飛ばすか中止か|夏のドローン飛行 熱とバッテリーと直射日光の判断

現場の判断

夏の飛行で現場が止まるのは、たいてい風ではありません。

風は穏やか、雲もない、申請も点検も通っている。それでも3本目の離陸前にバッテリーが充電できず、録画が途中で止まり、画面が見えないまま着陸地点を探すことになる。そういう日が、真夏には普通にあります。

夏に効いてくるのは熱が機体の外から入り、同時に機体の中で生まれるという二重構造です。冬の低温は飛行時間を削るだけですが、夏の高温は飛ばす前の準備と飛ばした後の回復まで巻き込んで、一日の段取りそのものを崩します。

この記事では、教則とメーカーの公表値、気象庁と環境省の公開情報に当たりながら、暑い日の現場で何を見て、どこで線を引くのかを整理します。

最初に一番大事なこと夏の判断は「飛ばせる気温か」ではなく「次の1本までに冷ませるか」で決まります。機体の動作環境温度に収まっていても、飛行直後のバッテリーは充電可能な温度を超えていることがあります。冷ます時間を段取りに入れていなければ、2本目以降で必ず詰まります。気温から可否を判断するのではなく、冷却に使える時間と場所を先に確保し、その制約のなかで計画が成立するかを見てください。

夏に増えるのは「中止」ではなく「見落とし」

暑いから飛ばさない、という判断は実際にはほとんど出てきません。国内の平地で、一般的な機体の動作環境温度の上限を気温が上回る日は限られています。

そのかわりに起きるのが、中止するほどではない不具合が同時に3つ4つ重なるという状況です。充電が始まらない、録画が止まる、画面が暗くて見えない、操縦者の集中が切れる。ひとつずつは延期の理由になりませんが、重なった状態で予定を押し通すと、判断の余地がなくなります。

講習でこの話をすると、必ず「何度までなら飛ばせますか」と聞かれます。私はその質問には答えず、代わりに「その日は何本飛ばす予定ですか」と聞き返しています。1本だけなら気温はほとんど問題になりません。5本飛ばすなら、気温より冷却の段取りのほうが先に効いてきます。

教則が書いている高温の扱い

教則第5版は、第6章の気象に関する注意事項で、高温と低温をひとまとめにしてこう書いています。

無人航空機は、運用可能な動作環境が具体的に明示されている。運用可能な範囲内であっても、低温時や高温時には大きな影響をうけることが予想される。

注目すべきは「運用可能な範囲内であっても」という一句です。公表値の範囲に収まっていることは、普段どおりに飛ぶことの保証ではない、と教則は明言しています。範囲内で飛ばしたうえで、落ちた性能を計画側で吸収する必要がある、という読み方になります。

続く部分では、低温についてだけ「バッテリーの持続時間が普段より短くなる可能性がある」と具体的に書かれていますが、高温についての具体的な影響は教則に書かれていません。つまり高温側の中身は、機体メーカーの取扱説明書と運航者自身の記録で埋めるしかない領域です。

高温に関して教則が数値で示しているのは、保管の条件です。第4章の保管方法の項に、次の一文があります。

バッテリーを高温(35°c 超)になる環境で保管しないこと。

35度という数値は、飛ばしてよい気温の上限ではなく保管の上限です。この2つを混同したまま「気温35度を超えたら中止」という基準を作ってしまう例をよく見かけますが、教則の記述はそういう意味ではありません。

補足教則第5版の全文を検索した結果、「熱中症」「猛暑」という語は1件もありませんでした。操縦者自身の体調管理について、教則は数値や基準を示していません。この部分は運航者が自分で枠組みを用意する必要があります(本記事の後半で扱います)。

公表値は3種類ある|動作環境温度・充電温度・保管温度

温度の公表値は、ひとつの数字ではありません。飛ばせる温度、充電できる温度、しまっておける温度は、それぞれ別に定められています。このうち夏に先に引っかかるのは、たいてい飛ばせる温度ではなく充電できる温度です。

例としてDJI Mavic 4 Proの公式ユーザーマニュアル(v1.0 日本語版)に書かれている値を並べます。機種ごとに違う値なので、必ず自分の機体のマニュアルで確認してください。

