飛ばすか中止か|ドローンと山・海・建物の風 吹き下ろしとビル風の読み方

現場の判断

予報では風速3メートル毎秒。着いてみたら、確かに駐車場では穏やかです。

ところが、そこから20メートル上げたところで機体が急に傾き、送信機の画面では高度を保つだけで出力が上がり続けている。

この差は、どこから来ているのか。

予報が外れたわけではありません。予報が答えているのは「この地域の、ひらけた場所の、地上付近の風」であって、あなたが飛ばそうとしている一点の風ではないからです。

その一点の風を決めているのは、地面のかたちです。山、海岸線、建物。今回はそこを読む話をします。

最初に一番大事なこと地形が作る風は、予報には出てきません。予報から引き算するのではなく、地形を見て足し算してください。教則第5版は、風の強さの変化の度合いが地表の粗度によって異なると明記しています。同じ風速の予報でも、ひらけた河川敷と建物に囲まれた空き地では、上空で受ける風はまったく別物になります。

予報の風と、目の前の風が違う理由

まず、教則第5版がどう書いているかを確認します。第6章 6.2「気象の基礎知識」の風速の項に、次の記述があります。

風は地面の摩擦を受けるため、一般的に上空では強く地表に近づくにつれて弱くなる。変化の度合いは地表の粗度(樹木や建物などによる凸凹の程度)や風速の大きさによって異なる。一般に地表の粗度が大きいほど、高さによる風速の変化は大きくなる。

学科試験では「上空のほうが強い」という部分だけが問われがちです。けれども現場で効いてくるのは、そのあとの二文のほうです。

粗度が大きいとは、地面がでこぼこしているということ。樹木、建物、構造物が多いほど粗度は大きくなります。そして粗度が大きいほど、高さによる風速の変化が大きくなる。

つまりこういうことです。ひらけた場所では、地上と上空の風の差は小さい。地上で測った値がそのまま参考になります。ところが建物や林に囲まれた場所では、地上はほとんど無風でも、少し上げただけで別の風の中に入ります。

地上で風を感じないことが、上空で風がないことの根拠にならない。粗度の大きい場所ほど、その根拠にならなさが大きくなる、というのが教則の書いていることです。

場所の性格 粗度 高さによる風速の変化
河川敷、広い農用地、海上 小さい 小さい。地上の実測が上空の目安になりやすい
住宅地、林縁、低い建物が並ぶ場所 中くらい 地上と上空で差が出る。上げた分だけ強くなる
市街地、高い建物が近接する場所 大きい 差が大きい。地上の無風は当てにならない
講習でこの質問を受けたときは「地上で風速計を持っていれば足りますか」と聞かれることがあります。私は「足りないほうの半分は測れています」と答えています。風速計が答えるのは持っている高さの風であって、飛ばす高さの風ではありません。粗度の大きい場所では、その二つは別の数字です。

教則が名前をつけている地形の風

教則第5版 6.2(1)2)「風」には、風向・風速・突風・風力といった一般的な項目に混じって、地形や地面のかたちが作る風が名指しで書かれています。整理すると次の3つです。

名称 どこで起きるか 教則の要点
海陸風 海と陸の境目。夏の沿岸部で顕著 日中は陸へ、夜間は海へ。入れ替わりで無風になる
山谷風 山岳地帯 昼は谷風が這い上がり、夜は山風が降りる
ビル風 高層建物が数多く近接する場所とその周辺 周辺より速く、継続して吹く。型は配置で決まる

この3つに加えて、同じ項にダウンバーストとマイクロバーストが書かれています。こちらは地形ではなく積乱雲が作る現象なので、今回の主題からは少し外れますが、下降流という意味では地形の吹き下ろしと現れ方が似ています。区別して扱う必要があります。

なお、山を越えた風下側の斜面で吹く「おろし風」や、フェーン現象といった用語は、教則第5版の本文には出てきません。全文を検索しても該当する記述はありませんでした。気象の一般知識としては重要ですが、学科試験の根拠にはなりませんし、この記事でも教則の記述と一般知識は分けて書きます。

山の風(1)谷風と山風は時間で入れ替わる

教則第5版 6.2(1)2)f.「山谷風」の記述はごく短いものです。

山岳地帯に現れる風の一種。昼間は、日射で暖められた空気が谷を這い上がる谷風が吹き、夜間は冷えた空気が山から降りる山風が吹く。

二行ですが、運航に効く含意は二つあります。

ひとつめは風向が一日のうちに反転すること。午前中に現地を見て、斜面を吹き上がる風だと確認したとします。その確認は、日が傾いたあとの飛行には使えません。風は逆を向きます。

