教則第5版をやさしく読む12|3.2-2 航空法以外の法令等(2)電波法・その他の法令等【全文+講師の解説】

教則第5版をやさしく読む12|3.2-2 航空法以外の法令等(2)電波法・その他の法令等【全文+講師の解説】 ストック記事

機体を登録して、練習を重ねて、許可も取った。それでも、まだ足りないものがあります。電波を出してよい、という許可です。

ドローンは電波で動きます。プロポからの操縦の電波、機体から返ってくる映像の電波。これらは日本では電波法の世界の話で、航空法とはまったく別の役所(総務省)が担当しています。しかもこの節には、免許が要るもの・要らないもの、資格が要るもの・要らないものが入り混じって出てきます。今回は、その線引きを一つずつほどいていきます。あわせて、条例と飛行自粛要請空域という、「法律ではないのに守らないといけないもの」も見ていきます。第3章の最後の節です。

教則第5版 3.2 航空法以外の法令等(2)電波法・その他の法令等(全文)

出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」(令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用)。読みやすさのためレイアウトを再構成し、原本で混在している英数字の全角・半角を半角にそろえています。本記事は国土交通省の公式なものではありません。

電波法

  • (1) 制度概要及び無人航空機に用いられる無線設備

無人航空機においては、その操縦や画像伝送のために電波を発射する無線設備が利用されている。これらの無線設備を日本国内で使用する場合には、電波法令に基づき、国内の技術基準に合致した無線設備を使用し、原則、総務大臣の免許や登録を受け、無線局を開設する必要がある(微弱な無線局や一部の小電力の無線局は除く)。本制度の詳細については、総務省電波利用ホームページ等で確認すること。

国内で無人航空機での使用が想定される主な無線通信システムは以下のとおり。

分類 無線局免許 周波数帯 最大送信出力 主な利用形態 無線従事者資格
免許又は登録を要しない無線局 不要 73MHz帯等 微弱※1 操縦用 不要
不要※2 920MHz帯 20mW 操縦用
2.4GHz 帯 10mW/MHz※3 操縦用、画像伝送用、データ伝送用
携帯局(無人移動体画像伝送システムの無線局) 要※4 169MHz 帯 10mW※5 操縦用、画像伝送用、データ伝送用 第三級陸上特殊無線技士以上の資格
2.4GHz帯 1W 操縦用、画像伝送用、データ伝送用
5.7GHz 帯 1W 操縦用、画像伝送用、データ伝送用
陸上移動局(携帯電話(4G、5G)) 不要※6 800MHz 帯
900MHz 帯
1.7GHz 帯
2GHz帯 ※7
※8 操縦用、画像伝送用、データ伝送用 不要
  • ※1: 500m の距離において電界強度が 200μV/m 以下のもの
  • ※2: 技術基準適合証明等を受けた適合表示無線設備であることが必要
  • ※3: 変調方式や占有周波数帯幅によって出力の上限は異なる
  • ※4: 運用に際しては、運用調整を行うこと
  • ※5: 地上から電波発射を行う無線局の場合は最大 1W
  • ※6: 携帯電話事業者の包括免許により運用
  • ※7: 上空利用が可能な周波数帯のみ掲載
  • ※8: 基地局によって制御される
  • (2) 免許又は登録を要しない無線局

発射する電波が極めて微弱な無線局や、一定の技術的条件に適合する無線設備を使用する小電力の無線局については、無線局の免許又は登録が不要である。無人航空機には、ラジコン用の微弱無線局や小電力データ通信システム(無線 LAN 等)の一部が主として用いられている。

  • ① 微弱無線局(ラジコン用)ラジコン等に用いられる微弱無線局は、無線設備から 500 メートルの距離での電界強度(電波の強さ)が 200μV/m以下のものとして、周波数などが総務省告示で定められている。無線局免許や無線従事者資格が不要であり、主に、産業用の農薬散布ラジコンヘリ等で用いられている。
  • ② 一部の小電力の無線局空中線電力が 1W 以下で、特定の用途に使用される一定の技術基準が定められた無線局については、免許又は登録が不要である。例えば、Wi-Fi や Bluetooth 等の小電力データ通信システムの無線局等が該当する。

