教則第5版をやさしく読む03|2.2 安全な飛行の確保【全文+講師の解説】

教則第5版をやさしく読む03|2.2 安全な飛行の確保【全文+講師の解説】 ストック記事

「飛行前に確認することが多すぎて、何から手をつければいいのか分からない」——講習でいちばんよく聞く声です。

教則の2.2は、まさにその一覧表にあたる節です。項目が多く、読むだけでは頭に残りにくい。そこで今回は、時間の流れで並べ直すという読み方と、国が公表している「よくある墜落の原因」を並べてご紹介します。順番に意味があると分かると、覚えるのがぐっと楽になります。

教則第5版 2.2 安全な飛行の確保(全文)

出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」(令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用)。読みやすさのためレイアウトを再構成し、原本で混在している英数字の全角・半角を半角にそろえています。本記事は国土交通省の公式なものではありません。

飛行計画の作成・現地調査

  • (1) 飛行計画の作成
  • ① 無人航空機の性能、操縦者や補助者の経験や能力などを考慮して無理のない計画を立てる。
  • ② 近所を飛行するときや飛行経験のある場所を飛行する場合でも、必ず計画を立てる。
  • ③ 何かあった場合の対策を考えておく(緊急着陸地点や安全にホバリング・旋回ができる場所の設定等)。
  • ④ 計画は、ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)に事前に通報する。ただし、あらかじめ通報することが困難な場合には事後に通報してもよい。
  • (2) 飛行予定地域や周辺施設の調査
  • ① 日出や日没の時刻等
  • ② 標高(海抜高度)、障害物の位置、目標物等
  • ③ 離着陸する場所の状況等
  • ④ 地上の歩行者や自動車の通行、有人航空機の飛行などの状況等

機体の点検

飛行前には必ず機体の点検を行い、気になるところがあれば必ず整備をしてから飛行を開始する。

気象情報の収集

飛行前に、最新の気象情報(天気、風向、警報、注意報等)を収集する。

地域情報の収集

地域によっては、地方公共団体により無人航空機の飛行を制限する条例や規則が設けられていたり、立入禁止区域が設定されていたりする場合があることから、緊急用務空域や飛行自粛要請空域の情報も含め飛行予定地域の情報を収集する。(緊急用務空域や飛行自粛要請空域の詳細は、3.1.2(2)1)b.緊急用務空域、3.2.4 飛行自粛要請空域を参照)

連絡体制の確保

飛行の際には、携帯電話(通話可能範囲を確認しておく)等により関係機関(空港事務所等)と常に連絡がとれる体制を確保する。

服装に対する注意

  • ① 動きやすいもの
  • ② 素肌(頭部を含む)の露出の少ないもの
  • ③ 無人航空機の飛行を行う関係者であることが容易にわかるような服装
  • ④ 必要に応じてヘルメットや保護メガネなどの保護具を準備する。

体調管理

  • ① 体調が悪い場合は、注意力が散漫になり、判断力が低下するなど事故の原因となる。
  • ② 前日に十分な睡眠を取り、睡眠不足や疲労が蓄積した状態で操縦しないなど体調管理に努める。
  • ③ アルコール等の摂取に関する注意事項を守る。

技能証明書等の携帯

特定飛行(航空法において規制の対象となる空域における飛行又は規制の対象となる方法による飛行)を行う際には、許可書又は承認書の原本又は写し(口頭により許可等を受け、まだ許可書又は承認書の交付を受けていない場合は許可等の年月及び番号を回答できるようにしておく。)、技能証明書(技能証明を受けている場合に限る。)、飛行日誌を携行(携帯)する。

飛行中の注意

  • (1) 無理をしない

飛行中は、気象の変化に注意し、天候が悪化しそうになれば、飛行途中でもただちに帰還させるか、又は緊急着陸するなど、安全を第一に判断する。危険な状況になった場合に、適切に対応できるだけの能力を身に付けておくことは必要であるが、危険な状況になる前にそれを察知して回避することが操縦者としてより大切である。

  • (2) 監視の実施

無人航空機の事故のうち、十分に監視をしていなかったことが原因となる事故が多発している。無人航空機の飛行する空域や場所には、他の航空機をはじめ、ビルや家屋といった建物や自動車、電柱、高圧線、樹木などの飛行の支障となるものが数多く存在する。衝突防止装置を搭載する機体もあるが、衝突防止装置を過信せず、鳥等にも注意を要する。飛行に際しては、周囲の監視が最大の安全対策である。補助者を配置する場合には、情報の共有の方法についても事前に確認し、状況把握における誤解や伝達の遅れなどがないよう配慮する。

  • (3) ルールを守る

飛行中は飛行のルールを守る。また、法令や条例に定められたルール以外にも、ある地域において限定的に行われている地域の特性に応じたルールや社会通念上のマナーについても遵守する。

飛行後の注意

  • (1) 飛行後の点検

飛行が終わった後には、機体に不具合がないか等を点検し、使用後の手入れをして次回の飛行に備える。

  • (2) 適切な保管

飛行の終了後には、機体やバッテリー等を安全な状態で、適切な場所に保管する。

  • (3) 飛行日誌の作成

特定飛行を行った場合には、飛行記録、日常点検記録、点検整備記録を遅滞なく飛行日誌(紙又は電子データ)に記載する。特定飛行に該当しない飛行の場合でも、飛行日誌に記載することが望ましい。また、リスクに対する対応が不十分と感じた場合は、今後の飛行に備えた記録も行うことが望ましい。

