第1回では、どこで飛ばすか(第132条の85)とどうやって飛ばすか(第132条の86)を読みました。第2回は、その先です。飛行計画、飛行日誌、事故が起きたときの措置——実際に飛ばす人が毎回向き合う部分を読みます。
そして最後に罰則を読みます。ここで、ひとつお伝えしたいことがあります。教則第5版と、いまの航空法で、書きぶりが食い違っている箇所があります。金額は同じなのに、刑の名前だけが違います。理由も含めて、後半でお話しします。
もうひとつ。教則がさんざん使っている「特定飛行」という言葉。その定義がどこにあるかご存じですか。第132条の85でも86でもありません。今回読む第132条の87の、しかも文の途中にあります。
航空法 第132条の87〜第132条の92(全文)
読みにくければ、先に解説から読んでいただいてもかまいません。あとで戻ってこられるように置いておきます。
第百三十二条の八十七 (第三者が立ち入つた場合の措置)
無人航空機を飛行させる者は、第百三十二条の八十五第一項各号に掲げる空域における飛行又は前条第二項各号に掲げる方法のいずれかによらない飛行(以下「特定飛行」という。)を行う場合(立入管理措置を講ずることなく飛行を行う場合を除く。)において、当該特定飛行中の無人航空機の下に人の立入り又はそのおそれのあることを確認したときは、直ちに当該無人航空機の飛行を停止し、飛行経路の変更、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがない場所への着陸その他の必要な措置を講じなければならない。
第百三十二条の八十八 (飛行計画)
無人航空機を飛行させる者は、特定飛行を行う場合には、あらかじめ、当該特定飛行の日時、経路その他国土交通省令で定める事項を記載した飛行計画を国土交通大臣に通報しなければならない。 ただし、あらかじめ飛行計画を通報することが困難な場合として国土交通省令で定める場合には、特定飛行を開始した後でも、国土交通大臣に飛行計画を通報することができる。
2国土交通大臣は、前項の規定により通報された飛行計画に従い無人航空機を飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがあると認める場合には、無人航空機を飛行させる者に対して、特定飛行の日時又は経路の変更その他の必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
3第一項の規定により飛行計画を通報した無人航空機を飛行させる者は、前項に規定する国土交通大臣の指示に従うほか、飛行計画に従つて特定飛行を行わなければならない。 ただし、航空機の航行の安全又は地上若しくは水上の人若しくは物件の安全を確保するためにやむを得ない場合は、この限りでない。
第百三十二条の八十九 (飛行日誌)
無人航空機を飛行させる者は、特定飛行を行う場合には、飛行日誌を備えなければならない。
2特定飛行を行う者は、無人航空機を航空の用に供し、又は整備し、若しくは改造した場合には、遅滞なく飛行日誌に国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
第百三十二条の九十 (事故等の場合の措置)
次に掲げる無人航空機に関する事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、直ちに当該無人航空機の飛行を中止し、負傷者を救護することその他の危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。
- 一無人航空機による人の死傷又は物件の損壊
- 二航空機との衝突又は接触
- 三その他国土交通省令で定める無人航空機に関する事故
2前項各号に掲げる事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、当該事故が発生した日時及び場所その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に報告しなければならない。
第百三十二条の九十一
無人航空機を飛行させる者は、飛行中航空機との衝突又は接触のおそれがあつたと認めたときその他前条第一項各号に掲げる事故が発生するおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したと認めたときは、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
第百三十二条の九十二 (捜索、救助等のための特例)