これらの小電力の無線局は、無線局免許や無線従事者資格が不要だが、技術基準適合証明等(技術基準適合証明又は工事設計認証)を受けた適合表示無線設備でなければならない。具体的には、以下の技術基準適合証明等を受けた旨の表示(技適マーク)等により確認すること。

原本では、ここに技術基準適合証明等を受けた旨の表示(技適マーク)の図が入ります。図中の表記は「R (番号)」です。

  • (3) アマチュア無線局

上記の無線局のほか、無人航空機にアマチュア無線が用いられることがある。この場合は、アマチュア無線技士の資格及びアマチュア無線局免許が必要である。なお、アマチュア無線とは、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な興味により行う自己訓練、通信及び技術研究のための無線通信である。そのため、アマチュア無線を使用した無人航空機を、利益を目的とした仕事などの業務に利用することはできない。

また、無人航空機において FPV(First Person View)といった画像伝送が用いられることがある。アマチュア無線による FPV 無人航空機については、現在、無人航空機の操縦に 2.4GHz 帯の免許不要局を使用し、無人航空機からの画像伝送に 5GHz 帯のアマチュア無線局を使用する場合が多いが、5GHz 帯のアマチュア無線は、周波数割当計画上、二次業務に割り当てられている。このため、同一帯域を使用する他の一次業務の無線局の運用に妨害を与えないように運用しなければならない。特に、5.7GHz 帯では無人移動体画像伝送システムが用いられているほか、5.8GHz 帯は、DSRC システムに割り当てられており、主として高速道路の ETC システムや駐車場管理等に用いられているので、それら付近での使用は避ける等、運用の際には配慮が必要である。

  • (4) 携帯電話

携帯電話等の移動通信システムは、地上での利用を前提に設計されていることから、上空で利用した場合、通信品質の安定性や地上の携帯電話等の利用への影響が懸念される。こうした状況を踏まえ、一定の条件下で利用することで、既設の無線局の運用等に支障を与えずに上空で利用できるよう、制度整備がなされている。

携帯電話を無人航空機に搭載して利用する場合(無人航空機に SIM カードを挿入して利用する場合を含む)には、携帯電話事業者が提供する条件に対応した上空用プラン等の利用手続を行うことが必要である。詳細は総務省電波利用ホームページを確認すること。

その他の法令等

上記の法令に加え、その他の法令等又は地方公共団体が定める条例に基づき、無人航空機の利用方法が制限されたり、都市公園や施設の上空など特定の場所において、無人航空機の飛行が制限されたりする場合がある。

こうした法令等や条例については、国土交通省ホームページに一覧等が掲載されている(条例の最新の情報については地方公共団体に確認すること)。

飛行自粛要請空域

法令等に基づく規制ではないが、警備上の観点等から警察などの関係省庁等の要請に基づき、国土交通省が無人航空機の飛行自粛を要請することがある。飛行自粛要請空域が設定される場合には国土交通省のホームページ・X(旧 Twitter)にて公示するため、無人航空機の操縦者は、飛行を開始する前に、当該空域が飛行自粛要請空域に該当するか否かの別を確認し、その要請内容に基づき適切に対応すること。

ここからは私の解説です

この節がいちばん言いたいこと

ひとことで言うと、「機体を飛ばしてよいか」と「電波を出してよいか」は、別々に判断するということです。

航空法の手続きをすべて終えていても、機体に載っている無線機が電波法の条件を満たしていなければ、それは電波法違反になり得ます。逆に、電波の面では何の問題もない機体でも、人口集中地区の上空を飛ばせば航空法違反です。2つの法律は、別々に、同時にかかってきます。

そのうえで、教則が挙げている無線は大きく3つの分類しかありません。ここを押さえると、あとは枝葉です。

まず、3つの分類を「要る・要らない」で並べ替えてみる

原本の表は6つの列があって、初めて読むときは少し目が滑ります。そこで、いちばん気になる2つ——無線局の免許は要るのか、資格は要るのか——だけを取り出して並べ替えてみました。

