場所(河川敷、農用地など)を選定する。
- ⚫ 離着陸地点を含む飛行経路近隣エリアへの事前説明、調整を計画する。
ここからは私の解説です
この節がいちばん言いたいこと
ひとことで言うと、「機体が違えば、危ないところも違う」ということです。
連載の13回目(4.1)で、機種ごとの特徴を読みました。あれは「どういう乗り物か」の話でした。今回は同じ4機種について「だから、どこに気をつけて計画を立てるか」を扱います。特徴の裏返しが、そのままリスクになる——それがこの節の組み立てです。
まず、線を引きます
各機種について、教則は3つの項目を並べています。そのうち〔一等〕でないのは1つだけです。
| 項目 | だれが読むところか |
|---|---|
| (1) 運航の特徴(飛行機/ヘリコプター/マルチローター/大型機の4つ) | 一等・二等とも |
| (2) 使用機体と飛行計画を元にしたリスク軽減策の検討要素の例〔一等〕 | 一等のみ |
| (3) リスク軽減策を踏まえた運航の計画の立案の例〔一等〕 | 一等のみ |
二等の方は、4機種ぶんの(1)を読めば十分です。以下、まずその4つをていねいに読み、そのあと〔一等〕の中から二等の方にも役立つ数字を拾い出します。
飛行機——ホバリングできないことが、全部の理由です
教則が挙げる飛行機の特徴を並べると、ほとんどが1つの事実から出ています。
| 特徴 | なぜそうなるか |
|---|---|
| 回転翼航空機より広い離着陸エリアが必要 | 滑走して離着陸するから |
| 飛行中の最小旋回半径が大きい | 前に進み続けないと飛べないから |
| 離陸も着陸も向かい風から。横風でもできるだけ向かい風方向(操縦の難易度は高くなる) | 翼にあたる空気の速さで揚力が決まるから |
| 追い風の離着陸は行わない | 失速のおそれがあるから |
| ホバリング(空中停止)はできない。上空待機はサークルを描くように旋回 | 止まったら落ちるから |
| 着陸は失速しない程度に速度を下げて行うため高度なエレベーター操作が必要 | 遅くしたいが、遅すぎると落ちるから |
「止まれない」——飛行機のリスクは全部ここから来ています。トラブルが起きても、その場でホバリングして考える時間がありません。だから計画の段階で、降りる場所を決めておく必要があるのです。
ヘリコプター——覚えることが4つあります
ヘリコプターの(1)は、この節でいちばん中身が濃いところです。4つに分けて読んでみます。
| 論点 | 教則が書いていること |
|---|---|
| 離着陸エリア | 構造上プロペラガードがない機体が一般的なので、プロペラガード付きのマルチローターよりも広いエリアが必要。 機体と操縦者・補助者の必要隔離距離を取扱説明書等で確認し、十分確保する |
| 地面効果 | 機体高度がおよそメインローター半径以下になると影響が顕著。推力変化とホバリング時の安定・挙動に注意 |
| 上昇のしかた | 前進させながら上昇したほうが必要パワーを削減できるため、垂直上昇は避けることが望ましい。 山間部や斜面沿いでは吹き下ろし風が強いと上昇できない場合がある |
| 降下のしかた | 垂直降下、または降下を伴う低速前進でボルテックス・リング・ステートとなり、急激に高度が低下し回復できない危険性。 前進させながら降下することが予防に有効 |
ここで、前回(5.2)の話とつながります。「垂直に降ろさない」——マルチローターでも言われていたことが、ヘリコプターでは「回復できない危険性」という強い言葉で書かれています。しかも降下だけでなく「降下を伴う低速前進」も危ないと、条件が広がっています。
そして、ヘリコプターにしかない機構が出てきます。
オートローテーション機構を装備している機体は、動力が停止しても軟着陸が可能である。ただし、オートローテーションに入るためには必要な操作、飛行高度範囲及び速度範囲がある。
動力が止まっても降りられる。——ただし「必要な操作、飛行高度範囲及び速度範囲がある」という但し書きが付いています。装備していれば自動的に助かる、というものではないのです。低すぎても、遅すぎても入れません。
だから〔一等〕の(2)には「オートローテーション機能を理解し、飛行訓練を実施する」と書かれています。機能があることと、使えることは別。——この節でいちばん大事な一文かもしれません。
