飛ばすか中止か|ドローンの電波干渉と映像途切れ 原因の切り分けと現場での回避

現場の判断

映像が固まる。数秒して戻る。また固まる。

このとき現場で何をするかは、人によってかなり違います。すぐ降ろす人、高度を下げる人、送信機を持ち替える人、とりあえず様子を見る人。

どれも間違いではありません。ただ、順番を決めていないと、原因が分からないまま飛ばし続けることになります。電波のトラブルは、そのまま操縦不能につながる可能性があるので、行き当たりばったりでいちばん困る領域です。

今回は、映像が途切れたり操縦の反応が鈍くなったりしたときに、何を疑い、どの順番で切り分け、どこで飛行をやめるかを整理します。制度と物理の裏づけがある部分と、機体や現場によって変わる部分を分けて書きます。

最初に一番大事なこと電波のトラブルは「直せるかどうか」ではなく「原因が特定できたかどうか」で続行を決めます。症状が一度おさまっても、なぜおさまったのかが説明できないなら、同じことがもう一度起きる可能性は下がっていません。原因不明のまま飛行を続けることが、この分野でいちばん危ない選択です。

映像が途切れることと、操縦できなくなることは別のできごと

まず前提の整理からです。多くの機体では、送信機から機体へ向かう操縦の信号と、機体から手元へ戻ってくる映像の信号が、同じ通信システムの中で扱われています。ただし、この2つは扱う情報量がまったく違います。

映像は情報量が大きいので、通信の余裕が減ると先に品質が落ちます。解像度が落ちる、コマが飛ぶ、止まる、という順で劣化していきます。一方、操縦の信号は情報量が小さいので、映像が止まっている間もまだ通っていることがあります。

つまり「映像が止まった」は、通信の余裕が減ったという警告として読むべきものです。まだ操縦できているうちに手を打つための猶予時間だと考えてください。ここで様子を見てしまうと、次に来るのは操縦信号の途絶です。

講習で必ず伝えていること映像が固まったとき、画面を見つめてしまう人が多いのですが、その瞬間にやるべきは画面から目を離して機体を直接見ることです。映像が止まっていても機体は飛んでいます。目視で位置と姿勢が取れていれば、映像なしでも安全な場所まで戻せます。画面に張りついていると、その一番大事な情報を捨てることになります。

2.4GHz帯が混むのは、避けようがない

「2.4GHz帯は混むから5GHz帯を使えばいい」という話をよく聞きます。これは屋外の無線LANの感覚をそのまま持ち込んだもので、上空では成り立ちません。

総務省は、無線LANの周波数帯ごとに屋内・屋外・上空の利用可否を整理して公表しています。上空利用については、令和7年4月から5.2GHz帯が条件付きで可能になりましたが、それ以外の5GHz帯・6GHz帯は上空では使えません。

周波数帯 屋外利用 上空利用
2.4GHz帯(2400-2497MHz) ○ ○
5.2GHz帯(5150-5250MHz) △ 条件付 △ 条件付
5.3GHz帯(5250-5350MHz) × ×
5.6GHz帯(5470-5730MHz) ○ ×
6GHz帯(5925-6425MHz) VLPのみ○ ×

出典は総務省 電波利用ポータル「無線LANの屋外利用/上空利用について」です。5.2GHz帯の上空利用には、技術基準適合証明等を取得した機器を使うこと、事前に総合通信局へ登録局の手続きを行うこと、告示で定められた開設区域内であること、事前に運用調整を行うことの4つがすべて必要です。運用調整は、半径10km以内に複数台が同時に運用されないよう調整するもので、業界団体を通じて行います。

この手続きを踏まない一般的な機体は、実質的に2.4GHz帯に集まります。そこには無線LAN、Bluetooth、電子レンジ、その他多数の機器が同居しています。混むのは制度上の必然であって、機体や設定の問題ではありません。

誤解しやすいところ5.7GHz帯は「無人移動体画像伝送システム」として制度化された、ドローンのための帯域です。ただし携帯局として無線局免許が必要で、第三級陸上特殊無線技士以上の資格と、運用調整団体への加入証明が要ります。免許を取らずに5.7GHz帯を出すことはできません。手続きの中身はドローンと電波法の記事にまとめています。

教則が挙げる電波の性質を、現場の症状に置き換える

教則第5版は、第4章 4.5 機体以外の要素技術の「電波」で、電波の性質を6つに整理しています。試験対策としては用語を覚えれば足りますが、現場で使うには症状に翻訳しておく必要があります。

