今回から第5章です。ここまでは機体の話でしたが、ここからは人の話になります。
5.1は、飛ばす一日をまるごと扱う節です。準備をして、点検して、飛ばして、見張って、降ろして、片づけて、記録する。教則はその流れを6つのプロセスに切り分け、それぞれで何を確認するかを表にしています。この連載でいちばん大きな表が出てくる回です。
そして、この表の中にはさらっと書かれているけれど罰則のある項目が混ざっています。飛行計画の通報をせずに特定飛行を行うと30万円以下の罰金、飛行日誌を備えないと10万円以下の罰金。——どこがそれなのか、順番に見ていきます。
教則第5版 5.1 操縦者の行動規範及び遵守事項(全文)
出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」(令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用)。読みやすさのためレイアウトを再構成し、原本で混在している英数字の全角・半角を半角にそろえています。本記事は国土交通省の公式なものではありません。
操縦者の義務
- (1) 操縦者の義務の概要
航空法においては、無人航空機を安全に飛行させるため、操縦者に対して様々な義務を課している。これらは、無人航空機を飛行させる者にとって根本的なルールである。
- (2) カテゴリーⅢ飛行の操縦者に追加で義務付けられる事項〔一等〕
カテゴリーⅢ飛行を行う場合には、操縦者は一等無人航空機操縦士の技能証明の取得が必要である。また、その運航の管理が適切に行われることについて、国土交通大臣の許可・承認を受ける必要があるが、運航管理体制の構築に当たっては、操縦者がリスクの高い飛行を行うことについて無人航空機を飛行させる者としての責任を自覚し、運航の中心的な役割を果たさなければならない。
運航時の点検及び確認事項
- (1) 安全運航のためのプロセスと点検項目
安全に運航するために点検プロセスを定め、そのプロセスごとに点検項目を設定する。点検プロセスは機体メーカーの指示する内容に従って実施すること。
- 1) 飛行前の準備
飛行前の準備では、必要な装置や設備の設置を行い、飛行に必要な許可・承認や機体登録等の有効期間が切れていないかを最終確認する。
- 2) 飛行前の点検
飛行前の点検は必ず機体を飛行させる前に都度行うべき最終点検である。ここではバッテリーのチェックや機体の異常チェックなど、無人航空機が正常に飛行できることを最終確認する。
- 3) 飛行中の監視
飛行中の監視では、飛行中の機体の状態チェックや、飛行している機体の周囲の状況など、安全な飛行のためにチェックしなければならない項目を継続的に確認する。
- 4) 飛行後の点検
飛行後の点検は、無人航空機が飛行を終えて着陸したあとに行うべき点検である。ここでは飛行の結果、無人航空機の各部品の摩耗等の状態を確認する。
- 5) 運航終了後の点検
当日の運航が終了したあとに行うべき点検である。ここでは無人航空機やバッテリーを安全に保管するための点検や、飛行日誌の作成などを確認する。
- 6) 異常事態発生時の点検
飛行中に異常事態が発生した際に確認するべき点検である。ここでは危機回避行動を行い、安全に着陸するための確認項目を確認する。
- (2) 運航者がプロセスごとに行うべき点検
以下にはプロセスごとに行うべき点検項目の例を挙げているが、運航する無人航空機の特性やその運航方法によって、必要な点検などを追加で行う必要がある。
| プロセス | 点検項目の例 |
|---|---|
| 飛行前の準備 | ① 無人航空機の確認 ・無人航空機の登録及び有効期間 ・無人航空機の機体認証及び有効期間並びに使用の条件(運用限界) ・整備状況 等 ② 操縦者の確認 ・技能証明の等級・限定・条件及び有効期間 ・操縦者の操縦能力、飛行経験、訓練状況 等 ③ 飛行空域及びその周囲の状況の確認 ・第三者の有無、地上又は水上の状況(住宅、学校、病院、道路、鉄道等) ・航空機や他の無人航空機の飛行状況、空域の状況(空港・ヘリポート、管制区域・航空路等) ・障害物や安全性に影響を及ぼす物件(高圧線、変電所、電波塔、無線施設等)の有無 ・小型無人機等飛行禁止法の飛行禁止空域、緊急用務空域、飛行自粛要請空域等の該当の有無 等 ④ 気象状況の確認 ・最新の気象情報(天気、風向、警報、注意報等) ⑤ 航空法その他の法令等の必要な手続き ・国の飛行の許可・承認の取得 ・必要な書類の携帯又は携行(技能証明書、飛行日誌、飛行の許可・承認書 等) ・航空法以外の法令等の必要な手続き 等 ⑥ 立入管理措置・安全確保措置 ・飛行マニュアルの作成 ・第三者の立入りを管理する措置 ・安全管理者や補助者等の配置・役割・訓練状況 ・緊急時の措置(緊急着陸地点や安全にホバリング・旋回ができる場所の設定等) 等 ⑦ 飛行計画の策定及び通報 ・上記事項を踏まえ飛行計画を策定 ・ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)に入力し通報 |