何を使うか 無線局の免許 無線従事者の資格
ラジコン用の微弱無線局(73MHz帯等) 不要 不要
920MHz帯・2.4GHz帯の小電力の無線局(Wi-Fi、Bluetooth など) 不要
ただし技適マークが条件
不要
無人移動体画像伝送システム(169MHz帯・2.4GHz帯・5.7GHz帯) 必要
さらに運用調整が必要
第三級陸上特殊無線技士以上
アマチュア無線(FPV などで使われることがある) 必要(アマチュア無線局免許) アマチュア無線技士
携帯電話(4G・5G)を機体に載せる 自分では取らない(事業者の包括免許) 不要
ただし事業者への手続きは必要

この表の左から2列目をたどってみてください。市販のドローンの多くが当てはまるのは、上から2番目の行です。だから多くの方は、免許も資格も持たないままドローンを飛ばしています。それは違法でも何でもなく、「免許を要しない無線局」という制度にきちんと乗っているからです。

免許が要らない代わりの条件が、技適マークです

教則は、免許も資格も要らない小電力の無線局について、こう釘を刺しています。

これらの小電力の無線局は、無線局免許や無線従事者資格が不要だが、技術基準適合証明等(技術基準適合証明又は工事設計認証)を受けた適合表示無線設備でなければならない。

つまり「免許は要らない。ただし、国の技術基準に合っていることが証明された機械であること」が引き換えの条件です。その証明のしるしが技適マークで、原本ではこのあとに図が入り、「R (番号)」という表記が添えられています。

このRには意味があります。総務省の「技適マークのQ&A」には、電波法に基づく技適マークにはRに続く番号が付され、電話機などの端末機器の基準に適合したものにはTに続く番号が付されると書かれています。スマートフォンのように電波も使えば電話回線にもつながる機器には、RとTの両方の番号が並びます。手元の機体やプロポの銘板を見るとき、Rの番号があるかどうかが目印になります。

そして、ここは軽く扱えません。同じQ&Aには、技適マークのない無線機をそのまま使うと電波法違反になる場合があり、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、公共性の高い無線局に妨害を与えた場合は5年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金の対象になると書かれています。海外の通販で安く手に入る機体には技適マークが付いていないことがありますので、買う前に確認してください。総務省には技適を受けた機器を番号から検索できるページも用意されています。

免許も資格も要る組——無人移動体画像伝送システム

表の3行目、169MHz帯・2.4GHz帯・5.7GHz帯の「無人移動体画像伝送システム」。ここだけは、無線局の免許と第三級陸上特殊無線技士以上の資格の両方が必要です。教則の表の「無線従事者資格」の欄に、この資格名が書かれているのはこの行だけです。

もう一つ、表の脚注に小さく書かれている※4「運用に際しては、運用調整を行うこと」を見落とさないでください。これは実務では大きな意味を持ちます。総務省の説明によると、限られた周波数をみんなで分け合うため、使う人どうしで周波数などを調整する必要があり、免許の申請時に運用調整に関する資料を出すことになっています。その調整を担う団体としてJUTM(日本無人機運航管理コンソーシアム)が整備されており、加入証明書の写し等を提出するのが基本の形です。再免許のときにも提出が必要とされています。

それから、意外に知られていない前提があります。総務省は、無人移動体画像伝送システムについて「一般業務用(産業の用に供するものに限る。)として、平成28年8月に制度化されました」と説明しています。趣味の空撮のために免許を受けることは、そもそも想定されていないということです。

第三級陸上特殊無線技士は、どれくらいの試験なのか

「資格が要る」と聞くと身構えてしまいますが、この資格は無線の資格の中では入り口にあたるものです。数字を並べておきます(公益財団法人 日本無線協会・2026年8月時点)。

項目 内容
試験手数料 5,600円(別途、払込に係る手数料)
試験の方式 CBT方式。会場のパソコンで受験し、年間を通じて実施
試験日 申請した日から14日以降の日を、自分で選ぶ
試験科目 無線工学 12問/法規 12問
試験時間 各科目 1時間
合格基準 各科目 200点満点で140点以上(両方の科目とも基準に達していること)

