ドローンのバッテリー管理完全ガイド|保管・膨張・寿命・記録の実務

ドローンのバッテリー管理完全ガイド|保管・膨張・寿命・記録の実務のアイキャッチ画像 現場の実務

機体は買った。予備プロペラも買った。ケースにも入れた。

それでも現場で一番つまずくのは、たいていバッテリーです。

思ったより飛ばない。冬になって急に持たなくなった。久しぶりに出したら膨らんでいた。充電が終わらない。

そしてバッテリーは、航空法上も点検の対象として名前が挙がっています。趣味の道具の話ではなく、記録に残す対象です。

最初に一番大事なこと満充電のまま置かない。空のまま置かない。教則第5版は、長期間使用しないときの保管を充電60%を目安とし、高温(35℃超)になる環境で保管しないことを求めています。この2つを守るだけで、寿命の減り方と発火リスクの両方に効きます。

バッテリーは航空法上の「点検項目」である

まず、位置づけを確認しておきます。

国土交通省の「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」には、日常点検記録の様式(様式2)が定められています。そこに並ぶ点検項目は次の9つで、最後の1つがバッテリーです。

点検項目 点検の内容
機体全般 機器の取り付け状態(ネジ、コネクタ、ケーブル等)
プロペラ 外観、損傷、ゆがみ
フレーム 外観、損傷、ゆがみ
通信系統 機体と操縦装置の通信品質の健全性
推進系統 モーター又は発動機の健全性
電源系統 機体及び操縦装置の電源の健全性
自動制御系統 飛行制御装置の健全性
操縦装置 外観、スティックの健全性、スイッチの健全性
バッテリー、燃料 バッテリーの充電状況、残燃料表示機能の健全性

飛行前の確認についても、教則第5版は「燃料の搭載量又はバッテリーの残量の確認」を、外部点検・気象情報・空域の状況などと並ぶ確認事項として挙げています。

飛行が終わった後についても記述があります。「飛行の終了後には、機体やバッテリー等を安全な状態で、適切な場所に保管する」。ここに書かれているのは、この記事の後半でずっと扱う話そのものです。

さらに、飛行中に無人航空機が発火した事態は、重大インシデントとして国土交通大臣への報告義務の対象に含まれています。バッテリーの扱いは、うまくいかなければ報告義務のある事象に直結する、という構造になっています。

学科試験を受ける方へ教則第5版では、第4版まで〔一等〕マークが付いていた「リチウムポリマーバッテリーに関わる電気的なトラブル」から一等限定の表示が外れ、二等の出題範囲に入りました。二等を受験される方も、この分野を飛ばせなくなっています。

教則第5版が示している保管の条件

意外と知られていないのですが、リチウムポリマーバッテリーの保管方法は、教則第5版の「4.6 機体の整備・点検・保管・交換・廃棄」に、具体的な数値つきで書かれています。

教則第5版が挙げる留意点 読み方
長期間使用しない時は充電60%を目安に保管する。満充電の状態での保管、又は飛行後の放電状態での保管は、電池の劣化が進みやすく電池が膨らみ、使用不可になることが多いので行わない 上限も下限も外すな、ということ。膨張は保管方法の結果として起きる、と明記されています
短絡すると発火する危険があるため、バッテリー端子が短絡しないように細心の注意を払う。機体コネクタとバッテリーを接続したままにしない 「機体に挿したまま棚へ」は、教則が名指しで避けるよう求めている置き方です
万が一発火しても安全を保てる不燃性のケースに入れ、突起物が当たってバッテリーを傷つけない状態で保管する 発火しない前提ではなく、発火しても被害を止める前提で置く
落下させるなど衝撃を与えない 外部衝撃は実際の火災要因の上位です(後述)
水に濡らさない 雨天の現場から帰ったら、乾いた状態にしてからしまう
高温(35℃超)になる環境で保管しない 数字が明示されています。夏場の車内・直射日光の当たる棚は論外

この6項目は、そのまま社内ルールに写せる粒度で書かれています。「メーカーによって違うから決められない」と思われがちな部分ですが、国が示している最低限の基準はすでに存在します。

交換と廃棄についても記述があります教則第5版は、リチウムポリマーバッテリーが膨らんでいる場合について、過充電などでバッテリー内部に可燃性ガスが発生している可能性があるため、早めに交換を行うとしています。廃棄については、各地方自治体のルールに従うこと、事業で用いたリチウムポリマーバッテリーは法律に則り「産業廃棄物」として廃棄することが明記されています。家庭ごみの区分で出す話ではありません。