性質 教則の記述の要点 現場で出る症状
直進 進行方向に障害物がなければ直進する 機体と自分の間に物が入った瞬間に落ちる
反射・屈折 異なる媒質間で反射や屈折が起こる 建物や水面の近くで不安定になる
回折 周波数が低いほど障害物を回り込める 物陰に入ると2.4GHz帯は特に弱い
干渉 2つ以上の波が重なり強め合う・弱め合う 特定の位置でだけ切れる、動くと戻る
減衰 距離の2乗に反比例して電力密度が減る 距離を2倍にすると余裕が急に減る

この中で現場の判断に直結するのは、回折と減衰です。教則は「2.4GHzの電波は回折しにくく直進性が高いため障害物の影響を受けやすくなる」と明記しています。周波数が高いほど回り込めないので、機体と自分の間に何かが挟まった時点で通信は一気に苦しくなります。

減衰のほうは、距離を2倍にすると電力密度が4分の1になる、という関係です。カタログの伝送距離は見通しのよい理想条件での値なので、その半分の距離でも障害物があれば足りなくなります。距離の余裕は直線的には残っていません。

マルチパスは「弱い」のではなく「打ち消し合う」

電波のトラブルで最も説明されにくいのがマルチパスです。教則の定義はこうです。

送信アンテナから放射された電波が山や建物などによる反射、屈折等により複数の経路を通って伝搬される現象をマルチパスという。反射屈折した電波は、到達するまでにわずかな遅れを生じ、一時的に操縦不能になる要因の一つとなっている。

(無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版 第4章 4.5 機体以外の要素技術/電波(1)2))

ここが重要なところで、マルチパスは電波が弱いから起きるのではありません。同じ電波が違う道を通って、時間差をつけて重なることで起きます。だから、送信機の電波が強くても起きますし、機体に近づいても解決しないことがあります。

症状の特徴は、位置に依存することです。ある一点でだけ切れて、少し動かすと直る。同じ場所に戻すとまた切れる。これは電波が届いていないのではなく、その点で打ち消し合っているためです。距離を詰めても直らないなら、まずマルチパスを疑ってください。

起きやすい場所は、反射面が多いところです。ビルに囲まれた場所、金属の壁や屋根がある倉庫や工場、大きな看板、鉄橋の下、そして水面です。水面はしばしば見落とされます。教則も「電波は水中では吸収されて大きく減衰される」と書いていますが、水面そのものは反射面として働きます。河川や海岸で低い高度を飛ばすときは、地面よりも条件が悪くなることがあります。

教則が示す対処教則は、マルチパスで一時的に操縦不能になった場合の対処として「送信機をできるだけ高い位置に持ちアンテナの向きを変えて操縦の復帰を試みる」と書いています。位置と角度を変えることで、重なり方が変わるからです。むやみに機体を動かすより先に、自分の側を動かすのが正しい順番です。

フレネルゾーン ― 「見通しが良い」の中身

「見通しが確保できていれば大丈夫」という言い方をします。この「見通し」は、目で見えるかどうかではありません。教則はフレネルゾーンという言葉で定義しています。

フレネルゾーンとは無線通信などで、電力損失をすることなく電波が到達するために必要とする領域のことをいう。無線通信での「見通しが良い」という表現は、フレネルゾーンがしっかり確保されている状態であることを意味する。

(同 電波(1)3))

フレネルゾーンは、送信アンテナと受信アンテナを結ぶ線を中心とした、細長い楕円の空間です。この空間の中に障害物があると、直線上は見えていても通信品質は落ちます。電波は線ではなく、太さのある束として飛んでいると考えてください。

教則は具体的な数値も示しています。2.4GHz帯・5.7GHz帯で2地点が100m離れている場合、フレネルゾーンの半径は2m以下です。〔一等〕の範囲では計算式も出ていて、送受信間距離100m・周波数2.4GHzのとき、波長は0.125m、半径は約1.77mになります。実際には半径の60パーセント以上のアンテナ高さが確保できていれば、障害物がない場合と同等の通信品質が確保できるとされ、この条件では約1.1m以上となります。

ここで効いてくるのが「地面も障害物である」という点です。送信機を腰の高さで持ち、地面すれすれの高度でホバリングさせると、フレネルゾーンの下半分が地面に食われます。離陸直後や着陸直前に映像が乱れやすいのは、多くの場合これが理由です。