| 飛行前の点検 | ① 各機器は安全に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等) ② 発動機やモーターに異音はないか ③ 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか ④ 燃料の搭載量又はバッテリーの充電量は十分か ⑤ 通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか ⑥ 登録記号(試験飛行届出番号及び「試験飛行中」)について機体に表示されているか ⑦ リモートID機能が正常に作動しているか(リモートID機能を有する機器を装備する場合) (例)リモートID機能が作動していることを示すランプが点灯していることの確認 |
| 飛行中の監視 | ① 無人航空機の飛行状況 ・無人航空機の異常の有無 ・計画通りの経路・高度・速度等の維持状況 ② 飛行空域及びその周囲の気象の変化 ③ 飛行空域及びその周囲の状況 ・航空機及び他の無人航空機の有無 ・第三者の有無 等 |
| 異常事態発生時の措置 | ① あらかじめ設定した手順等に従った危機回避行動をとる ② 事故発生時には、直ちに無人航空機の飛行を中止し、危険を防止するための措置を取る ・負傷者がいる場合はその救護・通報 ・事故等の状況に応じた警察への通報 ・火災が発生している場合の消防への通報 等 ③ 事故・重大インシデントの国土交通大臣への報告 |
| 飛行後の点検 | ① 機体にゴミ等の付着はないか ② 各機器は確実に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等) ③ 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷がゆがみはないか ④ 各機器の異常な発熱はないか |
| 運航終了後の点検 | ① 機体やバッテリー等を安全な状態で適切な場所に保管したか ② 飛行日誌を作成したか(飛行記録、日常点検記録及び点検整備記録) 等 |
- (3) ガソリンエンジンで駆動する機体の注意事項
ガソリンは危険物に該当するため、乗用車等で運搬する場合には、消防法で定められた 22リットル以下の専用の容器で運搬しなければならない。エンジン駆動の場合には機体の振動が大きいため、ネジ類の緩みなどを特に注意して点検する必要がある。
- (4) ペイロードを搭載あるいは物件投下時における注意事項
投下場所に補助者を配置しない場合、物件投下を行う際の高度は原則 1m 以内である必要がある。
飛行申請
- (1) 国土交通省への飛行申請
航空法においては、一定のリスクのある無人航空機の飛行については、そのリスクに応じた安全を確保するための措置を講ずることや、国土交通大臣から許可又は承認を取得した上で行うことを求めている。カテゴリーⅡ飛行については、当該申請に係る飛行開始予定日の 10 開庁日前までに申請書を所定の提出先に提出する必要がある。
- (2) カテゴリーⅢの飛行申請〔一等〕
カテゴリーⅢ飛行を行う場合には、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させることに加えて、その運航の管理が適切に行われることについて、国土交通大臣から許可又は承認を取得する必要がある。具体的には、無人航空機を飛行させる者は、飛行の形態に応じてリスクの分析と評価を行い、その結果に基づく非常時の対処方針や緊急着陸場所の設定などのリスク軽減策の内容を記載した飛行マニュアルの提出を含めて、運航の管理が適切に行われることについて申請しなければならない。また、飛行の許可・承認の審査において、無人航空機を飛行させる者が適切な保険に加入するなど賠償能力を有することの確認を行うこととしている。
カテゴリーⅢ飛行については、通達「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」に従って、当該申請に係る飛行開始予定日の 20 開庁日前までに申請書を国土交通省航空局に提出しなければならない。