なぜ満充電のまま置いてはいけないのか

教則が挙げている「充電60%を目安」は、上限と下限の両方から離した位置に置く、という考え方です。高い電圧を保ったままでも、空に近い状態でも劣化が進む。だから真ん中に置く。

メーカー側の推奨も、同じ方向を向いています。DJIは公式のヘルプ「バッテリーのメンテナンスガイド」で、次の運用を推奨しています。

DJIが公表している推奨(インテリジェントフライトバッテリー)

  • 10日以上使用しない場合は、残量を40〜65%に充電したうえで、日陰で乾燥した環境に保管する(環境温度は22〜28℃が最適)
  • 3ヶ月ごとに少なくとも1回、完全な充放電を行う
  • 風通しの良い乾燥した環境で保管する

逆側の失敗、つまり「空のまま置く」も同じくらい問題です。同ガイドは、残量が10%未満の状態で放電が続くと過放電が起き、電極活物質の損傷を引き起こして化学反応が進まなくなる可能性がある、長期間の過放電はセルに永久的な損傷を与える、と明記しています。

また、残量が極めて低いまま長期間使われていないバッテリーはスリープモードに入り、使うには充電して解除する必要がある、とも書かれています。「押しても反応しない」の正体がこれであることは、決して珍しくありません。

次に使う時期 置き方の目安 理由
明日・数日以内 使う直前に満充電にする 満充電で待たせる時間を短くする
10日以上先 残量を中間程度に戻す(教則は60%を目安、DJI機は40〜65%) 高電圧での保管による劣化と、過放電の両方を避ける
数ヶ月先 中間程度で保管し、定期的に状態を確認する(DJIは3ヶ月ごとの完全な充放電を推奨) 自然放電で過放電域に落ちるのを防ぐ
使う予定がない 使用をやめる判断と廃棄の検討へ 置いておくこと自体がリスクになる
数値の出どころを分けて覚えてください60%・35℃超は教則第5版(=学科試験の根拠であり、機種を問わない最低限の基準)。40〜65%・22〜28℃・3ヶ月は、DJIが自社のインテリジェントフライトバッテリーについて示している値です。他社製の機体や産業用の大型機では推奨値が異なることがあります。実際の運用は、必ずお使いの機体のメーカー公式マニュアルを確認してください。

「勝手に減っている」は故障ではない

満充電にして置いておいたのに、数日後に見たら残量が減っている。壊れたのかと思う方は多いのですが、これは多くの場合、設計どおりの動作です。

DJIは自己放電を2種類に分けて説明しています。ひとつは自然放電(受動的な自己放電)で、内部の化学反応によって時間とともに容量が減る現象。もうひとつはバッテリー保管時の自己放電保護(能動的な自己放電)で、一定日数が経つとバッテリーが自分で意図的に放電するものです。

能動的な自己放電のスケジュールは機種ごとに違います。DJIが公表している例を挙げます。

機種の例 公表されている能動的な自己放電
DJI Mavic 3/Mavic 3 Pro/Mavic 3 Classic 満充電から3日で96%、無操作で累計9日後に60%まで
DJI Mavic 4 Pro/DJI Air 3S/DJI Flip 3日で96%、累計15日で80%、累計45日で60%まで
DJI Mini 3/Mini 3 Pro 満充電から1日で96%、累計9日後に約60%まで
DJI Mini 4 Pro/DJI Mini 5 Pro 3日で96%、累計9日後に60%まで
Mavic Mini 能動的な自己放電に非対応。10日以上使わない場合は自分で39〜75%にして保管する

実務上の意味は2つあります。

ひとつ目。「満充電にしておけばいつでも飛べる」は成り立ちません。前日夜に充電する運用のほうが、結果として現場で困りません。

ふたつ目。能動的な自己放電に対応していない機種では、自分で残量を落とさなければならないということ。ここは機種ごとの仕様なので、思い込みで運用すると片方だけ間違えます。

なお、DJIは「放電中に軽度な放熱現象が発生する可能性があるが、正常な現象です」と明記しています。しまっておいたバッテリーがほんのり温かいことがある、というのはメーカーが説明している範囲の話です。