受験できる日を自分で選べて、年に何回でも挑戦できます。二等の学科試験と同じCBT方式ですから、会場の雰囲気にも慣れるという副産物もあります。もっとも、二等の学科試験の勉強としては、「この資格の名前が出てくるのはどの行か」を覚えれば十分です。

アマチュア無線でFPV——落とし穴は「仕事に使えない」ことです

FPVは、機体からの映像をゴーグルなどで見ながら飛ばす方法です。ここでアマチュア無線を使うことがあるのですが、教則ははっきり書いています。

アマチュア無線とは、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な興味により行う自己訓練、通信及び技術研究のための無線通信である。そのため、アマチュア無線を使用した無人航空機を、利益を目的とした仕事などの業務に利用することはできない。

ここを読み飛ばすと、「資格も免許も持っているのに違反」という、いちばん残念な形になります。アマチュア無線技士の資格を取り、アマチュア無線局の免許も受けた——それでも、その電波で仕事の撮影をすることはできません。趣味と仕事の線引きが、電波の種類によって決まっているのです。

もう一つ、5GHz帯を使う場合の配慮も書かれています。5GHz帯のアマチュア無線は周波数割当計画上二次業務に割り当てられていて、同じ帯域を使う一次業務の無線局に妨害を与えないように運用しなければなりません。具体的には、5.7GHz帯には先ほどの無人移動体画像伝送システムがいて、5.8GHz帯はDSRC——高速道路のETCや駐車場の管理に使われている帯です。「高速道路のインターチェンジのそば」「大きな駐車場の入口の近く」は避ける、という具体的な場面として覚えておくと、忘れにくいと思います。

携帯電話——「スマホを載せれば飛ばせる」ではありません

教則は、携帯電話を機体に載せる場合について、「携帯電話事業者が提供する条件に対応した上空用プラン等の利用手続を行うことが必要である」と書いています。この一文が実際に何を意味するのかを、総務省の解説ページで確かめてみました。読んでいていちばん驚いたのが、次の3点です。

よくある思い込み 総務省の説明
普段のスマホやSIMをそのまま載せればいい 通常のスマートフォン等は地上での利用を前提とした制御が行われており、そのままでは上空では利用できない
低い高度なら手続きは要らない 高度や運用場所によらず、上空で使う場合は手続きが必要
自分で無線局の免許を取らないといけない 携帯電話の無線局免許の手続きは事業者が実施。利用者は事業者に上空利用の手続きを行う

3つ目が、教則の表で「陸上移動局(携帯電話(4G、5G))」の無線局免許が「不要※6」=「携帯電話事業者の包括免許により運用」となっている理由です。免許そのものは事業者が持っているので、私たちが免許を取りに行くわけではない。けれども、何もしなくていいわけではなく、事業者への手続きは必要——このねじれ方が、この行の分かりにくさの正体だと思います。

制度の歩みも整理しておきます。

時期 できるようになったこと
平成28年7月 実用化試験局の制度を適用し、課題の検証を開始
令和2年12月 高度150m未満で、条件に合う端末を簡素化した手続きで利用可能に
令和5年4月 高度150m以上でも、簡素化した手続きで利用可能に
令和7年5月 ローカル5GやBWAの端末も、機体に載せて利用できるよう制度整備

なお、総務省は「事業者との手続に時間を要する場合もある」とも書いています。飛ばす日の前日に申し込んで間に合うもの、ではないということです。もちろん、航空法上の手続きは別途必要です。

教則の表と、いまの総務省の表を並べてみると

ここは、試験対策というより実務のための注意です。総務省の現行のページを見にいくと、教則の表には載っていない行があります。自営等BWA(2.5GHz帯)とローカル5G(4.7GHz帯・28GHz帯)です。令和7年5月の制度改正で上空利用ができるようになったもので、教則の表はその改正より前の状態のままです。

ですので、学科試験の答えは教則の表のとおりに覚えてください。そのうえで、実際に仕事で新しい通信方式を使うことになったときは、総務省の電波利用ホームページを直接見る——教則自身が「本制度の詳細については、総務省電波利用ホームページ等で確認すること」と書いているのは、まさにこのためです。