第百三十二条の八十五、第百三十二条の八十六(第一項を除く。)及び第百三十二条の八十七から第百三十二条の八十九までの規定は、都道府県警察その他の国土交通省令で定める者が航空機の事故その他の事故に際し捜索、救助その他の緊急性があるものとして国土交通省令で定める目的のために行う無人航空機の飛行については、適用しない。
航空法施行規則 第236条の83〜第236条の89(全文)
飛行計画に何を書くか、飛行日誌に何を記録するかは、こちらに全部並んでいます。
第二百三十六条の八十三 (無人航空機の飛行計画等)
法第百三十二条の八十八第一項本文の国土交通省令で定める事項は、次の各号に掲げる事項とする。
- 一無人航空機の登録記号及び種類
- 二無人航空機の型式(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る。以下同じ。)
- 三無人航空機を飛行させる者の氏名
- 四無人航空機を飛行させる者の無人航空機操縦者技能証明書番号(無人航空機操縦者技能証明書の交付を受けている場合に限る。以下同じ。)
- 五許可又は承認(法第百三十二条の八十五第二項若しくは第四項第二号の許可又は法第百三十二条の八十六第三項若しくは第五項第二号の承認をいう。以下同じ。)の番号(許可又は承認を受けている場合に限る。)
- 六飛行の目的、高度及び速度
- 七飛行させる飛行禁止空域及び飛行の方法
- 八出発地
- 九目的地
- 十目的地に到着するまでの所要時間
- 十一立入管理措置の有無及びその内容
- 十二無人航空機の事故等により支払うことのある損害賠償のための保険契約の有無及びその内容
- 十三その他参考となる事項
2法第百三十二条の八十八第一項の規定による通報は、電磁的方法により行うものとする。
3法第百三十二条の八十八第一項の規定により通報した飛行計画を変更する場合には、第一項各号に掲げる事項のうち、無人航空機の登録記号及び変更しようとする事項を通報すれば足りる。
4法第百三十二条の八十八第一項ただし書の規定により特定飛行を開始した後に飛行計画を通報する場合は、当該特定飛行の開始後速やかに通報しなければならない。
5法第百三十二条の八十八第一項ただし書の国土交通省令で定める場合は、飛行計画に係るシステムに障害が発生したことにより、飛行を開始するまでの間において飛行計画を通報する手段のない場合とする。
第二百三十六条の八十四 (飛行日誌)
法第百三十二条の八十九第一項の規定により無人航空機を飛行させる者が備えなければならない飛行日誌は、飛行記録、日常点検記録及び点検整備記録とする。
2法第百三十二条の八十九第二項の規定により飛行日誌に記載すべき事項は、次のとおりとする。
- 一飛行記録
- イ無人航空機の登録記号、種類及び型式
- ロ無人航空機の型式認証書番号(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る。)
- ハ機体認証の区分及び機体認証書番号(機体認証を受けた無人航空機に限る。)
- ニ無人航空機の製造者及び製造番号
- ホ無人航空機の飛行に関する次の記録
- (1)飛行年月日
- (2)飛行させた者の氏名及び無人航空機操縦者技能証明書番号
- (3)飛行の目的及び経路
- (4)飛行させた飛行禁止空域及び飛行の方法
- (5)離陸場所及び離陸時刻
- (6)着陸場所及び着陸時刻
- (7)飛行時間
- (8)製造後の総飛行時間
- (9)飛行の安全に影響のあつた事項の有無及びその内容
- ヘ不具合及びその対応に関する次の記録
- (1)不具合の発生年月日及びその内容
- (2)対応を行つた年月日及びその内容並びに確認を行つた者の氏名
- 二日常点検記録
- イ前号イからニまでに掲げる事項
- ロ日常点検に関する次の記録
- (1)実施の年月日及び場所
- (2)実施者の氏名
- (3)点検項目ごとの日常点検の結果
- (4)その他特記事項
- 三点検整備記録
- イ第一号イからニまでに掲げる事項
- ロ点検、修理、改造又は整備に関する次の記録
- (1)実施の年月日及び場所
- (2)実施者の氏名
- (3)点検、修理、改造及び整備の内容(部品を交換した場合にあつては、当該交換部品名を含む。)
- (4)実施の理由
- (5)最近の機体認証後の総飛行時間
- (6)その他特記事項
第二百三十六条の八十五 (無人航空機の事故に関する報告)
法第百三十二条の九十第二項の国土交通省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
- 一無人航空機を飛行させた者の氏名及び所属する会社その他の団体がある場合にあつてはその名称
- 二無人航空機を飛行させた者の住所(所属する会社その他の団体がある場合にあつてはその所在地。第二百三十六条の八十七第二号において同じ。)
- 三無人航空機を飛行させた者の無人航空機操縦者技能証明書番号