膨張をどう見分け、どう扱うか

膨らんだバッテリーは、使わない。これは判断に迷う場面ではありません。

教則第5版は、その理由まで書いています。膨らんでいる場合は、過充電などでバッテリー内部に可燃性ガスが発生している可能性があるため、早めに交換を行う。膨張は「見た目が悪くなった」ではなく、内部で可燃性のガスが溜まっている状態だという理解が要ります。

問題は、見分けにくいことです。数ミリの変形は、手に持っただけでは分かりません。実務で使える見方は次のとおりです。

  • 平らな机に置いてみる。カタカタと揺れるなら底面が膨らんでいます
  • 機体のスロットへの入り方・抜き方が、以前より渋くなっていないか
  • ロックの掛かり方が固い、あるいは抜くときに引っかかる
  • ケースの定位置に収まらなくなった
  • ラベルやシールに浮き、しわ、剥がれが出ていないか
膨らんでいたら使わない。充電しない。分解しない。工具でこじ開けない。東京消防庁が公表している火災事例には、膨らんだノートパソコンのバッテリーを工具で取り外そうとして損傷させ、セルが内部短絡して出火したものがあります。取り外しに力が要る時点で、それは自分でやる作業ではありません。メーカーまたは販売店に相談してください。

ここで注意しておきたいのは、膨らんでいないから安全とは言えないことです。東京消防庁の令和5年中の統計では、リチウムイオン電池関連火災167件のうち、出火前の製品異常が「特になし」だったものが91件を占め、「ふくらみ」があったのは7件でした(不明60件)。膨張は分かりやすい危険信号ですが、危険信号が出ないまま起きる火災のほうが多い、というのが実際に集計された数字です。


寿命の判断 ― 「まだ飛ぶ」と「業務で使える」は違う

充放電の回数(サイクル数)の目安は、機種ごとにメーカーが公表しています。ここに一般的な数字を書くことはしません。機種によって幅がありますし、使い方によっても変わるからです。お使いの機体のマニュアルにある値を、そのまま基準にしてください。

そのうえで、回数以外に現場で見るポイントを挙げます。

兆候 見方 判断
飛行時間が明らかに短い 同じ機体・同じ季節・同じ飛ばし方で比較する 他の本と差が出るなら降格を検討
セル間の電圧差が広がる アプリや充電器のセル電圧表示を見る 差が広がる一方なら使用中止を検討
負荷をかけたときの電圧の落ち込みが大きい 上昇時・加速時に警告が出やすくなる 内部抵抗の上昇が疑われる
充電に以前より時間がかかる/終わらない 同じ充電器・同じ室温で比較する 使用を止めて相談
充電中に以前より熱くなる 手で触れないほどなら明確に異常 直ちに使用中止
膨張・変色・液漏れ・異臭 目視と匂い 直ちに使用中止
メーカーのバッテリー状態表示が低下 アプリの健全性表示・サイクル数 公表値を基準に判断
教則第5版の記述から教則第5版は、バッテリーの項で「放電(飛行)中の電圧降下は、バッテリーの内部抵抗によって決まる」と説明しています(第4版までは配線抵抗と併記されていた箇所です)。使い込んで内部抵抗が上がったバッテリーは、負荷をかけた瞬間の電圧の落ち込みが大きくなる。「ホバリングは平気だが、上昇させると急に警告が出る」という現象は、この理屈で説明がつきます。
あわせて教則は「バッテリー残量が減り、電圧低下してくると急激に出力が弱くなり、墜落の原因となるので注意する」とも書いています。残量表示が線形に減るイメージで飛ばすと、最後で足をすくわれます。

そして、判断の基準をひとつ持っておくことをおすすめします。「飛ぶかどうか」ではなく「業務で使えるかどうか」で線を引くことです。少し弱ってきたバッテリーは、業務用から外して練習用や地上でのテスト用に降格させる。この一段階を置いておくと、現場で無理をしなくて済みます。

そして、使うのをやめると決めたら、廃棄まで含めて手順です。教則第5版は、各地方自治体のルールに従うこと、事業で用いたリチウムポリマーバッテリーは法律に則り「産業廃棄物」として廃棄することを明記しています。使わなくなったバッテリーを引き出しに溜めておくのは、置き場所の問題ではなく火災リスクの問題です。


