教則を読んでいると、「特定飛行」という言葉が何度も出てきます。空港の近く、150メートル以上、人口集中地区、夜間、目視外、30メートル、催し、危険物、物件投下——覚えることが多くて、うんざりした経験はありませんか。
あれの正体は、航空法のたった2条です。第132条の85と、第132条の86。この2つを読めば、特定飛行の全体像は終わります。
ただし、ひとつだけ先にお伝えしておきます。この2条には、数字が1つも書いてありません。「150メートル」も「30メートル」も「25キログラム」も「人口集中地区」も、航空法の本文には出てきません。私が法律の全文を機械で数えて確かめました。全部、施行規則という別の文書に書かれています。
だから今回は、航空法の条文と、施行規則の条文を、両方そのまま載せます。片方だけでは、読んでも何も分からないからです。
- この記事の読み方
- 航空法 第132条の85・第132条の86(全文)
- 数字はこちらです — 航空法施行規則 第236条の70〜第236条の82(全文)
- 第二百三十六条の七十 (立入管理措置)
- 第二百三十六条の七十一 (飛行の禁止空域)
- 第二百三十六条の七十二
- 第二百三十六条の七十三 (国土交通省令で定める総重量)
- 第二百三十六条の七十四 (飛行禁止空域における飛行の許可)
- 第二百三十六条の七十五 (安全を確保するために必要な措置)
- 第二百三十六条の七十六 (法第百三十二条の八十五第一項から第三項までの規定を適用しない無人航空機の飛行の方法)
- 第二百三十六条の七十七 (飛行の方法)
- 第二百三十六条の七十八
- 第二百三十六条の七十九
- 第二百三十六条の八十
- 第二百三十六条の八十一 (飛行の方法によらない飛行の承認)
- 第二百三十六条の八十二 (法第百三十二条の八十六第二項から第四項までの規定を適用しない無人航空機の飛行の方法)
- ここからは私の解説です
- 次回(第2回)は
- 出典
- 連載「ドローンの航空法をやさしく読む」(全7回)
この記事の読み方
ドローンのルールは2階建てになっています。ここを分けて考えると、急に見通しが良くなります。
| 階 | 文書 | 書いてあること |
|---|---|---|
| 1階 | 航空法(法律) | 枠組み。「国土交通省令で定める空域」のように、器だけを作る |
| 2階 | 航空法施行規則(省令) | 中身。150メートル、30メートル、25キログラムといった具体的な数字 |
法律に「国土交通省令で定める」と書いてあったら、「その答えは施行規則にある」という意味です。この記事では、法律を先に、施行規則を後に、続けて載せています。行ったり来たりしながら読んでみてください。
なお、この2条を扱う教則の該当箇所は3.1です。教則は分かりやすく整理してくれていますが、条文そのものの姿を見ておくと、あとで細かい話が出てきたときに迷いにくくなると思っています。
航空法 第132条の85・第132条の86(全文)
読みにくければ、ここは飛ばして先に解説から読んでいただいてもかまいません。あとで戻ってこられるように、条文はそのまま置いておきます。
第百三十二条の八十五 (飛行の禁止空域)
何人も、次に掲げる空域においては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合(立入管理措置(無人航空機の飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立入りを管理する措置であつて国土交通省令で定めるものをいう。以下同じ。)を講ずることなく無人航空機を飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る。)でなければ、無人航空機を飛行させてはならない。
- 一無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域
- 二前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空
2何人も、前項第一号の空域又は同項第二号の空域(立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させる場合又は立入管理措置を講じた上で国土交通省令で定める総重量を超える無人航空機を飛行させる場合に限る。)においては、同項に規定する場合に該当し、かつ、国土交通大臣がその運航の管理が適切に行われるものと認めて許可した場合でなければ、無人航空機を飛行させてはならない。
3第一項に規定する場合において、立入管理措置を講じた上で同項第二号の空域において無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる者は、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保するために必要なものとして国土交通省令で定める措置を講じなければならない。
4前三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。
- 一係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他の航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保することができるものとして国土交通省令で定める方法による飛行を行う場合