- 四許可又は承認を受けた年月日及び当該許可又は承認の番号(許可又は承認を受けている場合に限る。第二百三十六条の八十七第五号において同じ。)
- 五無人航空機の登録記号、型式、製造者及び製造番号
- 六無人航空機の機体認証書番号(機体認証を受けた無人航空機に限る。第二百三十六条の八十七第七号において同じ。)
- 七無人航空機の使用者の氏名又は名称
- 八出発地及び到着予定地
- 九飛行の目的及び概要
- 十事故の概要
- 十一人の死傷又は物件の損壊概要
- 十二無人航空機の損壊概要(無人航空機が損壊した場合に限る。第二百三十六条の八十七第十三号において同じ。)
- 十三その他参考となる事項
第二百三十六条の八十六 (無人航空機の事故が発生するおそれがあると認められる事態の報告)
法第百三十二条の九十一の国土交通省令で定める事態は、次に掲げる事態とする。
- 一無人航空機による人の負傷(法第百三十二条の九十第一項第一号に掲げる人の死傷を除く。次条第十二号において同じ。)
- 二無人航空機の制御が不能となつた事態
- 三無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る。)
第二百三十六条の八十七
法第百三十二条の九十一の規定により、無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる事項を国土交通大臣に報告しなければならない。
- 一無人航空機を飛行させた者の氏名及び所属する会社その他の団体がある場合にあつてはその名称
- 二無人航空機を飛行させた者の住所
- 三無人航空機を飛行させた者の無人航空機操縦者技能証明書番号
- 四報告に係る事態が発生した日時及び場所
- 五許可又は承認を受けた年月日及び当該許可又は承認の番号
- 六無人航空機の登録記号、型式、製造者及び製造番号
- 七無人航空機の機体認証書番号
- 八無人航空機の使用者の氏名又は名称
- 九出発地及び到着予定地
- 十飛行の目的及び概要
- 十一報告に係る事態の概要
- 十二人の負傷の概要(前条第一号に掲げる事態の場合に限る。)
- 十三無人航空機の損壊概要
- 十四その他参考となる事項
第二百三十六条の八十八 (捜索又は救助のための特例)
法第百三十二条の九十二の国土交通省令で定める者は、国若しくは地方公共団体又はこれらの者の依頼により捜索若しくは救助を行う者とする。
第二百三十六条の八十九
法第百三十二条の九十二の国土交通省令で定める目的は、捜索又は救助とする。
航空法 第157条の6〜第157条の11(罰則・全文)
第百五十七条の六 (無人航空機の飛行等に関する罪)
第百三十二条の九十第一項の規定に違反して、危険を防止するために必要な措置を講じなかつた者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
第百五十七条の七
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
- 一第百三十二条の二の規定に違反して、無人航空機を航空の用に供したとき。
- 二第百三十二条の三十六第二項の規定による命令に違反したとき。
- 三第百三十二条の六十六第一項の規定による命令に違反したとき。
- 四第百三十二条の七十九(第百三十二条の八十三において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反したとき。
2次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
- 一第百三十二条の三十三第一項の規定に違反して、無人航空機検査事務に関して知り得た秘密を漏らした者
- 二第百三十二条の六十三第一項の規定に違反して、試験事務に関して知り得た秘密を漏らした者
第百五十七条の八
第百三十二条の八十六第一項第一号の規定に違反して、道路、公園、広場その他の公共の場所の上空において無人航空機を飛行させた者は、一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
第百五十七条の九
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
- 一第百三十二条の五第二項の規定に違反して、登録無人航空機を航空の用に供したとき。
- 二第百三十二条の九(第一号に係る部分に限る。)の規定による命令に違反して、登録無人航空機を航空の用に供したとき。
- 三第百三十二条の十四第一項の規定に違反して、指定された使用の条件の範囲を超えて、特定飛行を行つたとき。
- 四第百三十二条の十五第一項の規定による命令に違反して、特定飛行を行つたとき(第百三十二条の八十五第四項及び第百三十二条の八十六第五項に該当する場合を除く。)。