区分 公表されている値 この値が決めること
動作環境温度 -10度から40度 飛ばしてよい外気温の範囲
充電できる温度 バッテリー温度 5度から40度 次の1本を用意できるかどうか
推奨の充電温度 22度から28度 バッテリーの寿命への影響
充電の自動停止 セル温度 55度超で停止 充電が勝手に止まる境目
保管の上限(教則) 35度超の環境を避ける 車内やケースに置ける場所

表の2行目と1行目を比べてください。飛ばせる外気温の上限と、充電できるバッテリー温度の上限が、どちらも40度で同じ数字になっています。外気温が35度の日に飛ばしたバッテリーは、着陸した時点で外気温より高くなっています。つまり気温が上限に収まっていても、充電の上限は先に超えます。

同じマニュアルには、この点がはっきり書かれています。

飛行直後にはインテリジェント フライトバッテリーが過熱していることがあります。すぐには充電しないでください。バッテリーを許容される充電環境温度まで放熱してから、再充電してください。

ご注意ここに挙げた数値はDJI Mavic 4 Proの公表値です。同じメーカーでも機種によって範囲は異なり、他メーカーの機体ではさらに違います。記事の数値を自分の機体に当てはめないでください。確認すべきは、手元の機体のユーザーマニュアルに書かれた動作環境温度と充電温度範囲の2つです。

高温でバッテリーに起きていること

夏にバッテリーが熱くなる理由は、外が暑いからだけではありません。飛行そのものが発熱源です。

教則の第4章には、バッテリーの電気的な特性としてこう整理されています。出力を一定に維持しようとする場合、電池残量が少なくなると放電時電圧が低下するため、必要となる電流は増大する。そして容量は、放電時の電流の大きさや温度によって変化する。

この2つを順番につなぐと、夏の現場で起きていることが見えてきます。

  1. 外気温が高いので、離陸時点でバッテリーの温度がすでに高い
  2. ホバリングと上昇で一定の出力を要求される
  3. 残量が減ると電圧が下がり、同じ出力を出すための電流が増える
  4. 電流が増えると内部抵抗による発熱が増える
  5. 温度が上がると利用できる容量が変わり、電圧の落ち方が変わる

つまり温度と電流は互いに押し合う関係にあります。冬は「容量が減る」という単方向の話で済みますが、夏は飛ばしている間に条件が動きます。離陸前の残量表示から飛行時間を線形に見積もる方法が、夏はとくに当たらないのはこのためです。

加えて、教則は膨らみについて明確な指示を出しています。リチウムポリマーバッテリーが膨らんでいる場合は、過充電などでバッテリー内部に可燃性ガスが発生している可能性があるため、早めに交換を行う。夏は膨らみが見つかりやすい季節です。飛行後にケースに戻す前の一瞬で、平らな面に置いて四隅が浮かないかを見てください。

やってはいけない熱いバッテリーを冷やすために、保冷剤や氷に直接当てないでください。表面だけが急に冷えてセル内部との温度差が大きくなり、結露の原因になります。冷ますのは「風を通す」で行います。日陰に置いて、ケースから出して並べ、空気が通る状態にするだけで十分です。急がせるために冷却を強めるのではなく、段取りの側で時間を確保してください。

発表されている気温は、現場の温度ではない

天気予報の気温をそのまま離陸地点の条件として使うと、実際より低い値で判断することになります。

気象庁の地上気象観測は、露場と呼ばれる観測用の区画で行われます。気象庁の解説によると、この区画には地面からの熱を避けるための芝生が植えられており、温度計は通風筒という二重の円筒のなかに入れて常に風を通しています。さらに通風筒の下部には、地面で反射した日射が直接当たるのを防ぐための遮蔽板が付いています。

つまり発表される気温は、芝生の上で、日射と地面の反射を遮り、風を通した状態で測った値です。アスファルトの駐車場に機体を置き、黒いケースを直射日光の下に出している現場の条件とは、前提がまったく違います。

この差がどれくらいになるかは、路面の材質・風の有無・時刻で変わるため、一般的な数値を示すことはできません。数値がわからないのであれば、測るしかありません。非接触の温度計を1本持っていくだけで、議論の余地がなくなります。

現場でやっていること私は離陸地点に着いたら、機体を置く予定の地面と、バッテリーケースの上面の2か所を測ります。見るのは絶対値ではなく、日陰に移したときにどれだけ下がるかです。日陰に移して10度以上下がる場所なら、機体とバッテリーをそこに置かない理由がありません。この1手間だけで、充電待ちの時間が目に見えて短くなります。