山間部で朝に下見をして、夕方に撮影する。よくある段取りですが、風に関しては下見の情報が無効になっている時間帯です。

ふたつめは日射と結びついていること。谷風は日射で暖められた空気が上がる風ですから、晴れた日の昼過ぎに最も強くなりやすい性質を持ちます。逆に曇天では弱い。天気が「良い」ことが、風が穏やかであることを意味しない典型がここです。

下見の情報には有効期限がある山谷風と海陸風は、どちらも一日の中で向きが変わる風です。現地で確認した風向は、その時間帯の情報でしかありません。飛行の時間帯が下見とずれるなら、風向は確認し直しが必要です。

山の風(2)斜面の吹き下ろし

ここが今回いちばん注意して読んでいただきたい部分です。

教則第5版には、斜面の吹き下ろしについて次の記述があります。

山間部又は斜面に沿って飛行させる場合、吹き下ろし風が強いと上昇できない場合があり、注意が必要である。

ただし、この一文が置かれているのは第6章 6.3 の「回転翼航空機(ヘリコプター)の運航の特徴」の中です。前後は、地面効果、垂直上昇を避けること、ボルテックス・リング・ステート、オートローテーションといった、ヘリコプター型の話が続いています。

つまり教則がこの注意を向けている相手は、マルチローターではなくヘリコプター型です。

教則の文言を引くときは、その文の主語がどこから続いているかを必ず遡って確認する必要があります。学科試験でも、この種の主語の入れ替えは出題されます。

では、マルチローターなら関係ないのか。そうは言えません。ただ、教則はマルチローターについて同じ記述を置いていないので、ここから先は教則の記述ではなく、物理的な考え方として書きます。

下向きの気流の中で高度を保つには、その分だけ余分に推力が要ります。機種や重量、風の強さによって程度はまったく変わるので、「何メートル毎秒の下降流で上昇できなくなる」といった数字を出すことはできません。その数字を確認できる一次情報を、私は持っていません。

言えるのは、次のことだけです。

  • 斜面の風下側は、下向きの気流が生じうる場所である
  • 下向きの気流の中では、同じ高度を保つのに余分な出力が要る
  • 余分に使った分は、電池の持ちとして現れる
  • 上昇できない事態が起きうることは、教則がヘリコプター型について明記している

現場では、これを数値ではなく機体の挙動で読みます。斜面沿いで高度が落ちる、あるいは同じ高度を保つのに舵が要る。これが出たら、その場所はもう「風が強い」ではなく「下降流の中」だと判断します。

やってはいけない判断斜面で高度が保てないときに、出力を上げて押し切ろうとすること。上昇できないまま電力だけを消費し、戻す余力を失います。高度が落ちるなら、斜面から水平方向に離れる。上へではなく、横へ逃がすのが先です。

海岸の風 ── 朝凪・夕凪は安全な時間ではない

海沿いの現場は、教則第5版 6.2(1)2)e.「海陸風」の記述がそのまま効きます。

海陸風は海と陸との気温差によって生じる局地的な風で、日本では、日差しの強い夏の沿岸部で顕著に見られる。地表付近において、日中は、暖まりやすい陸上に向かって風が吹き、夜間は、冷めにくい海上に向かって風が吹く。風が入れ替わるときには、ほぼ無風状態になり、「朝凪」「夕凪」と呼ばれる。

ここで気をつけたいのが、最後の一文の受け取り方です。

朝凪・夕凪は、風が止んでいる時間ではありません。風向が入れ替わる途中の時間です。止まっているのではなく、切り替わっている。

この違いは運航上とても大きい意味を持ちます。凪の時間に離陸して、飛行中に入れ替わりが完了すれば、風は逆向きに吹き始めます。往路を向かい風で進んだつもりが、帰路も向かい風になる。海岸での飛行で電池の計算が狂う原因の代表がこれです。

凪を「穏やかな時間帯」として狙って飛ばすのは、風向が変わる瞬間を狙って飛ばすことと同じです。狙うなら、入れ替わりが終わって風向が安定してからのほうが読みやすい、というのが私の考え方です。

