ドローンの講習を受けたことがある方に、ひとつ質問です。その講習をしていた学校は、どんな条件を満たして「登録講習機関」になっているのでしょうか。
実習空域はどれくらい必要なのか。講師には何歳以上、どれくらいの経験が求められるのか。——全部、航空法の条文に書いてあります。しかも第132条の70の中の表に、はっきりと。
私自身が登録講習機関で講師をしている側なので、今回はいつもより身内の話になります。それでも受講される方にこそ読んでいただきたいと思っています。自分が通う学校が、どんな決まりの上に成り立っているのかが分かるからです。
そしてもうひとつ。この連載で初めて「政令」が出てきます。ここまで「法律」と「施行規則」の2階建てで説明してきましたが、じつはもう1つ階がありました。
- ドローンのルールは、4階建てでした
- 航空法 第132条の69〜第132条の84(全文)
- 第百三十二条の六十九 (登録講習機関の登録)
- 第百三十二条の七十 (登録の要件等)
- 第百三十二条の七十一 (登録の更新)
- 第百三十二条の七十二 (無人航空機講習事務の実施に係る義務)
- 第百三十二条の七十三 (登録事項の変更の届出)
- 第百三十二条の七十四 (無人航空機講習事務規程)
- 第百三十二条の七十五 (無人航空機講習事務の休廃止)
- 第百三十二条の七十六 (財務諸表等の備付け及び閲覧等)
- 第百三十二条の七十七 (適合命令)
- 第百三十二条の七十八 (改善命令)
- 第百三十二条の七十九 (登録の取消し等)
- 第百三十二条の八十 (帳簿の記載)
- 第百三十二条の八十一 (公示)
- 第百三十二条の八十二 (登録更新講習機関の登録)
- 第百三十二条の八十三 (準用)
- 第百三十二条の八十四 (国土交通大臣による無人航空機更新講習事務の実施等)
- ここからは私の解説です
- 次回は
- 出典
- 連載「ドローンの航空法をやさしく読む」(全7回)
ドローンのルールは、4階建てでした
ここまでの回で、法律には枠だけがあって、数字は施行規則にあるとお話ししてきました。今回、そこにもう1つ加わります。
| 階 | 名前 | 誰が決めるか |
|---|---|---|
| 1 | 航空法(法律) | 国会 |
| 2 | 航空法施行令(政令) | 内閣 |
| 3 | 航空法施行規則(省令) | 国土交通大臣 |
| 4 | 告示 | 国土交通大臣(個別の指定など) |
条文に「政令で定める」と書いてあったら施行令、「国土交通省令で定める」なら施行規則、「告示で定める」なら告示——という読み分けになります。今回はこの3つが全部出てきます。
航空法 第132条の69〜第132条の84(全文)
第132条の70の中にある表が、登録講習機関の条件そのものです。
第百三十二条の六十九 (登録講習機関の登録)
無人航空機講習を行う者は、申請により、国土交通大臣の登録を受けることができる。
第百三十二条の七十 (登録の要件等)
国土交通大臣は、前条の規定による登録の申請に係る無人航空機講習が、次の表の上欄に掲げる講習機関の種類に応じ、それぞれ同表の中欄に掲げる施設及び設備を用いて、それぞれ同表の下欄に掲げる講師の条件に適合する者により行われるものであるときは、その登録をしなければならない。 この場合において、登録に関して必要な手続は、国土交通省令で定める。
| 講習機関 | 施設及び設備 | 講師の条件 |
| 一 一等無人航空機操縦士の講習を行うための講習機関 | 一 実習空域(実習期間中においては、原則として占用することができるものに限る。二の項中欄第一号において同じ。) 二 実習用無人航空機(その講習を修了することにより受けることができる技能証明に応じたものに限る。二の項中欄第二号において同じ。) 三 講習を行うため必要な建物その他の設備 四 講習に必要な書籍その他の教材 | 一 十八歳以上であること。 二 過去二年間に第三項第四号に規定する無人航空機講習事務に関し不正な行為を行つた者又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者でないこと。 三 一等無人航空機操縦士の資格についての技能証明(無人航空機の飛行の方法について限定がされていないものに限る。)を有する者であつて一年以上無人航空機を飛行させた経験を有するもの又はこれと同等以上の能力を有する者であること。 |
| 二 二等無人航空機操縦士の講習を行うための講習機関 | 一 実習空域 二 実習用無人航空機 三 講習を行うため必要な建物その他の設備 四 講習に必要な書籍その他の教材 | 一 一の項下欄第一号及び第二号に掲げる講師の条件に適合する者であること。 二 二等無人航空機操縦士の資格についての技能証明(無人航空機の飛行の方法について限定がされていないものに限る。)を有する者であつて六月以上無人航空機を飛行させた経験を有するもの又はこれと同等以上の能力を有する者であること。 |
2国土交通大臣は、前条の規定により登録の申請をした者が、次の各号のいずれかに該当するときは、その登録をしてはならない。