保険及びセキュリティ
- (1) 損害賠償能力の確保
無人航空機を飛行させる場合、飛行中における航空機や他の無人航空機との接触又は衝突、落下等による地上の人又は物件との接触または衝突により、第三者に損害を与えることが想定され、その場合には当該損害を賠償することが求められることがある。このことから、無人航空機を飛行させる場合には、万一の場合に備え賠償能力を確保しておくことが望まれるが、その対応としては、損害賠償責任保険に加入しておくことが有効と考えられる。このことから国土交通省においては、加入している保険の確認など無人航空機を飛行させる者が賠償能力を有することの確認を、許可・承認の審査の際に行っている。
無人航空機の保険については大きく分けて以下の種類がある。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 機体保険 | 機体やカメラ自体の損傷に対する保険 ※機体が見つからないと保険が適用されないケースがあるため注意すること。 ※荷物輸送においては、輸送物が保険対象に含まれるか確認すること。 |
| 損害賠償責任保険 | 無人航空機を運航したことによっておこる損害に対する保険(対物・対人) |
- (2) 無人航空機に係るセキュリティ確保
無人航空機は、それ自体の財産的な価値を狙った盗難の他、犯罪やプライバシー侵害等の目的で悪用することを意図した運航の妨害や、コントロールの奪取の危険がある。特に無人航空機が悪用された場合、第三者に被害が及ぶことが懸念されることから、無人航空機の所有者及び操縦者は、このような危険から当該無人航空機を守るため、セキュリティの確保に取り組まなければならない。
無人航空機のセキュリティ対策として、例えば当該無人航空機及びその遠隔操縦のための機器を適切に管理することで、盗難等を防止することが望ましい。
無人航空機にはプログラムに基づき自動又は自律で飛行するものも多くあり、そのようなものは、プログラムを不正に書き換えられる等により、当該無人航空機が奪取されたり操縦者の意図に反して悪用されたりする可能性がある。航空法に基づく機体認証・型式認証に係る安全基準は、無人航空機に係るサイバーセキュリティの観点からの適合性が証明されることも求めており、認証を受けた機体は一定のサイバーセキュリティ対策がされていることから、機体認証・型式認証を受けた機体を利用することで、リスクの軽減策となる。
- (3) カテゴリーⅢ飛行のリスク評価結果による保険、セキュリティ〔一等〕
カテゴリーⅢ飛行は、第三者上空を飛行するリスクの高い運航であることから、その飛行の許可・承認の審査にあわせて、無人航空機を飛行させる者が賠償能力を有することの確認を行うこととしているが、その飛行の形態に応じたリスク評価を行い、その結果に基づき、必要な保険に加入することが望ましい。また、無人航空機の選定においては、飛行の形態に応じたリスク評価の結果に基づき必要なセキュリティ対策が講じられていることも考慮しなければならない。
ここからは私の解説です
この節がいちばん言いたいこと
ひとことで言うと、「操縦は、飛ばしている時間だけではない」ということです。
教則はこの節で、飛ばす一日を6つのプロセスに切りました。飛行前の準備、飛行前の点検、飛行中の監視、飛行後の点検、運航終了後の点検、異常事態発生時の点検。スティックを握っている時間は、このうち1つ半くらいです。
ここが第5章の入り口である意味は、そこにあると思っています。良い操縦者かどうかは、飛ばしていない時間で決まる。——教則の書きぶりから、私はそう読みました。
〔一等〕は3か所。全部カテゴリーⅢの話です
| 項目 | だれが読むところか |
|---|---|
| 操縦者の義務(2) カテゴリーⅢ飛行の操縦者に追加で義務付けられる事項〔一等〕 | 一等のみ |
| 飛行申請(2) カテゴリーⅢの飛行申請〔一等〕 | 一等のみ |
| 保険及びセキュリティ(3) カテゴリーⅢ飛行のリスク評価結果による保険、セキュリティ〔一等〕 | 一等のみ |
| それ以外すべて(運航時の点検及び確認事項・飛行申請(1)・保険(1)(2)) | 一等・二等とも |
〔一等〕はすべてカテゴリーⅢ(第三者上空を飛ぶ飛行)に関するものです。裏を返すと、大きな表も、申請の期限も、保険の種類も、セキュリティも、全部が二等の範囲ということになります。
本文の並びと、表の並びが違います
