2026年7月14日から、学科試験の内容が「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」に切り替わりました。
7月13日までに受験した方は第4版、7月14日以降に受験する方は第5版です。
この記事では、第4版と第5版を全文で突き合わせて、変わった箇所をすべて洗い出しました。
結論から言うと、覚え直しが必要なのは3つだけです。
そのかわり、その3つは確実に正答が変わります。古い数字のまま覚えていると失点します。
まず結論:覚え直すのは3つだけ
第5版で「正答そのものが変わる」のは次の3点です。
| 論点 | 第4版(〜7/13) | 第5版(7/14〜) |
|---|---|---|
| 小型無人機等飛行禁止法 イエローゾーンの範囲 |
周囲おおむね300m | 周囲おおむね1,000m |
| 同法 イエローゾーンの罰則 |
退去命令に違反した場合のみ処罰 | 飛行そのものが処罰対象 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 技能証明の更新申請期間 | 満了日の6月以内 | 満了日の6月前から1月前まで |
この3つだけは、いま覚えている内容を上書きしてください。
なお更新申請期間の変更は、これから更新を迎える方には実務そのものです。詳しくは技能証明の更新2026|締め切りは満了1か月前にまとめました。
残りは「新しく追加された論点」と「表現の見直し」です。順に見ていきます。
変更点① イエローゾーンが300m→1,000mに拡大
国会議事堂や内閣総理大臣官邸などの重要施設。
その敷地・区域の上空がレッドゾーン、周囲がイエローゾーンです。
このイエローゾーンの範囲が、おおむね300mからおおむね1,000mへ3倍以上に拡大されました。
なお、小型無人機等飛行禁止法は重量に関係なく適用されます。
100g未満のトイドローンも対象です。ここは第4版から変わっていません。
対象となる重要施設に2つ追加
あわせて、指定できる施設の種類も増えました。
- 天皇または内閣総理大臣の所在する施設であって、国内要人が出席する行事会場等
- 外国要人が参加する国際会議の準備または運営のために使用される会議場施設等
いずれも「一時的に対象となる場所」という性格のものです。
変更点② イエローゾーンでの飛行が直罰化
ここは範囲の拡大よりも重要かもしれません。
第4版までは、イエローゾーンで飛ばしても警察官等の命令に違反して初めて罰則の対象でした。
第5版では、飛ばした時点で罰則の対象になります。
| 区域 | 罰則 |
|---|---|
| レッドゾーン(敷地・区域の上空) および命令違反 |
1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| イエローゾーン(周囲おおむね1,000m) | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(新設) |
変更点③ 技能証明の更新申請期間が変わった
技能証明の有効期間は3年。ここは変わりません。
変わったのは、いつ更新申請できるかです。
| 第4版 | 第5版 | |
|---|---|---|
| 申請できる期間 | 有効期間が満了する日以前6月以内 | 有効期間が満了する日の6月前から1月前までの間 |
| 更新講習 | 申請日以前3月以内に修了(変更なし) | |
| 有効期間 | 3年(変更なし) | |
第4版は「6月以内ならいつでも」でした。
第5版は始まり(6月前)と終わり(1月前)の両方が決まっています。
つまり、満了直前の駆け込み申請はできなくなりました。
新しく追加された論点
ここからは「正答が変わる」ではなく「新しく問われうる」箇所です。
第5版で追記されたので、市販の問題集にはまだ載っていない可能性が高い部分です。
工業専用地域はDIDの許可手続きが不要に
人口集中地区(DID)の上空は、原則として許可が必要です。
ただし第5版では、都市計画法第8条第1項第1号の工業専用地域内の区域については、DIDに係る許可手続き等が不要と明記されました。
規制対象空域の記述も「人口集中地区の上空(工業専用地域内の区域の上空を除く。)」に改められています。
農薬散布等で一部の承認が不要に
航空法施行規則第236条の82第1項第2号の要件を満たす場合、農薬等の空中散布などについて次の承認手続き等が不要になりました。
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 第三者から30m以内の飛行
- 危険物輸送
- 物件投下
この例外は第5版で新設された項目(d.)です。
保険の付保範囲に「総重量25kg以上」が追加
第4版では、第三者賠償責任保険が求められるのはレベル3.5飛行の場合という書き方でした。
第5版では、総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合も対象として明記されています。
特例飛行の具体例が追記
捜索・救助等のための特例について、具体的な適用事例が示されました。
震災発生に伴う仮設住宅建設予定調査のための飛行、獣害を未然に防ぐための飛行などです。
他サイトの解説で見かける誤り2つ
第4版と第5版のPDFを全文で突き合わせたところ、よく見かける説明のうち2つが正確でないことがわかりました。
試験対策として影響が出るので、はっきり書いておきます。
誤り①「懲役が拘禁刑に変わった」は全面変更ではない
刑法改正を反映して「懲役」が「拘禁刑」になった、と説明されることがあります。
これは一部だけ正しい説明です。
実際に数えると、教則本文で「懲役」は第4版で5回、第5版でも4回登場します。「拘禁刑」は2回だけです。
第5版の航空法の罰則は、次のとおり「懲役」で記載されています。
| 違反行為 | 罰則 |
|---|---|
| 事故時に飛行を中止し負傷者を救護する等の措置を講じなかったとき | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
| 登録を受けていない無人航空機を飛行させたとき | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| アルコールまたは薬物の影響下で飛行させたとき | 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
「航空法の罰則も拘禁刑に変わった」と覚えると、そのまま失点につながります。
誤り②「飛行自粛空域が飛行自粛要請空域になった」は一部だけ
これも第5版の変更点として挙げられることがあります。
実際には、第4版の時点ですでに「飛行自粛要請空域」と書かれている箇所が大半でした。
第5版で「要請」が追記されたのは、飛行前点検の確認項目にあたる1箇所だけです。
用語の統一が目的なので、試験対策としての影響はほぼありません。第5版の新論点だと思って身構える必要はない部分です。
何をどう覚え直すか
ここまでを踏まえた、効率のいい上書き手順です。
1.手持ちの教材で「300m」を探し、イエローゾーンの話なら1,000mに直す
2.「6月以内」を探し、更新申請の話なら「6月前から1月前まで」に直す
3.イエローゾーンの罰則を「飛んだ時点でアウト」に上書きする
4.工業専用地域・農薬散布・保険25kgの3つを新規に覚える
5.航空法の罰則は懲役のまま、と確認しておく
第4版で覚えた内容は無駄になりません
変更されたのは教則全体のごく一部です。
PDFを全文で機械的に照合したところ、実質的な差分は13箇所でした。
そのうち正答が変わるのは3つ、新論点が3つ、残りは表記の調整です。
すでに学習を進めている方は、上の5ステップで差分だけを上書きすれば対応できます。
変更点を覚えたら、実際に解いて確認するのがいちばん早いです。
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学科試験の全体像はこちらにまとめています。
登録講習機関で講習と修了審査を担当していると、改正のたびに「どこまで覚え直すべきか」という質問を受けます。今回は範囲がはっきりしているので、あわてる必要はありません。
出典
本記事は国土交通省が公開する次の資料に基づいています。
- 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版) 令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
- 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第4版) 令和7年2月1日
- 第4版からの変更履歴【参照用】
- 指定試験機関(一般財団法人日本海事協会)および試験実施機関の告知
変更点の抽出は、第4版と第5版のPDF本文を文単位で照合し、あわせて変更履歴版のマーク箇所を全ページ走査して確認しています。
登録講習機関講師 フライトデスク 監修
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