- 二前号に掲げるもののほか、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合
第百三十二条の八十六 (飛行の方法)
無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。
- 一アルコール又は薬物の影響により当該無人航空機の正常な飛行ができないおそれがある間において飛行させないこと。
- 二国土交通省令で定めるところにより、当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることを確認した後において飛行させること。
- 三航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するため、無人航空機をその周囲の状況に応じ地上に降下させることその他の国土交通省令で定める方法により飛行させること。
- 四飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと。
2無人航空機を飛行させる者は、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合(立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る。)を除き、次に掲げる方法により、これを飛行させなければならない。
- 一日出から日没までの間において飛行させること。
- 二当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。
- 三当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
- 四祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
- 五当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。
- 六地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。
3前項に規定する場合において、同項各号に掲げる方法のいずれか(立入管理措置を講じた上で無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる場合にあつては、同項第四号から第六号までに掲げる方法のいずれか)によらずに無人航空機を飛行させる者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その運航の管理が適切に行われることについて国土交通大臣の承認を受けて、その承認を受けたところに従い、これを飛行させなければならない。
4第二項に規定する場合において、立入管理措置を講じた上で同項第一号から第三号までに掲げる方法のいずれかによらずに無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる者は、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保するために必要なものとして国土交通省令で定める措置を講じなければならない。
5前三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。
- 一係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他の航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保することができるものとして国土交通省令で定める方法による飛行を行う場合
- 二前号に掲げるもののほか、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、第二項各号に掲げる方法のいずれかによらずに無人航空機を飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて国土交通大臣の承認を受けて、その承認を受けたところに従い、これを飛行させる場合
数字はこちらです — 航空法施行規則 第236条の70〜第236条の82(全文)
上の条文で「国土交通省令で定める」と書かれていた部分の答えが、ここに入っています。
第二百三十六条の七十 (立入管理措置)
法第百三十二条の八十五第一項の国土交通省令で定める措置は、補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置とする。
第二百三十六条の七十一 (飛行の禁止空域)
法第百三十二条の八十五第一項第一号の国土交通省令で定める空域は、次のとおりとする。
- 一航空機の離陸及び着陸が頻繁に実施される空港等で安全かつ円滑な航空交通の確保を図る必要があるものとして国土交通大臣が告示で定めるものの周辺の空域であつて、当該空港等及びその上空の空域における航空交通の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域
- 二前号に掲げる空港等以外の空港等の周辺の空域であつて、進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第五十六条第一項の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域
- 三法第三十八条第一項の規定が適用されない飛行場(自衛隊の設置する飛行場を除く。以下同じ。)の周辺の空域であつて、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域