細かいところですが、気づいておくと理解が深まる点があります。6つのプロセスの順番が、本文と表で違うのです。
| 本文(1)の並び | 表(2)の並び |
|---|---|
| 1) 飛行前の準備 2) 飛行前の点検 3) 飛行中の監視 4) 飛行後の点検 5) 運航終了後の点検 6) 異常事態発生時の点検 |
飛行前の準備 飛行前の点検 飛行中の監視 異常事態発生時の措置 飛行後の点検 運航終了後の点検 |
本文は「通常の流れを1〜5で説明し、例外を6に置いた」並び。表は「実際に起きる順番」の並びです。異常事態は飛行中に起きるので、監視の直後に入っている——そう考えると、表のほうが現場の感覚に近いと分かります。
もう1つ。本文では「異常事態発生時の点検」ですが、表では「異常事態発生時の措置」になっています。点検ではなく措置。異常が起きたときにやることは確認ではなく行動だ、ということです。
いちばん重いのは「飛行前の準備」の7項目です
表を見ていただくと分かるとおり、飛行前の準備だけが飛び抜けて長いです。7つの確認があり、それぞれに細目がぶら下がっています。この7つを言葉で覚えられる形にしてみます。
| 教則の項目 | ひとことで言うと |
|---|---|
| ① 無人航空機の確認 | 機体は飛ばせる状態か(登録・機体認証の有効期間、運用限界、整備状況) |
| ② 操縦者の確認 | 自分は飛ばせる資格と力量があるか(技能証明の等級・限定・条件・有効期間、経験、訓練) |
| ③ 飛行空域及びその周囲の状況の確認 | 場所は大丈夫か(第三者、住宅・学校・病院・道路・鉄道、航空機、空港・管制区域、高圧線・電波塔、飛行禁止空域・緊急用務空域・飛行自粛要請空域) |
| ④ 気象状況の確認 | 空は大丈夫か(天気、風向、警報、注意報) |
| ⑤ 航空法その他の法令等の必要な手続き | 紙はそろっているか(許可・承認、技能証明書・飛行日誌・許可承認書の携帯、他の法令の手続き) |
| ⑥ 立入管理措置・安全確保措置 | 人の手配はできているか(飛行マニュアル、立入管理、補助者の配置と訓練、緊急時の措置) |
| ⑦ 飛行計画の策定及び通報 | 届出は済んでいるか(飛行計画を作り、ドローン情報基盤システムに入力して通報) |
機体・自分・場所・空・紙・人・届出。この7語の順で思い出せるようにしておくと、抜けにくくなります。
表にさらっと書いてある⑦には、罰則があります
ここが今回いちばんお伝えしたいところです。⑦の「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)に入力し通報」——教則の表では、ほかの項目と同じ大きさで1行書かれているだけです。
ですが、これは航空法上の義務です。じつは教則自身が、3.1(5)の罰則の表にこれを載せています(この連載の9回目で読んだところです)。国土交通省のページでは、条文番号まで示されています。
飛行計画の通報をせずに特定飛行を行った場合、航空法第157条の10に従い、30万円以下の罰金が科せられます。
そして、6つ目のプロセス「運航終了後の点検」の②にある飛行日誌のほうにも、罰則があります。
特定飛行を行う際に飛行日誌を備えない、飛行日誌に記載すべき事項を記載しない又は虚偽の記載を行った場合、航空法第157条の11に従い、10万円以下の罰金が科せられます。
| やらなかったこと | 罰則 |
|---|---|
| 飛行計画を通報せずに特定飛行を行った | 30万円以下の罰金(航空法第157条の10) |
| 飛行日誌を備えない/記載しない/虚偽の記載 | 10万円以下の罰金(航空法第157条の11) |
教則の表の1行目と最終行——始まりと終わりの2つに、罰則が付いているということです。飛ぶ前に通報し、終わったら書く。この2つは「できればやること」ではありません。
飛行前の点検7項目は、点検の基本形です
教則の表の「飛行前の点検」は7項目。前回(4.6)で見た標準マニュアルの飛行前点検と、ほぼ同じ並びです。
ここで注目したいのは⑥と⑦です。
- ⑥ 登録記号(試験飛行届出番号及び「試験飛行中」)について機体に表示されているか
- ⑦ リモートID機能が正常に作動しているか(例:作動していることを示すランプが点灯していることの確認)
①〜⑤は機械が壊れていないかの点検ですが、⑥と⑦は法律を守れているかの点検です。教則の罰則の表には「登録記号の表示又はリモートIDの搭載をせずに飛行させたとき=50万円以下の罰金」と書かれています。点検し忘れではなく、違反になる項目だということです。