- 五第百三十二条の二十の規定に違反して、情報の提供をせず、又は虚偽の情報を提供したとき。
- 六第百三十二条の二十二第一項の規定による命令に違反したとき。
- 七第百三十二条の四十三第二項の規定に違反して、特定飛行を行つたとき。
- 八第百三十二条の四十四第二項の規定に違反して、特定飛行を行つたとき。
- 九第百三十二条の八十五第一項の規定に違反して、無人航空機を飛行させたとき。
- 十第百三十二条の八十五第二項の規定に違反して、無人航空機を飛行させたとき。
- 十一第百三十二条の八十五第三項の規定に違反して、無人航空機を飛行させたとき。
- 十二第百三十二条の八十六第一項第二号又は第三号の規定に違反して、無人航空機を飛行させたとき。
- 十三第百三十二条の八十六第一項第四号の規定に違反して、道路、公園、広場その他の公共の場所の上空において無人航空機を飛行させたとき。
- 十四第百三十二条の八十六第二項第一号から第四号までの規定に違反して、無人航空機を飛行させたとき。
- 十五第百三十二条の八十六第二項第五号の規定に違反して、無人航空機により同号の物件を輸送したとき。
- 十六第百三十二条の八十六第二項第六号の規定に違反して、無人航空機から物件を投下したとき。
- 十七第百三十二条の八十六第三項の規定に違反して、無人航空機を飛行させたとき。
- 十八第百三十二条の八十六第四項の規定に違反して、無人航空機を飛行させたとき。
- 十九第百三十二条の八十七の規定に違反して、必要な措置を講じなかつたとき。
第百五十七条の十
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
- 一第百三十二条の十三第九項の規定に違反して、表示を付したとき。
- 二第百三十二条の十八第二項の規定に違反して、記録を作成せず、若しくは虚偽の記録を作成し、又は記録を保存しなかつたとき。
- 三第百三十二条の十九第一項の規定に違反して、表示を付さなかつたとき。
- 四第百三十二条の十九第二項の規定に違反して、表示を付したとき。
- 五第百三十二条の三十一の規定に違反して、許可を受けないで無人航空機検査事務の全部を廃止したとき。
- 六第百三十二条の三十七の規定に違反して、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
- 七第百三十二条の六十五第一項の規定に違反して、許可を受けないで試験事務の全部を廃止したとき。
- 八第百三十二条の七十五(第百三十二条の八十三において準用する場合を含む。)の規定による届出をしないで無人航空機講習事務に関する業務の全部若しくは一部を休止し、若しくは廃止し、又は虚偽の届出をしたとき。
- 九第百三十二条の八十(第百三十二条の八十三において準用する場合を含む。)の規定に違反して、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
- 十第百三十二条の八十八第一項の規定に違反して、通報をしないで、特定飛行を行つたとき。
- 十一第百三十二条の八十八第二項の規定による指示に従わないで、無人航空機を飛行させたとき。
- 十二第百三十四条の三第三項の規定に違反して、無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で同項の国土交通省令で定めるものをしたとき。
2第百三十二条の九十第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第百五十七条の十一
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、十万円以下の罰金に処する。
- 一第百三十二条の五十四の規定に違反して、無人航空機操縦者技能証明書を携帯しないで特定飛行を行つたとき。
- 二第百三十二条の八十九第一項の規定に違反して、飛行日誌を備えなかつたとき。
- 三第百三十二条の八十九第二項の規定に違反して、飛行日誌に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき。
ここからは私の解説です
「特定飛行」の定義は、こんなところにありました
第132条の87を、ゆっくり読んでみてください。
無人航空機を飛行させる者は、第百三十二条の八十五第一項各号に掲げる空域における飛行又は前条第二項各号に掲げる方法のいずれかによらない飛行(以下「特定飛行」という。)を行う場合において……
括弧の中です。この1か所で「特定飛行」が定義されています。
中身を分解すると、こうなります。
| 特定飛行= | 根拠 |
|---|---|
| 第132条の85第1項各号の空域での飛行 | 空港周辺・150メートル以上・人口集中地区など |