ここからは私の解説です

2.1が「心構え」なら、2.2は「手順」です

2.2は項目が多く、読んでいるうちに何を覚えればいいのか分からなくなりがちです。そんなときは、時間の流れで並べ直すと一気に整理できます。

  • 飛行前……飛行計画の作成/現地調査/機体の点検/気象情報/地域情報/連絡体制/服装/体調管理/携行品
  • 飛行中……無理をしない/監視の実施/ルールを守る
  • 飛行後……飛行後の点検/適切な保管/飛行日誌の作成

この3つの箱に入れてしまえば、あとは箱ごとに中身を思い出すだけです。教則の項目は、ほぼこの順番どおりに並んでいます。

「監視が最大の安全対策」は、教則が言い切っている

2.2の中で、私がいちばん重いと感じているのはここです。

無人航空機の事故のうち、十分に監視をしていなかったことが原因となる事故が多発している。……飛行に際しては、周囲の監視が最大の安全対策である。

教則はふつう、断定を避けた書き方をします。その教則が「最大の安全対策である」と言い切っているのは、ここくらいです。あわせて「衝突防止装置を過信せず」とも書いています。機能があることと、見ていなくてよいことは別だ、という話です。

国が公表している「よくある墜落の原因」が、この節を裏づけている

2.2には「機体の点検」「何かあった場合の対策を考えておく」と書かれています。抽象的に見えますが、実際に何が起きているかは公表されています。

国土交通省航空局の資料「事故・重大インシデントについて」には、報告された事案のうち「無人航空機の制御が不能となった事態」に該当しなかった、よくある事例が挙げられています。原文から拾うと、次のようなものです。

  • 操縦ミス……飛行経路の設定ミスや目測誤りによる墜落
  • フェールセーフ機能の確認不足……「自動帰還機能が作動し、帰還中に樹木に衝突して墜落する事案が頻発しています」
  • 飛行前の機体点検不足……バッテリーやプロペラが確実に装着できていない、各種センサーのキャリブレーションが行われていない、経年劣化したバッテリーを使用している、といった状態で飛行を開始し、制御不能となって墜落する事案が「頻発」

ここで注目していただきたいのは、自動帰還機能そのものは正常に動いていたという点です。帰還する経路と高度を飛行前に確認していなかったために、木に当たった。これは2.2の「何かあった場合の対策を考えておく(緊急着陸地点や安全にホバリング・旋回ができる場所の設定等)」を、そのまま裏返した話です。

同じ資料は「連続して複数回飛行させる場合においても、毎回、確実な飛行前点検を行ってください」とも書いています。2本目、3本目の飛行こそ点検が飛ばされやすい——現場を見ていると、本当にそのとおりだと感じます。

携行するものは3つ

特定飛行を行うときに携行(携帯)するものは、教則では次の3つです。

  • 許可書又は承認書の原本又は写し(口頭で許可等を受けてまだ交付を受けていない場合は、許可等の年月及び番号を回答できるようにしておく)
  • 技能証明書(技能証明を受けている場合に限る)
  • 飛行日誌

「原本でなければならない」わけではなく写しでもよいこと、技能証明書は持っている人だけが対象であることが、読み落としやすいところです。

飛行計画の通報は「事前が原則、事後も可」

飛行計画はドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)へ事前に通報します。ただし教則は「あらかじめ通報することが困難な場合には事後に通報してもよい」と書いています。「必ず事前でなければならない」という言い切りは、教則の記述と違います。

試験対策としての読みどころ

2.2は項目を問う形で問われやすいところです。数を覚えておくと安定します。

  • 服装は4つ……動きやすい/素肌(頭部を含む)の露出が少ない/関係者と容易にわかる/必要に応じてヘルメットや保護メガネ
  • 体調管理は3つ……体調が悪いと注意力・判断力が落ちる/前日に十分な睡眠・疲労の蓄積を避ける/アルコール等の注意事項を守る
  • 飛行後は3つ……点検/保管/飛行日誌
  • 飛行日誌……特定飛行を行った場合は遅滞なく記載。特定飛行に該当しない飛行でも記載することが望ましい

逆に、次のような向きの記述は2.2の考え方と合いません。

  • 「近所や飛行経験のある場所なら計画は省いてよい」……教則は必ず計画を立てると書いています
  • 「衝突防止装置があるので監視は簡略化できる」……過信しないが教則の立場です
  • 「天候が悪化しても、予定した飛行は終わらせる」……飛行途中でもただちに帰還・緊急着陸が教則の立場です

おわりに

2.2は暗記項目の集まりに見えますが、ひとつひとつが実際に起きた墜落の裏返しになっています。国土交通省が公表している非該当事例と並べて読むと、覚えるというより納得して残るはずです。

次回は「2.3 事故が起きた時の対応」です。

出典

  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
  • 国土交通省航空局無人航空機安全課「事故・重大インシデントについて」

本記事の内容は2026年8月時点のものです。制度は改正されることがありますので、最新の情報は必ず国土交通省の公式サイトでご確認ください。

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