気象庁の統計では、日最高気温が35度以上の日を猛暑日、30度以上の日を真夏日と呼びます。歴代全国ランキングの1位は群馬県伊勢崎の41.8度(2025年8月5日)です。機体の動作環境温度の上限が40度の機種であれば、記録的な高温の日には外気温そのものが公表値を超えます。頻度は低いものの、起こらない話ではありません。

夏の風は、晴れているほど読みにくい

夏の飛行で意外に効くのが、風そのものではなく地表の熱が作る上昇気流です。教則は第6章でこの点を具体的に挙げています。

地表面が暖められると上昇気流が発生するため、広い面積の太陽光パネルやアスファルト・コンクリートの地面が多い市街地は注意が必要である。また、広い運動場のような場所では、強い日射により上昇気流がおこりつむじ風が発生する可能性がある。

太陽光パネル・アスファルト・運動場という3つが名指しされている点が重要です。これは点検や撮影の仕事で実際に飛ばす場所そのものです。太陽光発電設備の点検、舗装された駐車場からの離陸、学校や競技場での撮影。どれも夏に上昇気流とつむじ風が出やすい条件に当てはまります。

この風は予報に出てきません。Windyにもスマホの天気アプリにも、地表の材質は入っていないからです。気象情報で読めるのは広域の風で、離陸地点の直上で起きる局所的な上昇流は、現場で見るしかありません。

見るときの手がかりは、機体の挙動です。ホバリング中に高度を保つための修正が増える、機首が勝手に振れる、同じ高度で消費電力が波を打つ。そういう兆候が出たら、上昇流のなかに入っている可能性があります。教則が挙げる場所で飛ばす日は、最初の1本を低い高度の短いホバリングから始めると、その日の空気の状態がつかめます。

時間帯のずらし方も有効です。地表が暖まるのに時間がかかる以上、上昇流がもっとも強いのは日射が蓄積した午後です。同じ場所でも午前中のほうが扱いやすくなります。地形による風の読み方はドローンと山・海・建物の風で詳しく扱っていますが、夏は地形より地表の材質のほうが効く日があります。

カメラ・ジンバル・送信機の熱

機体が飛べる状態でも、撮影や操縦の装置が先に音を上げることがあります。

ここは公表値が示されていない領域なので、断定を避けて症状と原因の対応だけを整理します。以下は現場で遭遇する順に並べたもので、メーカーの公表値ではありません。

症状 起きている可能性 現場での対処
録画が勝手に止まる 撮影系の温度上昇による保護動作 着陸して日陰で放熱。連続録画を分ける
送信機の画面が見えない 直射日光による輝度不足と反射 遮光フードを付け、背を太陽に向ける
送信機が熱くなり動作が重い 画面の高輝度表示と充電の同時進行 飛行中は充電しない。日陰で保持する
離陸前に温度の警告が出る 日なたでの待機中に機体が加熱 電源を切り、日陰に移して待つ
モーター付近が強く熱い 高温下での高負荷飛行の蓄熱 通気口を塞がず、着陸後に放熱させる

Mavic 4 Proのマニュアルには、モーターについて次の記載があります。飛行後、モーターが高温になっていることがあるため、モーターに触れたり、手や体の一部が接触したりしないようにしてください。前方モーターの温度が後方モーターより高くなるのは正常です。あわせて、モーターまたは機体の通気口を塞がないでくださいとも書かれています。

前後のモーターで温度が違うことは異常ではありません。この一文を知らないと、夏の飛行後に前のモーターだけ熱いことを不具合と判断してしまいます。逆に、左右で差が出ている場合は確認する価値があります。

教則の飛行後の点検には「各機器の異常な発熱はないか」という項目があり、国土交通省の標準飛行マニュアル①②にも1-1(2)飛行後の点検として同じ一文が入っています。夏はこの項目が形式ではなく実質になる季節です。触れる温度まで下がってから、機体・バッテリー・送信機の3つを順に確かめてください。