| 第132条の86第2項各号の方法によらない飛行 | 夜間・目視外・30メートル未満・催し・危険物・物件投下 |
ここで大事なのは、第132条の86の第1項が入っていないことです。アルコールや飛行前の確認は、特定飛行の定義には含まれません。あれは特定飛行かどうかに関係なく、いつでも守るものだからです。第1回でお話しした「第1項は承認では外せない」という話と、ここでつながります。
飛行計画は「電磁的方法により行う」と書いてあります
第132条の88は、特定飛行をするならあらかじめ飛行計画を国土交通大臣に通報しなさいという条文です。何を通報するかは施行規則 第236条の83 に13項目あります。
私が面白いと思ったのは第2項です。
法第百三十二条の八十八第一項の規定による通報は、電磁的方法により行うものとする。
紙は想定されていません。いまはDIPSで登録しますが、その根拠がこの1行です。
そして第5項に、後から通報してよい場合が書かれています。
……国土交通省令で定める場合は、飛行計画に係るシステムに障害が発生したことにより、飛行を開始するまでの間において飛行計画を通報する手段のない場合とする。
認められているのはシステム障害のときだけです。「うっかり忘れていた」「時間がなかった」は、この条文には入っていません。
飛行日誌は3つで1組です
第132条の89は、たった2項・136字しかありません。「特定飛行を行う場合には、飛行日誌を備えなければならない」——それだけです。中身は施行規則 第236条の84 にあります。
……備えなければならない飛行日誌は、飛行記録、日常点検記録及び点検整備記録とする。
3つそろって「飛行日誌」です。1つでも欠けていると、備えたことになりません。記載事項は施行規則に細かく並んでいますので、上の全文でご確認ください。飛行記録だけで9項目、日常点検記録・点検整備記録がそれぞれ4項目と6項目あります。
報告には2種類あります。「事故」と「おそれ」です
第132条の90が事故、第132条の91が事故になりそうだった事態です。混ざりやすいので、並べて整理します。
| 条 | 対象 | 中身 |
|---|---|---|
| 第132条の90 | 事故 | 人の死傷/物件の損壊/航空機との衝突・接触 |
| 第132条の91 | おそれ | 航空機との衝突・接触のおそれ、ほか施行規則で定める事態 |
「おそれ」の中身は施行規則 第236条の86 に3つだけ挙がっています。
| 号 | 報告する事態 |
|---|---|
| 一 | 無人航空機による人の負傷(死傷にあたるものを除く) |
| 二 | 無人航空機の制御が不能となった事態 |
| 三 | 無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る) |
三号の括弧書きに注目していただきたいです。飛行中の発火に限られています。保管中や充電中にバッテリーが燃えた場合は、この報告の対象ではない、という書き方になっています。
そして第132条の90第1項は「直ちに当該無人航空機の飛行を中止し、負傷者を救護すること」から始まります。報告より先に、まず止めて、助ける。条文の順番がそうなっています。
捜索・救助では、ほとんどの条文が外れます。ただし1つを除いて
第132条の92は、警察などが捜索・救助のために飛ばす場合の特例です。適用しない条文が並んでいますが、括弧の中を見てください。
第百三十二条の八十五、第百三十二条の八十六(第一項を除く。)及び第百三十二条の八十七から第百三十二条の八十九までの規定は、……適用しない。
第132条の86第1項だけが、除かれています。人命がかかった捜索・救助であっても、アルコールの影響下では飛ばせませんし、飛行前の確認も省けません。
第1回で「第1項は承認では外せない」とお話ししました。捜索・救助という最も切迫した場面でも外れない。この一貫性が、私はこの法律のいちばん分かりやすいところだと思っています。
罰則の読み方
まず全体像です
無人航空機に関する罰則は、第157条の6から第157条の11までの6条です。重い順に並べると、こうなります。
| 条 | 罰 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 第157条の6 | 2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 事故のときに危険を防止する措置を講じなかった |
| 第157条の7 | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 登録を受けずに飛行させた、命令違反、秘密を漏らした |
| 第157条の8 | 1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 | アルコール・薬物(公共の場所の上空) |