- 一この法律又はこの法律に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
- 二第百三十二条の七十九の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
- 三法人であつて、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
3第百三十二条の六十九の登録は、登録講習機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
- 一登録年月日及び登録番号
- 二無人航空機講習を行う者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
- 三登録講習機関の種類
- 四無人航空機講習の実施に関する事務(以下「無人航空機講習事務」という。)を行う事務所の所在地
- 五前各号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項
第百三十二条の七十一 (登録の更新)
第百三十二条の六十九の登録は、三年以内において政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
2前二条の規定は、前項の登録の更新について準用する。
第百三十二条の七十二 (無人航空機講習事務の実施に係る義務)
登録講習機関は、公正に、かつ、第百三十二条の七十第一項に規定する要件及び国土交通省令で定める基準に適合する方法により無人航空機講習事務を行わなければならない。
第百三十二条の七十三 (登録事項の変更の届出)
登録講習機関は、第百三十二条の七十第三項第二号から第五号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、その二週間前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
第百三十二条の七十四 (無人航空機講習事務規程)
登録講習機関は、無人航空機講習事務の開始前に、無人航空機講習事務の実施に関する規程(次項において「無人航空機講習事務規程」という。)を定め、国土交通大臣に届け出なければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。
2無人航空機講習事務規程には、無人航空機講習の実施方法、無人航空機講習に関する料金その他の国土交通省令で定める事項を定めておかなければならない。
第百三十二条の七十五 (無人航空機講習事務の休廃止)
登録講習機関は、無人航空機講習事務に関する業務の全部又は一部を休止し、又は廃止するときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
第百三十二条の七十六 (財務諸表等の備付け及び閲覧等)
登録講習機関(国又は地方公共団体を除く。次項において同じ。)は、毎事業年度経過後三月以内に、当該事業年度の財務諸表等を作成し、五年間事務所に備えて置かなければならない。
2無人航空機講習を受講しようとする者その他の利害関係人は、登録講習機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。 ただし、第二号又は第四号の請求をするには、登録講習機関の定めた費用を支払わなければならない。
- 一財務諸表等が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
- 二前号の書面の謄本又は抄本の請求
- 三財務諸表等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を国土交通省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
- 四前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求
第百三十二条の七十七 (適合命令)
国土交通大臣は、無人航空機講習が第百三十二条の七十第一項に規定する要件に適合しなくなつたと認めるときは、当該登録講習機関に対し、当該要件に適合するため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
第百三十二条の七十八 (改善命令)
国土交通大臣は、登録講習機関が第百三十二条の七十二の規定に違反していると認めるときは、当該登録講習機関に対し、同条の規定による無人航空機講習を行うべきこと又は無人航空機講習事務の改善に関し必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
第百三十二条の七十九 (登録の取消し等)
国土交通大臣は、登録講習機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第百三十二条の六十九の登録を取り消し、又は期間を定めて無人航空機講習事務に関する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