充電の実務 ― 統計が示している危ない瞬間

東京消防庁が公表している令和5年中のリチウムイオン電池関連火災167件について、出火時の充電状況は次のとおりです。

出火時の状況 件数(令和5年中・東京消防庁管内)
充電中 82件(49.1%)
非充電中(待機中含む) 65件(38.9%)
使用中 10件(6.0%)
その他・不明 10件

およそ半分が充電中です。ここは直感どおり。ただし注目していただきたいのは、充電していない状態でも4割近く起きていることです。「充電器から外してあるから安全」という前提は成り立ちません。しまい方そのものが対策の対象になります。

出火要因の側も見ておきます。同じ167件のうち、「いつも通り使用していたが出火」が39件(23.4%)、「外部衝撃(落下・外力等)」が18件、「分解・廃棄等」が16件、「充電方法誤り」が16件、「製品の欠陥(リコール含む)」が6件、要因が特定できないものが67件でした。

ここから、そのまま現場のルールに落とせます。

ルール 根拠・理由
純正の充電器・純正のバッテリーを使う 東京消防庁の事例に、純正と出力が異なるACアダプタを使って内部短絡・出火したもの、非純正の充電器で充電中に出火したものがある
端子が合うことを「使ってよい」の根拠にしない 同庁の注意喚起に「充電器の接続部が合致するからといって、充電電圧を確認せずに使用しない」とある
目の届くところで充電する 消防庁のポータルが「安全な場所で、目の届くところで充電する」を明示
整理された場所、または不燃性のケースで充電する 同庁の「火災を防ぐために」に記載
落とした・ぶつけた・水に濡らしたバッテリーは充電しない 外部衝撃が18件。衝撃で内部が短絡する
夏の車内、暖房器具の近くに置かない 消防庁が高温環境での使用・保管に注意喚起
端子どうしが触れないように収納する 鞄の中での短絡による火災事例が複数ある
リコール情報を定期的に確認する 製品の欠陥による出火が6件。リコール対象品による火災事例もある
バランスコネクタがあるタイプは、充電時に必ず充電器へ接続する 教則第5版は、バランスが著しく崩れたまま充電するとセル間の電圧差が生じ、セルによって過放電となる現象が起こり急速に劣化が進む、と説明している

最後の1行は、産業用の機体や自分で組んだ機体を扱う方には特に効きます。教則第5版は、セル間の充電量のバランスをとる仕組みについて、バランスが著しく崩れたまま充電を行うとセル間の電圧差が生じ、セルによって過放電となる現象が起こり、急速に劣化が進むと述べています。1本のバッテリーの中で、特定のセルだけが痛む、という壊れ方があるわけです。

消防庁はリチウムイオン電池の扱いを「買うとき・使うとき・捨てるとき」の3つの場面に整理して案内しています。ドローンのバッテリーも、この枠組みからはみ出しません。


現場に持ち出すときの扱い

保管がうまくいっていても、現場での扱いで台無しになることがあります。順番と温度の話です。

まず温度。ここは教則第5版が、はっきりした表現で書いています。

教則第5版より冬季の飛行では飛行時間が半減することがある。気温が低下すると放電能力が極端に低下するためである。

半減です。「少し短くなる」ではありません。冬に「同じ機体なのに飛行時間が短い」と感じるのは気のせいではなく、教則が想定している範囲の現象です。したがって、冬の現場では本数の見積もりを夏と同じにしてはいけないということになります。夏に3本で足りた作業が、冬は6本必要になり得る。ここを甘く見積もると、現場で作業が終わりません。

あわせて、メーカーは機種ごとに動作温度の範囲を公表しています。寒い日・暑い日に飛ばす予定がある方は、事前にその範囲を確認しておいてください。範囲外での運用は、性能が落ちるという話にとどまらず、機体側が離陸を拒否したり保護が働いたりする要因にもなります。