- 四国土交通省、防衛省、警察庁、都道府県警察又は地方公共団体の消防機関その他の関係機関の使用する航空機のうち捜索、救助その他の緊急用務を行う航空機の飛行の安全を確保する必要があるものとして国土交通大臣が指定する空域(以下「緊急用務空域」という。)
- 五前四号に掲げる空域以外の空域であつて、地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域(地上又は水上の物件から三十メートル以内の空域を除く。)
2国土交通大臣は、前項第四号の規定による指定をしたときは、インターネットの利用その他の適切な方法により、その旨及び当該指定に係る緊急用務空域を公示しなければならない。
3前項の規定は、第一項第四号の規定による指定の変更又は解除について準用する。
4無人航空機を飛行させる者は、その飛行を開始する前に、当該無人航空機を飛行させる空域が緊急用務空域に該当するか否かの別を確認しなければならない。
第二百三十六条の七十二
法第百三十二条の八十五第一項第二号の国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域は、国土交通大臣が告示で定める年の国勢調査の結果による人口集中地区(地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通大臣が告示で定める区域を除く。)とする。
第二百三十六条の七十三 (国土交通省令で定める総重量)
法第百三十二条の八十五第二項及び第三項並びに法第百三十二条の八十六第三項及び第四項の国土交通省令で定める総重量は、二十五キログラムとする。
第二百三十六条の七十四 (飛行禁止空域における飛行の許可)
法第百三十二条の八十五第二項又は第四項第二号の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
- 一氏名、住所及び電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先
- 二無人航空機の登録記号(第二百三十六条第一項第一号又は第二号の規定による届出をして無人航空機を飛行させる場合にあつては、同条第四項の届出番号。以下同じ。)
- 三飛行の目的、日時、経路及び高度
- 四飛行禁止空域を飛行させる理由
- 五無人航空機の機体認証書番号(法第百三十二条の八十五第四項第二号の許可を受けようとする者にあつては、無人航空機の機体認証書番号又は無人航空機の機能及び性能に関する事項)
- 六無人航空機を飛行させる者の無人航空機操縦者技能証明書番号(法第百三十二条の八十五第四項第二号の許可を受けようとする者にあつては、無人航空機を飛行させる者の無人航空機操縦者技能証明書番号又は無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力に関する事項)
- 七無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項
- 八飛行させる飛行禁止空域に応じたリスクの分析及び評価の結果を踏まえて講ずる措置に関する事項(法第百三十二条の八十五第二項の許可を受けようとする場合に限る。)
- 九その他参考となる事項
第二百三十六条の七十五 (安全を確保するために必要な措置)
法第百三十二条の八十五第三項及び法第百三十二条の八十六第四項の国土交通省令で定める措置は、無人航空機を安全に飛行させるために必要な事項を記載した規程の作成及び当該規程の遵守とする。
2前項の規程は、次に掲げる事項を記載したものとする。
- 一使用する無人航空機の定期的な点検及び整備に関する事項
- 二無人航空機を飛行させる者の技能の維持に関する事項
- 三当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることの確認に関する事項
- 四無人航空機を飛行させる者及び補助者の役割分担その他無人航空機の飛行に係る安全管理体制に関する事項
- 五無人航空機の事故等が発生した場合における連絡体制の整備その他必要な措置に関する事項
- 六その他飛行の特性に応じた措置に関する事項
第二百三十六条の七十六 (法第百三十二条の八十五第一項から第三項までの規定を適用しない無人航空機の飛行の方法)
法第百三十二条の八十五第四項第一号の国土交通省令で定める方法は、次のいずれにも該当する方法とする。
- 一法第百三十二条の八十五第一項第二号に掲げる空域において飛行させること。
- 二十分な強度を有する紐等(長さが三十メートル以下のものに限る。)で係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で飛行させること。
- 三前号の範囲内に地上又は水上の物件が存しない場合に飛行させること。
- 四補助者の配置その他の第二号の範囲内において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立入りを管理する措置を講じて飛行させること。
第二百三十六条の七十七 (飛行の方法)
法第百三十二条の八十六第一項第二号の規定により無人航空機を飛行させる者が確認しなければならない事項は、次に掲げるものとする。
- 一当該無人航空機の状況
- 二当該無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況
- 三当該飛行に必要な気象情報