その他の法令等——「一覧がある」の中身を見に行きました

教則は、条例などについてこう書くだけです。

こうした法令等や条例については、国土交通省ホームページに一覧等が掲載されている(条例の最新の情報については地方公共団体に確認すること)。

この「一覧」を実際に開いてみました。国土交通省の「無人航空機の飛行を制限する条例等」というPDFで、A4で30ページ、収録されている条例は260件ありました(2026年8月に私が数えたものです)。団体名・条例名・該当条項・概要・飛行が制限される場所・問い合わせ先・条例へのリンクが表になっています。

中身は、想像よりずっと具体的でした。いくつか挙げてみます。

自治体 条例 書かれていること
和歌山県太地町 鯨鯢追込網漁業を行う地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する条例 町長が定めた漁業期間内は、対象地域の上空で小型無人機を飛行させてはならない
群馬県富岡市 富岡製糸場条例 個別に撮影許可申請書を出して認められれば飛行できる。建物や展示物に損傷を与えるおそれがあると認められる場合に制限
愛知県 弥富野鳥園条例 野鳥やその生息地の保全のため飛行は禁止。学術研究・調査を目的とした飛行等、県が認める場合を除く

読んでいて気づいたことが2つあります。

1つは、「ドローン禁止」と書いていない条例のほうが多いということです。「管理上支障があると認めるとき」「他の利用者に危険を及ぼす恐れのある行為」といった一般的な条文があって、その条文に当てはまるものとして飛行が止められる形が目立ちます。条例の名前でドローンを検索しても出てこないのは、そのためです。

もう1つは、この一覧そのものが最新とは限らないということ。私が確認した時点で、このPDFの最終更新は2024年11月29日でした。教則がわざわざ「条例の最新の情報については地方公共団体に確認すること」と書き添えているのは、役所の側もそれを分かっているからだと思います。一覧は「まず見る場所」であって、「これで確認完了」ではありません。飛ばす公園や施設が決まっているなら、そこの管理者に電話で聞くのがいちばん早くて確実です。

なお、条例のほかに、総務省の「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」(平成27年9月11日公表)もあります。撮った映像をネットに上げるときの注意をまとめたもので、他人の顔や表札、車のナンバーが写り込んだ映像の扱いが書かれています。飛ばすことより、上げることのほうでトラブルになる——このことは頭の隅に置いておいてください。

飛行自粛要請空域——法令ではないのに、なぜ確認するのか

節の最後は、少し性質の違う話です。教則の書き出しがすべてを言っています。

法令等に基づく規制ではないが、警備上の観点等から警察などの関係省庁等の要請に基づき、国土交通省が無人航空機の飛行自粛を要請することがある。

法令ではありません。罰則もありません。それでも教則は、飛行前に該当するかどうかを確認し、「その要請内容に基づき適切に対応すること」と書いています。

ここで、よく似た言葉と混ざりやすいので整理しておきます。

名前 根拠 飛ばすと
緊急用務空域 航空法第132条の85 原則として飛行禁止(法令違反になる)
飛行自粛要請空域 法令等に基づく規制ではない 要請に基づき適切に対応する

どちらも国土交通省のホームページとX(旧 Twitter)で公示されます。国土交通省航空局の無人航空機のアカウント(@mlit_mujinki)があり、フォローしておくと流れてきます。スマホで見られるところに置いておく——これが、いちばん現実的な備えだと思います。

なぜ「要請」でしかないものを確認するのか。私は、ここが操縦者の姿勢を測られる場所だと思っています。要人の警備、大きな行事の警戒。そういう場面で「法律ではないから」と飛ばした一機が、その後の制度を厳しくしていく。教則が第2章から一貫して書いてきた「操縦者の心得」の話が、最後にもう一度顔を出す場所です。

この節は、第4版から変わっていません

変更点を気にされる方のために、確かめた結果を書いておきます。この節(電波法・その他の法令等・飛行自粛要請空域)は、第4版から一字も変わっていません。第5版の変更履歴つきの資料と第5版の本体を、この範囲について1行ずつ突き合わせて確認しました。

ただし、1つ前の版では動いています。第4版の改訂履歴には「無線局免許手続規則の一部改正の内容反映(第3章 3.2.2(1)(4))」と書かれていて、まさにこの節の(1)の表と(4)の携帯電話が見直されています。古い教材で勉強された方は、携帯電話のところが書き直されていることだけ意識しておくと安心です。