数値の読み方1.1mという値は、送受信間距離100m・周波数2.4GHzという前提でのみ成り立つ計算結果です。距離が伸びればフレネルゾーンは太くなり、必要な高さも増えます。「送信機は1.1m以上の高さで持てばよい」という一律のルールとして覚えないでください。教則の意図は、高さを確保する必要があるという考え方のほうにあります。

送信機の持ち方は、気分の問題ではない

教則は、送信機のアンテナについて独立した項目を立てています。

送信機のアンテナから発射される電波の強さは、方向により異なる(無指向性のアンテナの場合は、アンテナの周囲に対して同様に発射される)。アンテナの角度は調整できるので、操縦時の送信機の持ち方や無人航空機の位置を考慮して最適なアンテナ角度を設定する必要がある。

(同 電波(4))

棒状のアンテナは、側面方向に強く、先端方向には弱く電波が出ます。ドーナツを横から見た形を思い浮かべてください。アンテナの先端が指している方向が、いちばん弱い方向です。

ここから、現場で守るべきことが3つ出てきます。

  • アンテナの先端を機体に向けない。真上を飛ばすときにアンテナを立てたままにすると、いちばん弱い方向を機体に向けることになります
  • 自分の体でアンテナを遮らない。送信機を体の正面に抱え込むと、体の向こう側にいる機体との間に人体という障害物が入ります
  • アンテナの面を機体の方向に向ける。板状のアンテナや平面アンテナは、面が向いている方向が強い方向です

講習で「機体が真上に来たときだけ映像が乱れる」という相談を受けることがありますが、多くはアンテナの角度で説明がつきます。真上に上げるならアンテナを寝かせる、遠くへ飛ばすなら立てる、という切り替えを操作の一部として覚えてしまうのが確実です。

もう一つ、体の向きも効きます。機体が背中側に回り込んだら、体ごと向き直る。これは目視の維持のためにも必要な動きですが、電波の面でも意味があります。

電波以外が原因のことも多い ― 切り分けの順番

映像や操縦の不調をすべて電波のせいにすると、本当の原因を見逃します。教則は、送信機の信号について〔一等〕の範囲でこう書いています。

送信機の信号は、同じ周波数帯の電波が同時かつ複数使用されているような場所では複数の電波が干渉して混信による誤作動が起きる可能性がある。(中略)無人航空機で使用される送信機からの電波だけでなく、無線LANやWi-Fi、高圧送電線の影響を受ける場合もあるため、周辺環境の確認が必要である。

(同 第4章 4.4 機体の構成/送信機(2)〔一等〕)

高圧送電線が挙がっている点に注目してください。送電線は通信のための電波を出す設備ではありませんが、周辺にノイズを発生させます。教則が名指ししているのはここまでで、変電所や鉄道の架線についても同様かどうかは、教則には書かれていません。ただし後述するとおり、変電所は飛行前の確認項目のほうには入っています。

現場で使える切り分けの表を置いておきます。あくまで疑う順番であって、断定するためのものではありません。

症状 まず疑うこと 次に疑うこと
特定の位置でだけ切れる マルチパス、障害物 アンテナの角度
距離を伸ばすと必ず切れる 減衰、フレネルゾーン 送信出力の設定
場所を変えても常に不安定 周辺の同一帯域の混雑 機体側の受信部の不良
離陸直後だけ乱れる 地面によるフレネルゾーンの遮り 送信機の持ち位置
映像は正常で位置だけ流れる GNSSの測位精度低下 コンパスの異常
特定の時間帯だけ悪い 近隣設備の稼働時間 混雑する時間帯の重なり

最後の行、映像は正常なのに位置がずれるケースは、電波の問題ではなくGNSS側の問題であることが多いです。教則は測位精度に影響を及ぼすものとして、衛星の時計の精度、捕捉している衛星の数、障害物などによるマルチパス、受信環境のノイズを挙げています。切り分け方はコンパス異常とGPS精度低下の記事に書きました。

飛ばす前に確認できること、確認できないこと

電波環境は、気象と違って予報がありません。Windyのように「明日のこの場所の電波状況」を見せてくれるものは存在しません。だから事前にできることは限られます。

教則が挙げている方法は2つです。ひとつは送信機の項の「電波混信の予防として飛行させる前に測定器などで周辺の電波の状態を確認することが望ましい」。もうひとつは〔一等〕の範囲で、スペクトラムアナライザを用いて、使用している周波数と同じ電波がその場所で使われていないか、他の機器からノイズが出ていないかを確認する方法です。教則は「様々な無線局が散在する市街地での飛行のためには、電波環境の調査は非常に重要である」と書いています。