次に順番。バッテリーが3本、4本と増えてくると、「これはもう使ったのか」が分からなくなります。混乱は、そのまま飛行中の残量不足につながります。

手順 やること
1. 前夜 使う本数だけ充電する。予備を含めて本数を決めておく
2. 出発前 全数の残量を確認し、膨張・変形・端子の汚れを目視する
3. 移動中 端子が触れない状態で収納する。直射日光の当たる場所・高温になる場所を避ける
4. 現場到着 未使用と使用済みを物理的に分ける(袋・ケースの段・向きなど、何でもよいので分ける)
5. 飛行直前 機体に装着し、残量とセル電圧の表示を確認する。日常点検記録の「バッテリー、燃料」欄はここで埋まる
6. 交換時 降ろしたバッテリーは使用済み側へ。熱を持っているうちは充電しない
7. 撤収時 本数を数える。1本足りない状態で帰らない
8. 帰宅後 機体コネクタから外し、次に使う日を決めて置き方(満充電のままか、60%目安まで戻すか)を決める
やりがちな置き方「明日も使うから」と、バッテリーを機体に挿したままケースにしまう。これは教則第5版が名指しで避けるよう求めている状態です。「機体コネクタとバッテリーを接続したままにしないこと」と明記されています。抜くだけの作業なので、撤収手順に組み込んでしまうのが確実です。
講習でよく見かける場面講習では、離陸前の残量確認が「バッテリーマークを見る」だけで終わってしまう方が少なくありません。日常点検記録の項目は「バッテリーの充電状況、残燃料表示機能の健全性」です。残量そのものに加えて、表示機能が正しく働いているかまでが点検の内容だ、という点は押さえておいてください。

飛行日誌に、バッテリーをどう残すか

飛行日誌の様式2(日常点検記録)は、機体ごとに備えるものとされています。一方でバッテリーは、1機に対して何本もを回して使います。つまり様式2をそのまま使っただけでは、「どのバッテリーが何回使われて、いつ交換されたか」は追えません。

ここは、取扱要領に逃げ道が用意されています。飛行日誌について、「記載内容が網羅されることを前提に、記載事項で必要と思われる事項を適宜追加することができる」と明記されているためです。つまり、必要な項目を満たしたうえで、自分の管理台帳を足すことは差し支えありません。

あわせて押さえておきたい点が2つあります。

  • 無人航空機の設計製造者が日常点検項目を指定している場合は、それに従うこととされています。メーカー指定の様式がある場合は、様式2に代えてそれを日常点検記録とすることができます
  • バッテリーを交換した場合は、点検整備記録(様式3)の「装備品等の交換記録(交換された部品名、部位等)」に該当します。買い替えたら記録に残す、という扱いです

もうひとつ、飛行マニュアルを使って飛ばしている方向けの話をしておきます。国土交通省の標準飛行マニュアル(場所を特定しない申請に適用されるもの)は、飛行前点検の項目に「燃料の搭載量又はバッテリーの充電量は十分か」を、飛行後点検の項目に「各機器の異常な発熱はないか」を挙げています。さらに、20時間の飛行毎に交換の必要な部品の有無などを点検し、その実施記録を作成することを求めています。

飛行後の「異常な発熱はないか」は、バッテリーの状態を捉えるうえで見逃せない項目です。降ろした直後に、いつもより明らかに熱い。その一度の気づきが、後の判断につながります。

教則第5版もこう書いています「運航者は飛行前後だけではなく、無人航空機毎に定められた一定の期間や一定の総飛行時間ごとに整備点検を行う必要がある。そのため、各機体メーカーが設定する整備内容を熟知し、必要なタイミングで修理等の整備を行う必要がある。」飛行前点検だけでは足りない、という位置づけがはっきり書かれています。

そのまま使える台帳の項目を挙げておきます。表計算ソフトでも、紙のノートでも構いません。

項目 書く内容 目的
管理番号 本体に貼った番号(1、2、3…) 本を取り違えない
機体・登録記号 どの機体で使うバッテリーか 他機との混用を防ぐ
購入日 西暦で記入 経年での判断材料
充放電回数 アプリ表示があればその値/なければ手記録 メーカー公表値との比較
直近の使用日 飛行記録と突き合わせる 長期放置の検知
保管時の残量 しまうときの残量と、しまった日 過放電と満充電放置の防止
異常の有無 膨張・発熱・電圧差・充電時間 使用中止の判断
処置 降格・交換・廃棄と、その年月日 点検整備記録との紐づけ