点検リストの中に、機械の話と法律の話が混ざっている。ここは意識して読み分けておくと、実際の点検でも抜けにくくなります。
異常事態発生時の措置——ここは第2章の復習です
表の「異常事態発生時の措置」の中身は、じつは2.3(事故が起きた時の対応)とまったく同じことを言っています。
- ① あらかじめ設定した手順等に従った危機回避行動をとる
- ② 事故発生時には、直ちに飛行を中止し、危険を防止するための措置(負傷者の救護・通報/警察への通報/火災なら消防への通報)
- ③ 事故・重大インシデントの国土交通大臣への報告
止める → 助ける → 報せる。順番はこれです。教則が第2章と第5章の両方に同じことを書いているのは、それだけ大事だからだと受け取っています。
ちなみに①の「あらかじめ設定した手順等に従った」という言葉に注目してください。その場で考えるのではなく、事前に決めておいたとおりに動く。だから飛行前の準備⑥に「緊急時の措置(緊急着陸地点や安全にホバリング・旋回ができる場所の設定等)」が入っているのです。準備と異常時対応は、つながっています。
ガソリンは危険物です
(3)は、エンジン機を使う方だけの話に見えますが、覚えやすい数字が1つ入っています。
ガソリンは危険物に該当するため、乗用車等で運搬する場合には、消防法で定められた22リットル以下の専用の容器で運搬しなければならない。
22リットル以下。そして、もう一文。
エンジン駆動の場合には機体の振動が大きいため、ネジ類の緩みなどを特に注意して点検する必要がある。
振動が大きい=ネジが緩む。電動機との違いは、突き詰めるとここです。前々回(4.4)で見た「各機器は確実に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)」が、エンジン機ではより重い項目になる、ということです。
物件投下は「原則1m以内」——補助者がいない場合
(4)は1文だけですが、条件付きの数字なので正確に読みます。
投下場所に補助者を配置しない場合、物件投下を行う際の高度は原則1m以内である必要がある。
「投下場所に補助者を配置しない場合」という条件が頭に付いています。補助者がいれば1mに縛られるわけではない、という読み方になります。数字だけを覚えると条件を落とします。「補助者なし=1m以内」とセットで覚えてください。
申請は10開庁日前。ただし「10日前」ではありません
飛行申請のところは、数字が2つ出てきます。
| 飛行の区分 | 申請書の提出期限 |
|---|---|
| カテゴリーⅡ飛行 | 飛行開始予定日の10開庁日前まで(所定の提出先へ) |
| カテゴリーⅢ飛行〔一等〕 | 飛行開始予定日の20開庁日前まで(国土交通省航空局へ) |
大事なのは「開庁日」という言葉です。国土交通省は「少なくとも10開庁日以上前(土日・祝日を除く)」と案内しています。土日祝は数に入りません。10開庁日は、カレンダーの上では2週間以上になります。
しかも国土交通省は、実際にはこう呼びかけています。
飛行開始予定日から3〜4週間程度、十分な余裕をもって申請を頂きますようお願いします
不備があれば補正のやり取りが要るからです。「10開庁日前」は締切であって、目標ではないということですね。
保険は義務ではありません。でも審査では見られます
ここは誤解の多いところなので、教則の言葉づかいを丁寧に見ます。
万一の場合に備え賠償能力を確保しておくことが望まれるが、その対応としては、損害賠償責任保険に加入しておくことが有効と考えられる。
「望まれる」「有効と考えられる」——義務ではありません。教則は第2章(2.3.3)で、もっとはっきり書いています。
無人航空機の保険は、車の自動車損害賠償責任保険(自賠責)のような強制保険はなく、すべて任意
ただし、5.1では続けてこう書かれています。
国土交通省においては、加入している保険の確認など無人航空機を飛行させる者が賠償能力を有することの確認を、許可・承認の審査の際に行っている。
義務ではないが、審査では確認される。この2段構えを、そのまま覚えておいてください。
保険の種類は2つです。名前が似ていますが、守るものが逆です。
| 種類 | 何を守るか |
|---|---|
| 機体保険 | 自分のもの(機体やカメラ自体の損傷) |
| 損害賠償責任保険 | 相手(運航によって起きた対物・対人の損害) |
そして、機体保険には教則が2つの注意書きを付けています。
- 機体が見つからないと保険が適用されないケースがある
- 荷物輸送では、輸送物が保険の対象に含まれるか確認する