海岸で確認していること海に向かって飛ばすとき、帰りの風向が今と同じである保証はあるか。旗や煙、波の立ち方が、離陸時と同じ向きを示し続けているか。海の上には目印が少ないので、風向の変化は岸側の目印で見ています。

建物の風(1)ビル風は5つに分類されている

市街地で飛ばす方には、ここがいちばん実用的だと思います。教則第5版 6.2(1)2)h.「ビル風」には、こう書かれています。

高層ビルや容積の大きい建物などが数多く近接している場所及び周辺に発生する風で、強さや建物周辺に流れる風の特徴により分類される(剥離流、吹き降ろし、逆流、谷間風、街路風などがある)。ビル風は周辺の風より風速が速く継続して吹いていて、その建物群の配置や構成によって吹く風の種類が異なる。

ここから読み取れることを、3つに分けます。

1つめ。ビル風は周辺より速い。「周辺の風より風速が速く」と明記されています。予報値や、少し離れた場所での実測は、建物まわりでは下振れした数字になります。

2つめ。継続して吹く。突風のように一瞬で終わるものではなく、続きます。一度そこに入ったら、抜けるまで受け続けることになります。

3つめ。型は建物群の配置で決まる。同じ風速・同じ風向でも、建物の並び方が違えば別の型の風が吹きます。つまり、その場所ごとに違うということです。

教則が挙げている5つの名前は、建築・風工学の分野で使われている分類です。教則本文には名前の列挙しかなく、それぞれの詳しい説明はありません。以下の整理は教則の記述ではなく、一般に用いられている説明にもとづく私の読み方です。学科試験の根拠として使わないでください。

型 一般にどういう風とされるか 飛行への影響として現れやすい形
剥離流 建物の角で流れがはがれて生じる流れ 角を回った先で風が急変する
吹き降ろし 壁面に当たった風が下へ向かう流れ 建物の風上側の足元で下向きの流れ
逆流 建物の手前などで本来と逆を向く流れ 風向が場所によって逆になる
谷間風 近接した建物のすきまを抜ける流れ すきまだけ局所的に速い
街路風 街路に沿って流れる風 道に沿った方向へ引っぱられる

細かい分類を覚えることが目的ではありません。覚えていただきたいのは、建物まわりの風は場所ごとに向きも強さも違うという一点です。

10メートル横にずれただけで、風向が変わっていることがある。離陸地点で確認した風が、飛行経路上のどの点でも同じだと考えないことです。

市街地で危ないのは「速さ」より「差」ビル風で機体を持っていかれる場面は、風が強いところよりも、風の違う二つの領域の境目で起きがちです。壁ぎわの下降流から、すきまを抜ける速い流れへ。ここを通過する瞬間、機体は姿勢を立て直す動作に入り、その間だけ位置が流れます。

建物の風(2)壁の近くで起きる跳ね返り

もうひとつ、建物に近い場所で起きる現象が教則に書かれています。ビル風とは別の話で、機体自身が作る風の跳ね返りです。

教則第5版 第5章 5.2(4)「カテゴリーⅢ飛行において追加で必要となる離着陸の注意点」〔一等〕に、次の記述があります。

第三者の物件等が多いエリアでの離着陸が考えられることから、家屋の壁面などの構造物の近接による機体のダウンウォッシュの跳ね返り等により、離着陸時に機体が不安定になることが考えられるような環境はあらかじめ離着陸エリアから除外する。

ローターが下に吹き下ろした風が、近くの壁に当たって戻ってくる。その戻り風で機体が不安定になる、という話です。

この記述は〔一等〕マークの付いた節にあるので、二等の学科試験の出題範囲ではありません。ただし現象そのものは機体の大小や資格に関係なく起きます。

そして教則の指示は「注意して飛ばす」ではありません。あらかじめ離着陸エリアから除外するです。現場で慎重に扱うのではなく、候補から外すところまで書かれている。この書き方の強さは意識しておきたいところです。

壁ぎわ、塀と建物の間、コンテナの脇。こうした場所は、地上で風を感じないから選ばれがちですが、離着陸時にいちばん不安定になりうる場所でもあります。

地面が作る上昇気流とつむじ風

地形の風の最後に、地面の性質が作る上昇気流を扱います。教則第5版 6.2(2)「気象に関する注意事項」にこうあります。

地表面が暖められると上昇気流が発生するため、広い面積の太陽光パネルやアスファルト・コンクリートの地面が多い市街地は注意が必要である。また、広い運動場のような場所では、強い日射により上昇気流がおこりつむじ風が発生する可能性がある。