- 四燃料の搭載量又はバッテリーの残量
- 五リモートID機能の作動状況(第二百三十六条の六第二項各号に該当する飛行を行う場合を除く。)
2無人航空機を飛行させる者は、前項第一号及び第五号に掲げる事項を確認する場合において、当該無人航空機(当該無人航空機にリモートID機能を有する機器を装備する場合にあつては、当該機器を含む。)の外部点検及び作動点検を行わなければならない。
第二百三十六条の七十八
法第百三十二条の八十六第一項第三号の国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる方法とする。
- 一無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域において飛行中の航空機を確認した場合であつて、衝突のおそれがあると認められるときは、無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じること。
- 二無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域において飛行中の他の無人航空機を確認したときは、次に掲げる方法により飛行させること。 ただし、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律第十一条第二項(第三項及び第五項において準用する場合を含む。)の規定による措置その他法令に基づいて国又は地方公共団体が人又は物件に対する危険を防止するためやむを得ずに行う措置については、この限りでない。
- イ当該他の無人航空機との間に安全な間隔を確保して飛行させること。
- ロイの方法によることができない場合であつて、衝突のおそれがあると認められるときは、無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じること。
第二百三十六条の七十九
法第百三十二条の八十六第二項第三号の国土交通省令で定める距離は、三十メートルとする。
第二百三十六条の八十
第百九十四条第一項の規定は、法第百三十二条の八十六第二項第五号の国土交通省令で定める物件について準用する。 この場合において、第百九十四条第一項第八号中「航空機」とあるのは、「無人航空機」と読み替えるものとする。
2前項の規定にかかわらず、無人航空機の飛行のため当該無人航空機で輸送する物件は、法第百三十二条の八十六第二項第五号の国土交通省令で定める物件に含まれないものとする。
第二百三十六条の八十一 (飛行の方法によらない飛行の承認)
法第百三十二条の八十六第三項又は第五項第二号の承認を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
- 一氏名、住所及び電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先
- 二無人航空機の登録記号
- 三飛行の目的、日時、経路及び高度
- 四法第百三十二条の八十六第二項各号に掲げる方法によらずに飛行させる理由
- 五無人航空機の機体認証書番号(法第百三十二条の八十六第五項第二号の承認を受けようとする者にあつては、無人航空機の機体認証書番号又は無人航空機の機能及び性能に関する事項)
- 六無人航空機を飛行させる者の無人航空機操縦者技能証明書番号(法第百三十二条の八十六第五項第二号の承認を受けようとする者にあつては、無人航空機を飛行させる者の無人航空機操縦者技能証明書番号又は無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力に関する事項)
- 七無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項
- 八飛行の方法に応じたリスクの分析及び評価の結果を踏まえて講ずる措置に関する事項(法第百三十二条の八十六第三項の承認を受けようとする場合に限る。)
- 九その他参考となる事項
第二百三十六条の八十二 (法第百三十二条の八十六第二項から第四項までの規定を適用しない無人航空機の飛行の方法)
法第百三十二条の八十六第五項第一号の国土交通省令で定める方法は、次のいずれかに該当する方法とする。
- 一法第百三十二条の八十六第二項第四号及び第五号に掲げる方法であつて、第二百三十六条の七十六第二号から第四号までのいずれにも該当するものであること。
- 二法第百三十二条の八十六第二項第四号に掲げる方法であつて、次のいずれにも該当するものであること。
- イ飛行の方法に応じ必要な機能及び性能を有するものとして国土交通大臣が定める基準に適合する無人航空機を飛行させること。
- ロ法第百三十二条の八十六第二項第一号から第三号までに掲げる方法によらずに飛行させる場合にあつては、総重量二十五キログラム未満の無人航空機を飛行させること。
- ハ無人航空機を飛行させる者が、当該無人航空機を安全に飛行させるために必要な知識及び能力として飛行の方法に応じ国土交通大臣が定めるものを有していること。
- ニ無人航空機を飛行させる者その他の関係者が所有又は管理する土地であつて、現に農業の用に供されている農地又は現に林業の用に供されている森林(これらに隣接し、かつ、これらと一体となつて農林業の用に供されている農業用道路その他の土地を含む。)の区域内において、地表若しくは水面又は農作物(樹木及び農林産物を含む。)の上端から四メートル以下の高さの空域において飛行させること。