離陸地点のつくり方が、夏は段取りそのもの

夏の離陸地点に求められる条件は、他の季節とひとつだけ違います。飛ぶための場所ではなく、冷ますための場所として選ぶことです。

離陸地点の選び方そのものはドローンの離陸地点の選び方で扱っていますが、夏に足すのは次の3点です。

  • 日陰が確保できるか。機体を置く場所と、バッテリーを並べる場所の2か所が必要です。立木の下は日陰になりますが、プロペラが落ち葉や小枝を巻き上げるので、機体を置く側には使いにくいことがあります
  • 車内を倉庫にしないこと。教則は35度超の環境での保管を避けるよう書いています。駐車した車の車内は、外気温が30度に届かない日でもこれを超えます。バッテリーを車内に残す段取りは組まないでください
  • 通電したまま待たないこと。日なたで電源を入れたまま待機すると、機体は自分の発熱と日射の両方を受けます。離陸の直前まで電源は入れないほうが、結果として早く飛べます

そして夏に必要なのは、場所よりも時間の配分です。バッテリー3本で3本飛ばす計画は、夏には成立しません。着陸したバッテリーは充電できる温度まで下がるのを待たなければならず、その待ち時間は気温と風の有無で変わります。

私が使っているのは、単純な順番の入れ替えです。飛ばし終わったバッテリーをすぐ充電器に差さず、まず日陰に並べて、次の1本を飛ばしている間に冷ます。充電器は冷めた順に回します。これだけで、充電器が充電温度の異常で止まる場面がなくなります。

補足Mavic 4 Proのマニュアルには、環境温度が充電速度に影響し、25度の換気の良い環境では充電速度がより速くなるとあります。冷ますことは、待ち時間を増やす作業ではなく減らす作業です。熱いまま差しても、充電は始まらないか遅くなります。

操縦者自身の熱を、判断の材料に入れる

ここまで機体の話をしてきましたが、夏に先に限界が来るのは操縦者です。そして前に書いたとおり、教則には熱中症に関する記載がありません。基準は自分で用意する必要があります。

使えるのが、環境省と気象庁が運用している暑さ指数(WBGT)と熱中症警戒アラートです。暑さ指数は、湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温の3つを組み入れた指標で、気温だけでは表せない暑さを数値にしたものです。

環境省の報道発表によると、令和8年度の運用は2026年4月22日から10月21日まで。発表の基準は次のとおりです。

情報 発表される基準
熱中症警戒アラート 府県予報区等内のいずれかの地点で、日最高暑さ指数が33以上と予測される場合
熱中症特別警戒アラート 都道府県内の全ての地点で、翌日の日最高暑さ指数が35以上と予測される場合

日常生活に関する指針では、暑さ指数31以上が「危険」とされ、外出はなるべく避け涼しい室内に移動することが示されています。28以上31未満が「厳重警戒」で、外出時は炎天下を避けることとされています。

これを運航の判断にどう使うか。暑さ指数は飛行の可否を決める値ではないので、そのまま中止基準にはできません。私が使っている形は、次の3段階です。

  • 厳重警戒(28以上):補助者を含めた交代の段取りを先に決める。1本ごとに全員が日陰に戻る前提で計画を組む
  • 危険(31以上):屋外で立ち続ける時間を計画に書き出す。書き出して1時間を超えるなら、時間帯をずらすか日を変える
  • 警戒アラートが出ている日(33以上の予測):依頼主に先に連絡する。当日の朝ではなく前日の夕方に伝えると、ほとんどの場合は調整がつきます

この3段階は私の運用で、法令や教則の基準ではありません。ただ、数値を決めずに現場に出ると、暑さは必ず我慢の問題にすり替わります。依頼主の前で「暑いのでやめます」と言うのは難しく、「暑さ指数が危険の区分なので時間をずらします」と言うのは難しくありません。基準を持つ目的の半分は、この説明のためです。

夏の中止・延期の線をどこに引くか

ここまでの材料を、判断の順番に並べ直します。気温から始めないことが要点です。

  1. 何本飛ばすかを数える。1本で終わる飛行なら、冷却の制約はほぼ効きません。2本目以降があるなら次に進みます
  2. 冷ます場所と時間があるかを確認する。日陰がなく、車内しか置き場がなく、飛行の間隔を空けられないなら、本数を減らすか日を変えます
  3. 機体の公表値を手元のマニュアルで確かめる。動作環境温度と充電温度範囲の2つです。予報の最高気温が動作環境温度の上限に迫る日は、時間帯をずらします
  4. 離陸地点の地面と日射を見る。太陽光パネル・アスファルト・運動場は、教則が上昇気流とつむじ風で名指ししている条件です。午前に寄せるか、1本目を低く短く始めます
  5. 操縦者と補助者の滞在時間を見積もる。暑さ指数の区分を当てはめ、屋外に立つ時間が収まらないなら、人を増やすか時間を削ります
  6. ここまでで計画が成立しないなら、延期する。夏の延期は、天候待ちと違って予測が立ちます。翌朝の早い時間に動かせば、たいてい解決します