| 第157条の9 | 50万円以下の罰金 | 禁止空域、飛行の方法、第三者立入り時の措置など19号 |
| 第157条の10 | 30万円以下の罰金 | 飛行計画の未通報、事故の報告をしない・虚偽など |
| 第157条の11 | 10万円以下の罰金 | 技能証明書の不携帯、飛行日誌を備えない・記載しない |
いちばん重いのが事故のときに措置を講じなかった場合だ、という点は覚えておく価値があると思います。飛ばし方の違反そのものより、起きたあとに何もしなかったことを重く見ています。
アルコールの罰則には、場所の限定がついています
ここは条文を正確に読んでいただきたいところです。第157条の8です。
第百三十二条の八十六第一項第一号の規定に違反して、道路、公園、広場その他の公共の場所の上空において無人航空機を飛行させた者は、一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
刑罰が科されるのは「公共の場所の上空」で飛ばした場合と書かれています。第157条の9第13号の「他人に迷惑を及ぼす飛行」も同じ限定がついています。
ただし誤解しないでいただきたいのは、禁止そのものに場所の限定はないということです。第132条の86第1項第一号は「アルコール又は薬物の影響により……飛行させないこと」とだけ書いていて、場所を問いません。どこであっても違反は違反です。刑罰という重い制裁の対象を、公共の場所に絞っているだけです。
それに、お酒を飲んで飛ばして人に当たれば、この条文とは関係なく業務上過失致死傷などの責任を負うことになります。教則も2.1でその点に触れています。「私有地なら大丈夫」という読み方はできません。
教則と現行の法律で、刑の名前が違います
ここが今回いちばんお伝えしたかったところです。上の条文を読んで、「あれ、拘禁刑って書いてある」と思われた方はいませんか。教則には「懲役」と書いてあるからです。
私は両方を機械で数えました。
| 文書 | 「懲役」 | 「拘禁刑」 |
|---|---|---|
| いまの航空法(e-Gov・2026年9月時点) | 0回 | 21回 |
| 教則第5版 | 5回 | 2回(小型無人機等飛行禁止法の箇所だけ) |
罰則の中身を並べると、金額は完全に一致していて、刑の名前だけが違います。
| 違反 | 教則第5版 | いまの航空法 |
|---|---|---|
| 事故時の措置を講じなかった | 2年以下の懲役+100万円以下の罰金 | 2年以下の拘禁刑+100万円以下の罰金 |
| 登録を受けずに飛行させた | 1年以下の懲役+50万円以下の罰金 | 1年以下の拘禁刑+50万円以下の罰金 |
| アルコール・薬物の影響下で飛行 | 1年以下の懲役+30万円以下の罰金 | 1年以下の拘禁刑+30万円以下の罰金 |
理由は刑法の改正です。懲役と禁錮が「拘禁刑」に一本化されました。法律の条文はいっせいに書き換わりましたが、教則第5版の本文は、航空法の部分がまだ「懲役」のまま残っています。教則も、小型無人機等飛行禁止法のところは「拘禁刑」に直してありますので、直し漏れという形です。
ここで大事なことを1つ。学科試験の根拠は教則です。ですから、試験の場では教則の書きぶりで考えるのが安全だと私は思っています。一方で、現場で法令そのものを確認するときは「拘禁刑」が正しい——そう使い分けていただくのがよいと思います。
そして金額は変わっていません。数字を覚えている方は、そのままで大丈夫です。
この連載について
今回で、航空法のうち「飛ばすときのルール」の部分は全文を読み終わりました。禁止空域、飛行の方法、第三者の立入り、飛行計画、飛行日誌、事故の報告、そして罰則です。
航空法の第11章「無人航空機」には、このほかに登録(第132条〜)、機体認証、技能証明と登録講習機関の規定があります。合わせて92条あります。そちらも順に扱っていく予定です。
出典
- e-Gov法令検索「航空法」(昭和27年法律第231号)2026年9月時点の現行版
- e-Gov法令検索「航空法施行規則」(昭和27年運輸省令第56号)2026年9月時点の現行版
- 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
本記事の内容は2026年9月時点のものです。法令は改正されることがありますので、実際の運航にあたっては最新の条文と国土交通省の案内をご確認ください。法令には著作権がありません(著作権法第13条第1号)ので、条文はそのまま掲載しています。
登録講習機関講師 フライトデスク 監修



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