測定器がない場合でも、地図と現地の目視でかなり絞り込めます。教則の飛行前の確認事項には、次の項目が入っています。

障害物や安全性に影響を及ぼす物件(高圧線、変電所、電波塔、無線施設等)の有無

(同 第5章 5.1 操縦者の行動規範及び遵守事項/運航時の点検及び確認事項)

ここに挙がっている4つは、いずれも電波環境に影響しうる設備です。地図で先に位置を押さえ、現地で目視確認する。これだけでも、当日になって理由の分からない不調に悩む場面はかなり減ります。

標準飛行マニュアルの差に注意国土交通省の標準飛行マニュアル②(場所を特定しない申請用)の3-1には「高圧線、変電所、電波塔及び無線施設等の施設付近では飛行させない。」という記載があります。これは努力目標ではなく、②を使って承認を受けた場合の遵守事項です。一方、標準飛行マニュアル①(場所を特定した申請用)の3-1には同じ記載がありません。①は場所ごとに事前評価する前提だからです。自分がどちらのマニュアルで承認を受けているかによって、守るべき内容が変わります。

なお「付近」の具体的な距離は、標準飛行マニュアル②にも教則にも書かれていません。何メートル離れれば足りるのかを示した数値は、確認できた範囲では存在しません。ここは自分で基準を決めて、飛行マニュアルなり社内規程なりに書いておくしかない部分です。

途切れたときにやること、やってはいけないこと

実際に通信が切れたときの機体の挙動は、フェールセーフの設定で決まります。教則の記述はこうです。

送信電波や電源容量の減少などにより飛行が継続できない場合、又は継続できないことが予想される場合は、予め飛行制御アプリケーションのフェールセーフ機能により、自動帰還モードへ切り替わり、離陸地点へ飛行する。

(同 第5章 5.2 操縦者に求められる操縦知識/緊急時の対応(1))

ただし、自動帰還が常に最善とは限りません。同じ節の冒頭に、こう書かれています。

緊急時には、離陸地点などに戻すことを前提とせず、速やかに近くの安全な無人地帯へ不時着させる。

(同 第5章 5.2 操縦者に求められる操縦知識/緊急時の対応)

この2つは矛盾しているように見えますが、そうではありません。自動帰還は機体側の既定の動作で、機長の判断はそれより上位にあるということです。離陸地点までの経路に障害物があるなら、戻すより近くの安全な場所に降ろすほうがよい。その判断ができるのは人間だけです。

やってはいけないことも整理しておきます。

  • 原因が分からないまま飛行を続けない。一度直っても、直った理由が説明できないなら再発します
  • 切れた瞬間に送信機を振り回さない。アンテナの角度を変えるのは有効ですが、大きく動かすと今度は別の方向が弱くなります。ゆっくり変えて反応を見ます
  • 切れているのに操作を続けない。遅れて届いた入力がまとめて実行されると、意図しない動きになります
  • 周囲のWi-Fi機器を勝手に止めない。他人の設備です。混信を理由に他者の適法な運用を止めることはできません

最後の点は制度の話でもあります。総務省は混信に関する申告を受け付けており、窓口は最寄りの総合通信局です。ただし、周囲の無線LAN機器が技術基準に適合し適法に運用されている場合、それを止めさせる根拠はこちらにはありません。2.4GHz帯は複数のシステムが共用する前提の帯域だからです。適法な機器どうしが同じ帯域でぶつかっている状況で申告がどう扱われるかまでは、確認が取れませんでした。個別の判断は管轄の総合通信局にご相談ください。現場としては、こちらが場所を変えるか時間を変えるかで対処することになります。

フェールセーフの動作の詳細と、自動帰還の高度をどう決めるかは、このシリーズの次回で扱います。

よくある誤解の整理

よくある理解 実際のところ 根拠
混むから5GHz帯に切り替える 上空で使える5GHz帯は5.2GHz帯のみ。条件付き 総務省 無線LANの上空利用
電波が弱いから途切れる マルチパスは強くても起きる。打ち消し合いが原因 教則 電波(1)2)
見えていれば見通しは確保できている フレネルゾーンという太さのある領域が必要 教則 電波(1)3)
アンテナは立てておけばよい 先端方向がいちばん弱い。機体の位置で変える 教則 電波(4)
169MHz帯はドローンの主力の帯域 主に2.4GHz帯・5.7GHz帯のバックアップ回線 教則 電波(2)
切れたら自動帰還に任せればよい 戻すことを前提とせず不時着させるのが原則 教則 緊急時の対応