- ホ法第百三十二条の八十六第二項第一号又は第二号に掲げる方法によらずに飛行させる場合にあつては、自動操縦により飛行させること。
- ヘ法第百三十二条の八十六第二項第五号に掲げる方法によらずに飛行させる場合にあつては、農薬その他の人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通大臣が定めるものを輸送するものであること。
- ト無人航空機の飛行の範囲を制限する機能及び故障その他の不具合が生じた場合に飛行の安全を確保する機能(これらに類するものとして国土交通大臣が定める機能を含む。)を使用して飛行させること。
- チホからトまでに掲げるもののほか、飛行の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が定める方法により飛行させること。
- リ第二百三十六条の七十五第一項の措置を講じた上で飛行させること。
- ヌ無人航空機の飛行経路下に地上又は水上の物件が存しない場合に飛行させること。
- ル補助者の配置その他の無人航空機の飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立入りを管理する措置を講じて飛行させること。
ここからは私の解説です
まず、「空域」と「方法」は別の話です
いちばん最初に押さえていただきたいのは、第132条の85と第132条の86が、まったく別のことを言っているという点です。
| 条 | 禁じているもの | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 第132条の85 | 飛行の禁止空域 | どこで飛ばすか |
| 第132条の86 | 飛行の方法 | どうやって飛ばすか |
そして、この2つは手続きの名前まで違います。空域は「許可」、方法は「承認」です。よく「許可承認」とひとまとめに言いますが、条文上は別のものです。空港の近くで夜間に飛ばすなら、許可と承認の両方が要る、ということになります。
150メートルには、意外な例外があります
施行規則 第236条の71 第1項第五号を、もう一度ゆっくり読んでみてください。
前四号に掲げる空域以外の空域であつて、地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域(地上又は水上の物件から三十メートル以内の空域を除く。)
後ろの括弧に注目です。物件から30メートル以内なら、150メートル以上でも禁止空域になりません。
たとえば高さ200メートルの鉄塔があったとして、その鉄塔から30メートル以内であれば、高さ180メートルを飛んでも「150メートル以上の空域」には当たらない、という読み方になります。鉄塔や煙突、風力発電機の点検を想像していただくと、なぜこの例外があるのかが分かりやすいと思います。
ただしこれは「150メートルの許可が要らない」という意味だけです。物件から30メートル以内ということは、今度は第132条の86第2項第三号の30メートルの承認が問題になります。ここが混同しやすいところです。
ここが今回いちばんお伝えしたいところです
第132条の86を、第1項と第2項に分けて見てください。実はこの2つは、性質がまったく違います。
| 項 | 中身 | 承認で外せるか |
|---|---|---|
| 第1項(4つ) | アルコール・薬物/飛行前の確認/衝突の予防/他人に迷惑を及ぼす飛行の禁止 | 外せません |
| 第2項(6つ) | 日中/目視/30メートル/催し/危険物/物件投下 | 承認を受ければ外せます |
第3項を読むと、承認の対象になっているのは「第2項各号に掲げる方法」だけだと分かります。第1項は、承認という制度の対象にすらなっていません。
つまり——どんな許可や承認を持っていても、お酒を飲んで飛ばすことはできませんし、飛行前の確認を省くこともできません。当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、条文の構造としてそうなっている、というのは知っておく価値があると思います。
「技能証明+機体認証」で、第2項が丸ごと外れます
第132条の86第2項の書き出しを見てください。
無人航空機を飛行させる者は、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合(立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る。)を除き、次に掲げる方法により、これを飛行させなければならない。
「を除き」とあります。技能証明と機体認証がそろっていれば、第2項そのものが適用されません。夜間だから承認を、目視外だから承認を、という話がまるごと不要になる、ということです。
教則で「カテゴリーⅡB飛行は特段の手続き等なく飛行可能」と説明されているものの、条文上の根拠がこれです。「手続きが省ける」のではなく、そもそも条文が適用されないという作りになっています。
ただし括弧の中が重要です。立入管理措置を講じないなら、一等+第一種でなければいけません。二等では、人の立入りを管理せずに飛ばすことはできない、ということです。
25キログラムの線引き
施行規則 第236条の73 に、たった1行だけ書かれています。
法第百三十二条の八十五第二項及び第三項並びに法第百三十二条の八十六第三項及び第四項の国土交通省令で定める総重量は、二十五キログラムとする。
この1行が、4か所の条文に効いています。25キログラムを超えると、立入管理措置を講じていても許可が必要になります(第132条の85第2項)。機体が大きくなると扱いが変わるのは、ここが根拠です。