太陽光パネルの点検飛行、市街地の低空、校庭や運動場での訓練。どれも該当します。

ここで押さえておきたいのは、これは風が弱い日にも起きるということです。上昇気流もつむじ風も、原因は日射であって、気圧配置ではありません。

「今日は風がないから安全」という判断が通らない場面が、ここにあります。むしろ晴天で日射が強く、一般の風が弱い日のほうが、局所的な上昇気流は目立ちやすくなります。

現場で見ているもの広い舗装面や運動場では、地面の砂やほこり、落ち葉の動きを見ています。まっすぐ流れずに、その場で回っている場所があれば、そこはつむじ風が立ちうる場所です。離着陸地点をそこから外します。

現場で何を見て、どう決めるか

ここまでの内容を、判断の手順として並べ直します。数値で線を引くのではなく、順番で決めるやり方です。

第1段階:予報で「地域の風」を知る。予報が答えているのは地域の傾向です。これは出発するかどうかを決める材料で、飛ばしてよいかを決める材料ではありません。

第2段階:地図と写真で地形を読む。現地に着く前に済ませます。斜面はあるか、海岸線との位置関係はどうか、建物はどう並んでいるか。ここで予報に何を足すべきかの見当をつけます。

第3段階:現地で風向を確かめる。旗、煙、木の葉、水面。予報の風向と一致しているか。ずれているなら、そのずれが地形によるものだと考えます。

第4段階:低い高度で機体の挙動を見る。飛行経路に入る前に、低い高度で機体がどう振る舞うかを確認します。姿勢の乱れ方、位置の流され方、出力の入り方。

第5段階:経路上で条件が変わる地点を特定する。斜面に近づく地点、建物のすきまを通る地点、海に出る地点。ここが判断の切れ目になります。

見るもの 分かること 分からないこと
予報(風向・風速) 地域全体の傾向と時間変化 地形が作る局所の風
地上の風速計 持っている高さの実測値 飛行高度の風、経路の先の風
旗・煙・木の動き その場所の風向と、変化しているか 強さの正確な値
機体の姿勢と出力 機体が実際に受けている風 これから入る領域の風

この表で言いたいのは、どれも単独では足りないということです。予報だけでも、風速計だけでも、機体の挙動だけでも判断になりません。4つを重ねて、食い違いが出たところを疑う。それが地形のある場所での読み方です。

中止の線は、事前に決めておく飛ばしてから「これはまずいかもしれない」と考え始めると、たいてい判断が遅れます。何が起きたら中止するかを、離陸前に言葉にしておく。たとえば「斜面沿いで高度が保てなくなったら中止」「経路の途中で風向が逆になったら中止」のように、現象で決めておくと迷いません。

中止に直結する数値は、風の種類では変わらない

ここまで地形の話をしてきましたが、法令・許可承認の側にある数値は、風の成因によって変わりません。ビル風だから緩くなる、ということはありません。

許可・承認を受けて国土交通省の標準飛行マニュアルによって飛行する場合、次の条件が課されます。出典を分けて書きます。

条件 内容 出典
基本的な体制 風速5m/s以上の状態では飛行させない 標準飛行マニュアル①②の3-1
不測の事態 5m/s以上の突風が発生したら即時に飛行を中止 標準飛行マニュアル①②の2-8
催し場所上空 風速5m/s以上で飛行を中止 教則第5版および①②の3-1
催し場所上空 飛行速度と風速の和が7m/s以上では飛行させない 標準飛行マニュアル①の3-6

催し場所上空については、5メートル毎秒と7メートル毎秒の両方が現行の条件です。どちらか片方だけを覚えていると足りません。なお7メートル毎秒の条件は、場所を特定した申請に適用される標準飛行マニュアル①にのみあり、場所を特定しない申請の②には催し場所の節そのものがありません。

そして地形の話と重なるのが、ここです。この5メートル毎秒は、どこの風速なのか。

マニュアルは測定地点を定めていません。ですから運用としては、飛行する空間の風で判断せざるを得ません。地上の風速計が4メートル毎秒を指していても、粗度の大きい場所であれば、飛行高度ではそれを超えている可能性があります。