- 一第百三十二条の七十第二項第一号又は第三号に該当するに至つたとき。
- 二第百三十二条の七十三から第百三十二条の七十五まで、第百三十二条の七十六第一項又は次条の規定に違反したとき。
- 三正当な理由がないのに第百三十二条の七十六第二項の規定による請求を拒んだとき。
- 四前二条の規定による命令に違反したとき。
- 五不正の手段により第百三十二条の六十九の登録を受けたとき。
第百三十二条の八十 (帳簿の記載)
登録講習機関は、国土交通省令で定めるところにより、無人航空機講習事務に関し国土交通省令で定める事項を帳簿に記載し、これを保存しなければならない。
第百三十二条の八十一 (公示)
国土交通大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
- 一第百三十二条の六十九の登録をしたとき。
- 二第百三十二条の七十三の規定による届出があつたとき。
- 三第百三十二条の七十五の規定による届出があつたとき。
- 四第百三十二条の七十九の規定により第百三十二条の六十九の登録を取り消し、又は業務の停止を命じたとき。
第百三十二条の八十二 (登録更新講習機関の登録)
無人航空機更新講習を行う者は、申請により、国土交通大臣の登録を受けることができる。
第百三十二条の八十三 (準用)
第百三十二条の七十から第百三十二条の八十一までの規定は、前条の登録、無人航空機更新講習及び登録更新講習機関に関する事務について準用する。
第百三十二条の八十四 (国土交通大臣による無人航空機更新講習事務の実施等)
国土交通大臣は、登録更新講習機関がいないとき、前条において準用する第百三十二条の七十五の規定による無人航空機更新講習事務に関する業務の全部又は一部の休止又は廃止の届出があつたとき、前条において準用する第百三十二条の七十九の規定により第百三十二条の八十二の登録を取り消し、又は登録更新講習機関に対し当該登録に係る業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、登録更新講習機関が天災その他の事由により無人航空機更新講習事務に関する業務の全部又は一部を実施することが困難となつたとき、その他必要があると認めるときは、無人航空機更新講習事務に関する業務の全部又は一部を自ら行うことができる。
2国土交通大臣が前項の規定により無人航空機更新講習事務に関する業務の全部又は一部を自ら行う場合における無人航空機更新講習事務の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定める。
ここからは私の解説です
講師の条件は、条文の中の表に書かれています
第132条の70第1項の表が、この回の中心です。一等の講習をする機関と二等の講習をする機関で、講師に求められるものが違います。
| 一等の講習を行う機関 | 二等の講習を行う機関 | |
|---|---|---|
| 年齢 | 18歳以上であること | |
| 欠格 | 過去2年間に講習事務に関する不正行為がないこと/航空法違反で罰金以上の刑を受けてから2年を経過していること | |
| 資格と経験 | 一等の技能証明(飛行の方法の限定なし)+1年以上の飛行経験、または同等以上の能力 | 二等の技能証明(飛行の方法の限定なし)+6月以上の飛行経験、または同等以上の能力 |
ここで注目していただきたいのが「無人航空機の飛行の方法について限定がされていないものに限る」という括弧書きです。
技能証明には限定が付くことがあります(第5回で読んだ第132条の43です)。目視内に限定された技能証明では、講師にはなれません。限定を外した技能証明が必要、ということが条文で決まっています。
そして「又はこれと同等以上の能力を有する者」という受け皿も、両方に付いています。制度が始まる前から指導してきた方などを想定した書きぶりだと思います。
施設と設備の条件は4つです
| 号 | 一等の講習を行う機関 | 二等の講習を行う機関 |
|---|---|---|
| 一 | 実習空域(実習期間中は原則として占用できるものに限る) | 実習空域 |
| 二 | 実習用無人航空機(その講習で受けられる技能証明に応じたもの) | 実習用無人航空機 |
| 三 | 講習を行うため必要な建物その他の設備 | |
| 四 | 講習に必要な書籍その他の教材 | |
一等と二等で違うのは実習空域です。一等は「実習期間中においては、原則として占用することができるもの」という限定が付いています。他の人と共用の場所では足りない、ということです。
立入管理措置を講じずに飛ばす資格を教えるのですから、練習の場も他人が入ってこない状態にする——筋の通った条件だと思います。
ここで初めて「政令」が出てきます
第132条の71です。
第百三十二条の六十九の登録は、三年以内において政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