よくある誤解の整理

よくある理解 実際
使い切ってから充電したほうが長持ちする ニッケル系電池の話が持ち込まれたものです。リチウム系では過放電のほうが危険で、DJIは残量10%未満での放電継続が電極活物質の損傷につながると明記しています
満充電で保管しておけば、いつでも飛べる 機種によっては、一定日数で自動的に放電します。現場に着いてから残量が減っていることに気づく、という順番になりがちです
置いておいたら残量が減っていたので初期不良だ 自然放電と、保管時の能動的な自己放電の両方があります。日数と到達残量はメーカーが機種ごとに公表しています
保管中にバッテリーが温かいのは異常だ DJIは自己放電中の軽度な放熱を正常な現象と説明しています。ただし手で触れないほどの発熱は別の話です
少し膨らんでいるが飛べるので使う 使いません。取り外しに力が要る場合は自分でこじ開けず、メーカー・販売店に相談してください
膨らんでいなければ安全だ 東京消防庁の令和5年中の統計では、出火前の製品異常が「特になし」だった件数のほうが圧倒的に多くなっています
充電器から外してあるから火災の心配はない 同統計で、非充電中(待機中含む)の出火が65件(38.9%)です
端子の形が合う充電器なら使ってよい 東京消防庁は「充電器の接続部が合致するからといって、充電電圧を確認せずに使用しない」と注意喚起しています。非純正品による出火事例が公表されています
保管方法はメーカーごとに違うので、共通の基準はない 教則第5版が「充電60%を目安」「高温(35℃超)になる環境で保管しない」など6項目を明記しています。機種を問わない土台はあります
明日も使うので、機体に挿したまましまう 教則第5版は「機体コネクタとバッテリーを接続したままにしないこと」と明記しています
冬でも飛行時間は少し短くなる程度 教則第5版は「冬季の飛行では飛行時間が半減することがある」としています。本数の見積もりを季節で変える必要があります
使わなくなったバッテリーは家庭ごみの区分で出す 教則第5版は、各地方自治体のルールに従うこと、事業で用いたものは「産業廃棄物」として廃棄することを明記しています
バッテリーは消耗品なので点検の対象ではない 日常点検記録の様式2に「バッテリー、燃料」として点検項目が明記されています
発火しても、けが人がいなければ報告は不要 飛行中に無人航空機が発火した事態は、重大インシデントとして国土交通大臣への報告の対象に含まれます

まとめ

バッテリー管理は、突き詰めると4つしかありません。

1. 置き方を決める。長期に使わないなら充電60%を目安に戻し、35℃を超える場所を避け、不燃性のケースに入れ、機体コネクタからは外しておく。ここまでが教則第5版に書かれている内容です。

2. 異常を見る目を持つ。膨張、発熱、電圧差、充電時間。膨らんでいたら使わない、こじ開けない。中で可燃性ガスが発生している可能性があります。ただし、膨らんでいないことを安全の根拠にはしない。

3. 充電を「作業」として扱う。純正の充電器で、目の届く場所で、整理された場所か不燃性のケースで。落とした個体は充電しない。バランスコネクタがあるなら必ず接続する。

4. 季節で本数を見直す。冬は飛行時間が半減することがある、と教則が明記しています。夏と同じ本数で現場に行かない。

5. 記録に残す。日常点検記録の項目にバッテリーは入っています。そこに管理台帳を1枚足しておけば、「どの本がいつから怪しいか」が後から追えます。

どれも、買ってから始めても間に合います。ただ、買う前に知っていたほうが、揃える本数も、置き場所の準備も変わってくるはずです。

ご注意本記事は、無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版・公布 令和8年7月7日/適用 令和8年7月14日)、国土交通省「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」(令和4年12月1日制定)、国土交通省の標準飛行マニュアル(DID・夜間・目視外・30m・危険物・物件投下/場所を特定しない申請について適用)、DJI公式ヘルプ「バッテリーのメンテナンスガイド」(2024年5月20日)及び「DJIインテリジェントフライトバッテリーの自己放電ポリシー」、東京消防庁「リチウムイオン電池搭載製品の出火危険」(令和5年中の統計)、総務省消防庁「リチウムイオン電池総合対策ポータルサイト」に基づく解説です。製品の仕様・法令・各社のルールは変更されることがあります。実際の取り扱いは、お使いの機体のメーカー公式マニュアルと最新の法令をご確認ください。なお、40〜65%・22〜28℃・3ヶ月・自己放電の日数はDJI製バッテリーについて公表されている値であり、他社製・産業用の機体には当てはまらない場合があります。
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飛ばすか中止か|ドローンの気象判断 Windy・SCW・GPVの使い分けと中止基準

登録講習機関講師 フライトデスク 監修

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