地上の実測が基準を下回っていることは、基準を満たしている証明にはなりません。ここは厳しめに見ておくべきところだと考えています。

許可・承認を受けている場合は条件そのもの標準飛行マニュアルによって許可・承認を受けている飛行では、上の数値は守るべき条件です。独自マニュアルで承認を受けている場合は、そのマニュアルに書かれた条件が適用されます。自分が何のマニュアルで飛んでいるかを、離陸前に確認してください。

よくある誤解の整理

講習や現場で実際に聞くことの多い理解を、教則の記述と並べて整理します。

よくある理解 教則の記述と照らすと
地上で風がないなら上空も穏やか 粗度が大きいほど高さによる風速の変化は大きい。地上の無風は根拠にならない
朝凪・夕凪は風のない安全な時間 風が入れ替わるときの状態。直後に逆向きの風が吹き始める
山の風向は地形で決まるので一定 山谷風は昼と夜で逆になる。下見の風向は時間帯とセット
ビル風は突風のように一瞬で終わる 周辺の風より速く、継続して吹くと明記されている
風が弱い晴れた日がいちばん安全 強い日射で上昇気流やつむじ風が起きる可能性がある
吹き下ろしで上昇できないのは大型機だけ 教則はヘリコプター型について明記。他機種に同じ記述はない
壁の近くは風を避けられるので離陸に向く ダウンウォッシュの跳ね返りで不安定になる。教則は候補から除外せよと書く

最後の2行は、書き方に気をつけてください。

吹き下ろしの記述は、あくまで回転翼航空機(ヘリコプター)の節にあるものです。マルチローターについて教則が同じことを書いているわけではありません。学科試験の問題文で主語が入れ替わっていないかは、毎回確認する習慣をつけておくと安全です。

まとめ

地形が作る風は、予報には出てきません。出てこないものを予報に探しても見つからないので、地形を見て自分で足すしかありません。

今回の内容を、飛行前に確認する形にまとめます。

  • 飛ばす場所の粗度は大きいか小さいか。地上の実測をどこまで信用してよいか
  • 山間部なら、飛行の時間帯は谷風の時間か山風の時間か。下見と同じ時間帯か
  • 斜面沿いを飛ばすなら、風下側に入る地点はどこか。横へ逃がす方向は決めてあるか
  • 海岸なら、飛行中に風向が入れ替わる時間帯にかかっていないか
  • 市街地なら、経路のどこで風の違う領域をまたぐか
  • 離着陸地点は、壁や構造物に近すぎないか
  • 広い舗装面や運動場なら、地面の砂やほこりが回っている場所はないか
  • 中止する条件を、数値ではなく現象の言葉で決めてあるか

地形の風は、読めるようになると案外はっきりしています。斜面があれば上下の流れが生じ、海があれば時間で向きが変わり、建物があれば場所ごとに違う風が吹く。どれも、地図と現地を見れば見当がつくものばかりです。

見当がついたうえで、それでも分からない部分が残ったときに、低い高度で機体に確かめる。順番はこれでよいと考えています。

逆にやってはいけないのは、予報の数字だけを見て、地形を読まずに経路を引くことです。そこで抜け落ちるのは、まさに今回書いてきた部分です。

ご注意本記事は、無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版・公布 令和8年7月7日/適用 令和8年7月14日。引用はいずれも原文で確認)および国土交通省 無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領に基づく標準飛行マニュアル①②(令和4年6月20日版。2026年9月22日閲覧)に基づく解説です。ビル風の各分類の挙動、斜面の下降流が機体に及ぼす影響の程度については、教則に説明がないため一般的な知見として記載しており、学科試験の根拠にはなりません。気象の状況や機体の状態は現場ごとに異なり、本記事の内容は特定の飛行の安全を保証するものではありません。制度は改正されることがあります。最終的な飛行可否の判断は機長の責任において行ってください。
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登録講習機関講師 フライトデスク 監修

この論点は学科試験にも出ます

海陸風・山谷風・ビル風・ダウンバーストは、教則第6章 6.2「気象の基礎知識」の範囲です。斜面の吹き下ろしは 6.3、離着陸地点の除外は第5章 5.2 にあります。まず無料分で今の実力を測り、足りない科目を本編で埋めるのが最短です。いずれも全問解説つき・買い切りです。

▶ 一等:無料演習20問/無料模試70問/演習261問(1,280円)/演習+模試10セット バンドル(1,980円)

▶ 二等:無料演習20問/無料模試50問/演習250問(980円)/演習+模試5セット バンドル(1,480円)

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