ここまでずっと「国土交通省令で定める」だったのが、ここだけ「政令」です。答えは航空法施行令 第13条にあります。1文だけなので、こちらも全文を載せます。
第十三条 (登録講習機関の登録の有効期間等)
法第百三十二条の七十一第一項(法第百三十二条の八十三において準用する場合を含む。)の政令で定める期間は、三年とする。
3年です。そして括弧書きのとおり、登録更新講習機関も同じ3年です。
なぜ省令ではなく政令なのか——条文からは読み取れませんが、機関の資格に関わる期間は、大臣の判断だけでは変えられないところに置いているという整理なのだろうと、私は受け取りました。ここは私の推測で、確定ではありません。
変更の届出は「2週間前まで」です。事後ではありません
第132条の73です。
登録講習機関は、……事項の変更をしようとするときは、その二週間前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
第3回で読んだ機体の登録事項の変更は「事由があった日から15日以内」=事後でした。こちらは事前です。
| 何の変更か | いつ | 条 |
|---|---|---|
| 機体の登録事項 | 事由があった日から15日以内(事後) | 第132条の8 |
| 登録講習機関の登録事項 | 変更しようとする日の2週間前まで(事前) | 第132条の73 |
機関の情報は官報で公示されることになっています(第132条の81第2号)。受講しようとする人が見る情報ですから、変わってから知らせるのでは間に合わない——そういう考え方だと読めます。
受講しようとする人は、財務諸表を見ることができます
これは私が読んでいて「よく書いてあるな」と思ったところです。第132条の76です。
登録講習機関……は、毎事業年度経過後三月以内に、当該事業年度の財務諸表等を作成し、五年間事務所に備えて置かなければならない。
2 無人航空機講習を受講しようとする者その他の利害関係人は、登録講習機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
「受講しようとする者」が名指しで書かれています。まだ申し込んでいない人でも、閲覧や謄写を請求できるということです。
講習は決して安い買い物ではありません。その学校が続いていけるのかを、法律が見せることにしている。使う機会は多くないかもしれませんが、こういう権利があることは知っておいてよいと思います。
なお、謄本・抄本の請求など一部の請求には、登録講習機関の定めた費用がかかります(同項ただし書)。国や地方公共団体が行う場合は、この条は適用されません。
登録できない人・法人もあります
第132条の70第2項の3つです。
| 号 | 登録を受けられない者 |
|---|---|
| 一 | 航空法違反で罰金以上の刑を受け、その執行が終わってから2年を経過していない者 |
| 二 | 第132条の79により登録を取り消され、その日から2年を経過していない者 |
| 三 | 役員のうちに前2号に該当する者がいる法人 |
三号があるので、法人の名前を変えても、役員がそのままなら登録できません。
登録更新講習機関は、同じ規律がそのまま準用されます
第132条の82と第132条の83は、あわせて2文しかありません。
第百三十二条の七十から第百三十二条の八十一までの規定は、前条の登録、無人航空機更新講習及び登録更新講習機関に関する事務について準用する。
登録の要件も、更新の3年も、2週間前の届出も、財務諸表の備え置きも、官報公示も、全部同じということです。条文を書き写す代わりに1文で済ませています。
第5回で読んだとおり、技能証明の更新には登録更新講習機関の講習が必要です(第132条の51第3項)。3年ごとに更新する側からすると、この機関も3年ごとに登録を更新していることになります。
次回は
次回は、この連載の最後になります。指定試験機関(第132条の56〜第132条の68)と登録検査機関(第132条の24〜第132条の39)——試験をする機関と機体を検査する機関の条文をまとめて読みます。
私たちが受ける試験を誰が実施しているのか、機体認証の検査を誰がしているのか。国が直接やっているわけではない部分の仕組みが、そこに書かれています。
出典
- e-Gov法令検索「航空法」(昭和27年法律第231号)2026年9月時点の現行版
- e-Gov法令検索「航空法施行令」(昭和27年政令第421号)2026年9月時点の現行版
- e-Gov法令検索「航空法施行規則」(昭和27年運輸省令第56号)2026年9月時点の現行版
- 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
本記事の内容は2026年9月時点のものです。登録講習機関の一覧や登録の手続きは国土交通省の案内でご確認ください。法令には著作権がありません(著作権法第13条第1号)ので、条文はそのまま掲載しています。
登録講習機関講師 フライトデスク 監修



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