1つ目が、私は現場でいちばん効くと思っています。山や海に落ちて回収できなかった機体は、保険で戻ってこないことがある。「落としても保険があるから」と考えていると、そこで足をすくわれます。
セキュリティ——盗まれるだけでなく、乗っ取られる
(2)のセキュリティは、教則の中でも新しい感じのする項目です。挙げられている危険は3つあります。
| 危険 | 中身 |
|---|---|
| 盗難 | 機体そのものの財産的な価値を狙われる |
| 運航の妨害 | 犯罪やプライバシー侵害等の目的で飛行を妨げられる |
| コントロールの奪取 | プログラムを不正に書き換えられ、操縦者の意図に反して悪用される |
3つ目が、いちばん現代的な話です。自動・自律で飛ぶ機体はプログラムで動いているので、そのプログラムを書き換えられたら、機体は他人のものになります。
対策として教則が挙げているのは2つです。1つは機体と送信機を適切に管理して盗難を防ぐこと。もう1つが、覚えておきたいところです。
航空法に基づく機体認証・型式認証に係る安全基準は、無人航空機に係るサイバーセキュリティの観点からの適合性が証明されることも求めており、認証を受けた機体は一定のサイバーセキュリティ対策がされている
機体認証・型式認証は、機械の頑丈さだけを見ているのではありません。サイバーセキュリティの適合性も見ている。だから認証を受けた機体を選ぶこと自体がリスク軽減策になる——これは、教則が機体選びについて踏み込んで書いている珍しい箇所です。
この回の数字まとめ
- この節の〔一等〕は3か所。すべてカテゴリーⅢの話。大きな表も申請期限も保険もセキュリティも二等の範囲
- 運航のプロセスは6つ(飛行前の準備/飛行前の点検/飛行中の監視/飛行後の点検/運航終了後の点検/異常事態発生時)
- 飛行前の準備は7項目=機体・自分・場所・空・紙・人・届出
- 飛行前の点検は7項目。うち⑥登録記号の表示と⑦リモートIDの作動は法令の点検
- 飛行計画を通報せずに特定飛行=30万円以下の罰金(航空法第157条の10)
- 飛行日誌を備えない・記載しない・虚偽の記載=10万円以下の罰金(同第157条の11)
- 異常事態は止める → 助ける → 報せる(危機回避行動/飛行中止と救護・警察・消防/国土交通大臣への報告)
- ガソリンの運搬=22リットル以下の専用の容器。エンジン機は振動が大きくネジが緩みやすい
- 物件投下=投下場所に補助者を配置しない場合は原則1m以内
- 申請=カテゴリーⅡは10開庁日前、カテゴリーⅢは20開庁日前(開庁日=土日祝を除く。国土交通省は3〜4週間前を推奨)
- 保険は義務ではないが、許可・承認の審査で賠償能力を確認される。機体保険=自分のもの/損害賠償責任保険=相手
- セキュリティの危険は3つ(盗難/運航の妨害/コントロールの奪取)。機体認証・型式認証はサイバーセキュリティの適合性も見ている
おわりに
大きな表が出てくる回でしたが、表そのものを丸暗記する必要はないと私は思っています。あの表はチェックリストの見本であって、覚えるものではなく使うものだからです。
むしろ持ち帰っていただきたいのは、「飛ばす前と、片づけたあとに、法律上の義務がある」という一点です。飛行計画の通報と、飛行日誌。どちらもスティックを握っていない時間の作業で、どちらにも罰則があります。
逆に言えば、この2つを毎回きちんとやっている方は、教則が求める操縦者像の中心をもう押さえているということでもあります。
次回は「5.2 操縦者に求められる操縦知識」。離着陸の操作から、実際に手を動かす話に入っていきます。
出典
- 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
- 国土交通省「航空:飛行計画の通報・飛行日誌の作成」(航空法第157条の10・第157条の11の罰則)
- 国土交通省「航空:無人航空機の飛行許可・承認手続」(少なくとも10開庁日以上前/3〜4週間程度の余裕をもった申請の呼びかけ)
本記事の内容は2026年8月時点のものです。申請の手続きや必要書類は変わることがありますので、実際の申請ではドローン情報基盤システム(DIPS)と国土交通省のページで最新の案内をご確認ください。
この章を、問題で確認する
ここは学科試験では「操縦者及び運航体制」の分野にあたります。読んだ直後に解くと、取り違えていた箇所がその場で分かります。
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