マルチローター——特徴は3行だけです
複数のローターを機体周辺に備え、ローターを回転させることにより揚力を得て垂直上昇し、フライトコントロールシステムにより安定した飛行を行うことができる。
これで全部です。他の機種に比べて、驚くほど短い。
これはマルチローターが簡単だからではなく、この連載でずっと読んできたのが主にマルチローターの話だったからだと私は考えています。4.1でも4.3でも5.2でも、マルチローターの特性は繰り返し出てきました。ここで改めて書くことがない——それだけ標準的な機種になっている、ということです。
注目したいのは「フライトコントロールシステムにより安定した飛行を行うことができる」という一文です。安定しているのは、機械が支えているから。——5.2で読んだ「センサに頼らないホバリングも要求される」の裏返しが、ここにあります。
大型機(25kg以上)——「重い」ではなく「止まらない」
4つ目は重量で区切られた分類です。教則が挙げる特徴は4つ。
| 特徴 | 教則の理由づけ |
|---|---|
| 操縦者の習熟度及び安全運航意識が十分に高いことが要求される | 事故発生時の影響が大きいから |
| 増速・減速・上昇・降下に要する時間と距離が長くなる。障害物回避には特に注意 | 機体の慣性力が大きいから |
| 緊急着陸地点の選定も小型機より広い範囲が必要 | (同上) |
| 飛行経路周囲への配慮が必要 | 一般に小型の機体よりも騒音が大きいから |
慣性力——重いものは、止まりたくてもすぐには止まれません。「曲がろうと思ってから、実際に曲がるまでが長い」のが大型機です。だから〔一等〕の(3)にはこう書かれています。
障害物回避など機体の進行方向を変える場合は、時間的、距離的な余裕を十分に考慮した飛行経路及び飛行速度を設定する。
そして、もう1つ現実的な指摘が騒音です。〔一等〕の(2)には「離着陸地点及び飛行経路周辺の騒音問題対応を検討する」、(3)には「離着陸地点を含む飛行経路近隣エリアへの事前説明、調整を計画する」とあります。安全ではなく、近所づきあいの話が教則に載っているのは、ここくらいです。
ちなみに、大型機は制度の上でも別扱いです。最大離陸重量25kg以上の飛行はカテゴリーⅡA——空港周辺・150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下と並ぶ、リスクの高い飛行として扱われています(連載の8回目で読んだところです)。
〔一等〕の項目から、二等の方にも役立つ数字を拾います
ここからは〔一等〕の範囲ですが、離着陸地点の距離だけは実務に直結するのでご紹介します。機種で数字が違います。
| 機種 | 操縦者・補助者との距離 |
|---|---|
| 飛行機 | 20m以上を推奨 |
| ヘリコプター | 20m以上を推奨 |
| マルチローター | 3m以上 |
マルチローターだけ1桁ちがいます。理由は、これまで読んできた内容から説明がつきます。飛行機は滑走するから、ヘリコプターはプロペラガードがなくローターが大きいから。マルチローターはその場で真上に上がるので、近くても成立するのです。
そして周囲の物件からの距離は、3機種とも30m以上で共通です。
離着陸地点は周囲の物件から30m以上離すことができる場所を選定する。距離が確保できない場合は、補助者を配置するなどの安全対策を講じる。
この30mという数字、見覚えがあると思います。航空法の「第三者又は第三者の物件との間の距離が30メートル未満での飛行」が特定飛行にあたる、というあの30mです。離着陸の場所選びも、同じ物差しで考える——そういうことだと読めます。
いずれの機種でも、教則は「取扱説明書等に推奨距離が記載されている場合は、その指示に従う」と付け加えています。教則の数字より、その機体の説明書が優先。ここは押さえておきたいところです。
4機種を通して読むと、同じ3つが繰り返されています
〔一等〕の(2)(3)を4機種ぶん並べると、機種が違っても同じ項目が繰り返し出てくることに気づきます。
| 繰り返し出てくるもの | どの機種で出てくるか |
|---|---|
| 緊急着陸地点を事前に選定する | 飛行機・ヘリコプター・マルチローター・大型機(4機種すべて) |