中止の線を、どこに引くか

ここまでが判断材料です。最後に、線の引き方を書きます。数値で一律に決められない領域なので、枠組みとして示します。

私が講習で伝えているのは、次の3段階です。

  • 続行してよい:症状の原因が特定でき、その原因を取り除く手を打ち、打った後に症状が消えた場合。たとえばアンテナの角度が原因だと分かり、角度を変えたら安定した、というケースです
  • 飛行計画を変える:原因は特定できたが取り除けない場合。障害物の向こう側に回り込ませる予定だったなら、その部分をやめる。離陸地点を移す。撮影の高度を上げる。飛ばすこと自体はやめませんが、症状が出る条件には入らないようにします
  • 中止する:原因が特定できない場合。または、症状が操縦の反応にまで出ている場合。この2つはどちらも、次に何が起きるか予測できません

「原因が特定できない」を中止の条件に置くのが、この分野の要点です。気象なら風速計の数値という共通の物差しがありますが、電波にはそれがありません。だから、症状が消えたことではなく、説明がついたことを判断の根拠にします。

もうひとつ、依頼を受けている仕事の場合は、この基準を事前に依頼主へ伝えておくことを勧めます。「電波の状況によっては当日中止することがある」と言っておくだけで、当日の判断がずっと楽になります。現場で初めて説明しようとすると、どうしても続行の方向に引っ張られます。

この判断だけは動かさない操縦の入力に対する機体の反応が鈍い、または遅れている状態で飛行を続けてはいけません。映像の乱れは警告ですが、操縦の遅れはすでに制御が失われかけている状態です。この症状が出たら、原因の切り分けは後回しにして、いちばん近い安全な場所へ降ろしてください。

まとめ

この記事の要点を並べます。

  • 映像の途切れは、通信の余裕が減ったという警告。操縦が生きているうちに手を打つ
  • 上空で使える無線LANの帯域は2.4GHz帯と条件付きの5.2GHz帯のみ。混雑は制度上の必然
  • 5.7GHz帯には無線局免許と第三級陸上特殊無線技士以上の資格、運用調整が要る
  • 2.4GHzは回折しにくく直進性が高いため障害物の影響を受けやすい、と教則が明記
  • マルチパスは電波が強くても起きる。位置に依存する症状が特徴
  • 「見通しが良い」とはフレネルゾーンが確保された状態のこと。地面も障害物になる
  • アンテナの先端方向がいちばん弱い。真上を飛ばすときは寝かせる
  • 高圧線・変電所・電波塔・無線施設は、教則の飛行前確認項目に入っている
  • 標準飛行マニュアル②の3-1にはこれらの施設付近で飛行させない旨の記載がある。①にはない
  • 緊急時は離陸地点に戻すことを前提とせず、近くの安全な無人地帯へ不時着させる
  • 中止の条件は「症状が出たこと」ではなく「原因が特定できないこと」

電波は目に見えません。だから、見えないものを扱う手順をあらかじめ決めておくことが、そのまま安全につながります。当日その場で考え始めると、どうしても希望的な観測に寄ります。

気象なら数値で線を引けますが、電波はそうはいきません。代わりに、説明がつくかどうかという線を引く。それがこの領域での判断の枠組みです。

ご注意本記事は、無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版・公布 令和8年7月7日/適用 令和8年7月14日。引用は原文で確認)、国土交通省 無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領に基づく標準飛行マニュアル①②、総務省 電波利用ポータル「ドローン等に用いられる無線設備について」「無線LANの屋外利用/上空利用について」「混信に関する申告状況」(いずれも2026年9月1日閲覧)に基づく解説です。電波の状況や機体の状態は現場ごとに異なり、本記事の内容は特定の飛行の安全を保証するものではありません。制度は改正されることがあります。最終的な飛行可否の判断は機長の責任において行ってください。
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登録講習機関講師 フライトデスク 監修

この論点は学科試験にも出ます

電波の性質、マルチパス、フレネルゾーンは、教則第4章 4.5「機体以外の要素技術」の範囲です。フレネルゾーン半径の計算は一等の出題範囲に入っています。まず無料分で今の実力を測り、足りない科目を本編で埋めるのが最短です。いずれも全問解説つき・買い切りです。

▶ 一等:無料演習20問/無料模試70問/演習261問(1,280円)/演習+模試10セット バンドル(1,980円)

▶ 二等:無料演習20問/無料模試50問/演習250問(980円)/演習+模試5セット バンドル(1,480円)

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