「立入管理措置」の中身は、たった1行です
今回の2条で何度も出てくる「立入管理措置」。難しそうな言葉ですが、施行規則 第236条の70 は1行しかありません。
法第百三十二条の八十五第一項の国土交通省令で定める措置は、補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置とする。
補助者を置くか、区画を設定するか、それに準じる適切な方法。これだけです。「その他の適切な措置」と幅を持たせてあるので、現場に合わせて選べる書き方になっています。
教則や標準飛行マニュアルでは「立入管理区画」という言い方も出てきますが、航空法の条文上の言葉は「立入管理措置」です。区画の設定は、その一つの手段という位置づけになります。
「必要な措置」の正体は、規程を作ることでした
第132条の85第3項と第132条の86第4項に出てくる「国土交通省令で定める措置」。何をすればいいのか、法律を読んでも分かりません。答えは施行規則 第236条の75 にあります。
……国土交通省令で定める措置は、無人航空機を安全に飛行させるために必要な事項を記載した規程の作成及び当該規程の遵守とする。
紙を1枚作って、それを守る。それが「必要な措置」の中身です。書くべきことは第2項に6つ挙げられています。
| 号 | 規程に書くこと |
|---|---|
| 一 | 使用する機体の定期的な点検及び整備 |
| 二 | 飛行させる者の技能の維持 |
| 三 | 飛行に支障がないことなど、飛行前の準備の確認 |
| 四 | 操縦者と補助者の役割分担、安全管理体制 |
| 五 | 事故等が発生した場合の連絡体制 |
| 六 | その他、飛行の特性に応じた措置 |
飛行マニュアルを作ったことのある方なら、見覚えのある並びだと思います。あの様式が求められている理由が、この条文です。
飛行前に確認するのは、5つです
第132条の86第1項第二号の「飛行に必要な準備が整つていること」。その中身は施行規則 第236条の77 に5つ挙がっています。
| 号 | 確認する事項 |
|---|---|
| 一 | 機体の状況 |
| 二 | 飛行させる空域及びその周囲の状況 |
| 三 | 飛行に必要な気象情報 |
| 四 | 燃料の搭載量又はバッテリーの残量 |
| 五 | リモートID機能の作動状況 |
先ほど見たとおり、第1項は承認では外せません。つまりこの5つは、どんな飛行でも毎回やることになります。
自分のバッテリーは「危険物」に当たりません
第132条の86第2項第五号の危険物輸送。リチウムバッテリーは危険物ですから、「ドローンを飛ばすこと自体が危険物輸送になってしまうのでは」と思われた方はいませんか。私は最初そう思いました。
施行規則 第236条の80 の第2項が、そこを外しています。
前項の規定にかかわらず、無人航空機の飛行のため当該無人航空機で輸送する物件は、法第百三十二条の八十六第二項第五号の国土交通省令で定める物件に含まれないものとする。
機体を飛ばすために積んでいる燃料やバッテリーは、危険物輸送には当たらない。わざわざ1項を立てて書いてあります。条文を読まないと気づきにくいところだと思います。
緊急用務空域は「飛行前に確認する義務」があります
施行規則 第236条の71 の第4項に、こう書かれています。
無人航空機を飛行させる者は、その飛行を開始する前に、当該無人航空機を飛行させる空域が緊急用務空域に該当するか否かの別を確認しなければならない。
「近づかないこと」ではなく、「確認しなければならない」という義務の形になっているのが特徴です。緊急用務空域は火災や災害のときに突然指定されますから、前日に見たから大丈夫、とはいきません。飛ばす直前に見る。それが条文の求めていることです。
係留すると、この2条がまるごと外れます
第132条の85第4項と、第132条の86第5項に、同じ書き出しの規定があります。
係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他の……国土交通省令で定める方法による飛行を行う場合
この場合、前の項がすべて適用されません。詳しい条件は施行規則 第236条の76 と 第236条の82 に書かれています。紐で繋いで範囲を限れば扱いが変わる、という考え方です。
次回(第2回)は
第2回では、第132条の87から第132条の92までと、罰則を読みます。飛行計画、飛行日誌、事故が起きたときの措置——実際に飛ばす人が毎回向き合う部分です。
そして罰則のところで、教則と現行の法律で書きぶりが食い違っている箇所をご紹介します。金額は同じなのに、刑の名前だけが違っています。理由も含めて、第2回でお話しします。
出典
- e-Gov法令検索「航空法」(昭和27年法律第231号)2026年9月時点の現行版
- e-Gov法令検索「航空法施行規則」(昭和27年運輸省令第56号)2026年9月時点の現行版
- 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
本記事の内容は2026年9月時点のものです。空港等の周辺空域や緊急用務空域は告示・指定によって変わります。実際に飛行させる前に、国土交通省の案内で必ずご確認ください。法令には著作権がありません(著作権法第13条第1号)ので、条文はそのまま掲載しています。
登録講習機関講師 フライトデスク 監修



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