| 取扱説明書等で指定された範囲内で飛ばす(上昇角度/最大バンク角/降下速度/上昇率/降下率) | 飛行機・ヘリコプター・マルチローター |
| プロペラガード等の安全装備がない機体は、立入りを制限できる場所か補助者を検討 | ヘリコプター・マルチローター |
機種が変わっても、やることの骨格は変わりません。変わるのは数字と、注意する現象だけです。「降りる場所を決める」「説明書の範囲で飛ばす」「守りのない機体なら人を遠ざける」——この3つが、6.3の実質的な中身だと私は考えています。
そして、教則が飛行機の(2)にだけ書いている一文があります。
飛行計画が正しく設定されているか、複数人で確認を行う運航者の体制も重要である。
複数人で確認する。——前回(5.4)のCRMが、ここでも顔を出しています。機体の話をしていても、最後は人の体制に戻ってくる。教則を通して読むと、この繰り返しがよく見えます。
この回の数字まとめ
- この節の二等の範囲は各機種の(1)運航の特徴だけ。(2)(3)はすべて〔一等〕
- 飛行機=回転翼より広い離着陸エリア/最小旋回半径が大きい/離着陸は向かい風(横風でもできるだけ向かい風・難易度は高い)/追い風は行わない(失速のおそれ)/ホバリングできない・上空待機は旋回/着陸は高度なエレベーター操作
- ヘリコプター=プロペラガードがない機体が一般的でマルチローターより広いエリアが必要/地面効果はおよそメインローター半径以下で顕著/前進しながら上昇(垂直上昇は避けることが望ましい)/垂直降下・降下を伴う低速前進でボルテックス・リング・ステート(回復できない危険性)、前進しながら降下が予防に有効/オートローテーションは必要な操作・飛行高度範囲・速度範囲がある
- マルチローター=複数のローターで垂直上昇し、フライトコントロールシステムにより安定した飛行
- 大型機(最大離陸重量25kg以上)=事故発生時の影響が大きい/慣性力が大きく増速・減速・上昇・降下に要する時間と距離が長い/緊急着陸地点は広い範囲/騒音が大きい
- 〔一等〕離着陸地点と操縦者・補助者の距離=飛行機20m以上/ヘリコプター20m以上/マルチローター3m以上(取扱説明書に推奨距離があればそれに従う)
- 〔一等〕離着陸地点は周囲の物件から30m以上(確保できない場合は補助者の配置などの安全対策)
- 〔一等〕大型機の緊急着陸地点=第三者の進入が少ない場所(河川敷、農用地など)
- (3.1)最大離陸重量25kg以上の飛行はカテゴリーⅡA
おわりに
二等の方にとっては読むところの少ない節でした。ですが、4機種の(1)を並べて読むと、自分が飛ばしている機体の「当たり前」が、当たり前ではないことが見えてきます。
マルチローターに乗っている方には、「止まれる」「その場で上がれる」「機械が支えてくれる」のが普通です。でも飛行機は止まれないし、ヘリコプターは垂直に上がるのを避けたほうがよく、大型機は曲がるのに距離が要る。機体が違えば、安全の作り方も違う。
そして、どの機種でも共通していたのが「降りる場所を先に決めておく」でした。4機種すべての〔一等〕項目に、緊急着陸地点の話が出てきます。飛ばす前に、降ろす場所を決める。——機種を問わない、この節のいちばんの教訓だと思います。
次回はいよいよ最終回、「6.4 飛行の方法に応じた運航リスクの評価及び最適な運航の計画の立案」。夜間飛行、目視外飛行、催し場所上空など、方法ごとのリスクの話です。全25回、最後までお付き合いください。
出典
- 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
本記事の内容は2026年8月時点のものです。離着陸地点の距離や上昇率・降下率などは機体によって異なります。教則も「取扱説明書等に推奨距離が記載されている場合は、その指示に従う」としていますので、実際の運用ではお使いの機体の説明書を優先してください。
この章を、問題で確認する
ここは学科試験では「運航上のリスク管理」の分野にあたります。読んだ直後に解くと、取り違えていた箇所がその場で分かります。
この節は〔一等〕の項目が中心で、二等の出題範囲外の記述が多く含まれます。
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