この回の数字まとめ

  • 微弱無線局(ラジコン用)=500mの距離で電界強度200μV/m以下/免許も資格も不要
  • 免許・登録が不要な小電力の無線局=空中線電力1W以下で一定の技術基準に適合するもの。技適マークが条件
  • 920MHz帯=20mW/2.4GHz帯(免許不要)=10mW/MHz
  • 無人移動体画像伝送システム=169MHz帯(10mW)・2.4GHz帯(1W)・5.7GHz帯(1W)。免許が必要+第三級陸上特殊無線技士以上+運用調整
  • 169MHz帯で地上から電波を出す無線局は最大1W
  • 携帯電話(4G・5G)=800MHz帯・900MHz帯・1.7GHz帯・2GHz帯。免許は事業者の包括免許、送信出力は基地局によって制御される
  • アマチュア無線=業務には使えない/5GHz帯は二次業務/5.8GHz帯はDSRC(ETC等)
  • 第三級陸上特殊無線技士=手数料5,600円・CBT方式・各12問・各1時間・200点満点で140点以上
  • 条例の一覧=260件・30ページ(最終更新は2024年11月29日。最新は自治体に確認)
  • 飛行自粛要請空域=法令に基づく規制ではない。公示はホームページとX(旧 Twitter)

おわりに

この節は、教則の中でも数字と用語がいちばん密集しているところです。周波数、出力、資格名、そして小さな脚注。初めて読むと、正直「うっ」となります。

ですが、覚え方は単純にできます。「免許は要るか」「資格は要るか」の2つだけを、3つの分類ごとに思い出す。要らないのは微弱と小電力(技適マークが条件)、要るのは無人移動体画像伝送システム(プラス運用調整)、携帯電話は事業者経由。この3本の柱が立てば、周波数や出力の数字は柱に掛けていくだけです。

そして、条例と飛行自粛要請空域。ここは「調べ方」を覚える節です。国土交通省の一覧を見る、そのうえで自治体に確認する、Xで公示を追う。覚えるのではなく、確認できる状態にしておく。実際に飛ばすようになったとき、この習慣がいちばん効いてきます。

これで第3章「無人航空機に関する規則」は読み終わりです。次回からは第4章、機体そのものの話に入ります。まずは「4.1 無人航空機の機体の特徴(機体種類別)」。マルチローターがなぜ飛ぶのか、飛行機やヘリコプターと何が違うのか——ここからは、少し理科の時間になります。

出典

  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則 第4版からの変更履歴【参照用】」(この節が第4版から変更されていないことを確認)
  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則」令和7年2月1日第4版(改訂履歴に「無線局免許手続規則の一部改正の内容反映(第3章 3.2.2(1)(4))」の記載を確認)
  • 総務省 電波利用ホームページ「ドローン等に用いられる無線設備について」(無線通信システムの表、無人移動体画像伝送システムの制度化と運用調整、自営等BWA・ローカル5Gの追加)
  • 総務省 電波利用ホームページ「無人航空機等における携帯電話等の端末の利用」(上空利用の条件とQ&A、制度整備の経緯)
  • 総務省 電波利用ホームページ「技適マークのQ&A」(RとTの番号の違い、技適マークのない無線機を使った場合の罰則)
  • 公益財団法人 日本無線協会「CBT試験案内」「試験科目・合格基準等」(第三級陸上特殊無線技士の手数料・科目・時間・合格基準)
  • 国土交通省「無人航空機の飛行を制限する条例等」(条例の件数・ページ数・記載例・最終更新日)
  • 総務省「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」平成27年9月11日公表
  • 国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」(緊急用務空域が航空法第132条の85に基づくものであること)

本記事の内容は2026年8月時点のものです。制度は改正されることがありますので、最新の情報は必ず総務省・国土交通省・各自治体の公式サイトでご確認ください。

この章を、問題で確認する

ここは学科試験では「無人航空機に関する規則」の分野にあたります。読んだ直後に解くと、取り違えていた箇所がその場で分かります。

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