気温そのものが中止の理由になるのは、予報の最高気温が機体の動作環境温度の上限を超える場合だけです。それ以外の夏の中止は、気温が原因ではなく段取りが成立しないことが原因です。段取りの問題なら、時間帯をずらすという打ち手が残ります。中止と延期を分けて考えると、夏はほとんどが延期で片付きます。

注意熱を理由に飛行を続行する判断を、依頼主との関係で曲げないでください。夏は「あと1本だけ」の1本が、熱くなったバッテリーで飛ぶ1本になります。教則が飛行後の点検に「各機器の異常な発熱はないか」を置いているのは、発熱が次の飛行の前提を崩すからです。異常な発熱を確認した時点で、その日の飛行は終わりです。

よくある誤解の整理

よく聞く理解 実際のところ
教則に35度と書いてあるので35度を超えたら飛ばせない 35度は保管の上限。飛行の可否は機体の動作環境温度で決まる
動作環境温度に収まっていれば普段どおり飛べる 教則は運用可能な範囲内でも高温の影響を受けると書いている
気温が40度を超えない限り充電は問題ない 先に超えるのは充電温度。飛行直後のバッテリーは外気温より高い
熱いバッテリーは保冷剤で急いで冷やせばよい 急冷は結露の原因。風を通して冷ますのが基本
標準飛行マニュアルに温度の規定がないので自由に決めてよい 規定がないのは事実だが、取扱説明書の運用限界に従う義務は残る
晴れて風が弱い日は夏がいちばん飛ばしやすい 日射が強い日はアスファルトや運動場で上昇気流とつむじ風が出る
前のモーターだけ熱いのは故障の兆候だ 前方モーターが後方より高温になるのは正常と公式マニュアルにある
飛行後の点検の発熱確認は形式的な項目だ 夏は実質的な項目。異常な発熱はその日の終了の判断材料になる

まとめ

夏の飛行は、暑さに耐える話ではなく、熱を抜く時間を段取りに組み込む話です。

一次情報が示しているのは次の点です。教則第5版は、運用可能な範囲内でも高温の影響を受けること、バッテリーを35度超の環境で保管しないこと、地表面が暖められると上昇気流が発生し、太陽光パネル・アスファルトの市街地・広い運動場では注意が必要であること、そして飛行後の点検で各機器の異常な発熱を確認することを書いています。メーカーの公表値が定めているのは、動作環境温度・充電できる温度・推奨の充電温度という3つの別々の範囲です。

この2つを突き合わせると、夏の判断はこうなります。飛ばせる気温かを確かめるのは最初ではなく3番目で、最初に数えるのは本数、次に確かめるのは冷ます場所と時間です。この順番を入れ替えると、気温は問題ないのに段取りが崩れる、という夏に特有の詰まり方をします。

裏が取れなかったことも書き残します。高温でバッテリーの飛行時間がどれだけ短くなるかについて、教則にも確認したメーカーの公表資料にも数値はありませんでした。教則が数値を示しているのは低温側だけです。また、アスファルト面と発表気温の差についても、信頼できる一般値は見つけられませんでした。この2つは記事に数字を書けません。現場で測って自分の記録を作るのが、いまのところ唯一の方法です。

暑さ指数の3段階の使い方は私の運用で、法令や教則の基準ではありません。それでも、数値を決めておくことには意味があります。暑さを我慢の問題にしないための言葉を、先に用意しておくこと。夏の判断で効くのは、そこだと思っています。

ご注意本記事は、無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(公布 令和8年7月7日/適用 令和8年7月14日)、国土交通省 標準飛行マニュアル①②、DJI Mavic 4 Pro ユーザーマニュアル v1.0(日本語版、2025年5月)、気象庁の公開情報、環境省の熱中症予防情報および報道発表(令和8年度の運用開始について)に基づく解説です。気象の状況や機体の状態は現場ごとに異なり、温度に関する仕様も機種ごとに異なります。本記事の内容は特定の飛行の安全を保証するものではありません。最終的な飛行可否の判断は機長の責任において行ってください。
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登録講習機関講師 フライトデスク 監修

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