教則第5版をやさしく読む11|3.2-1 航空法以外の法令等(1)小型無人機等飛行禁止法【全文+講師の解説】

教則第5版をやさしく読む11|3.2-1 航空法以外の法令等(1)小型無人機等飛行禁止法【全文+講師の解説】 ストック記事

ここだけは、航空法とは別の法律です。しかも100グラム未満のトイドローンも対象で、航空法の許可を持っていても飛ばせません。「登録もした、許可も取った、だから大丈夫」——その理屈が通らない唯一の場所が、この節です。

そのうえ、この法律は令和8年7月14日に改正法が施行されたばかりです。禁止される範囲が広がり、罰則が変わり、対象施設が増えました。教則第5版がその内容を反映しています。いま覚え直しておくべき場所ですので、変わった点まで含めて一緒に見ていきます。

教則第5版 3.2 航空法以外の法令等(1)小型無人機等飛行禁止法(全文)

出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」(令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用)。読みやすさのためレイアウトを再構成し、原本で混在している英数字の全角・半角を半角にそろえています。本記事は国土交通省の公式なものではありません。

小型無人機等飛行禁止法

  • (1) 制度概要

小型無人機等飛行禁止法は、国会議事堂などの重要施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等、良好な国際関係、我が国を防衛するための基盤並びに国民生活及び経済活動の基盤の維持並びに公共の安全の確保に資するため、これら重要施設及びその周囲おおむね1000m の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止するものである。

  • (2) 飛行禁止の対象となる小型無人機等

小型無人機等飛行禁止法により重要施設及びその周辺地域の上空の飛行が禁止される対象は、小型無人機及び特定航空用機器であり、具体的には次のとおりである。

  • 1) 小型無人機

飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるものと定義されている。航空法の「無人航空機」と異なり、「小型無人機」は大きさや重さにかかわらず対象となり、100グラム未満のものも含まれる。

  • 2) 特定航空用機器

航空機以外の航空の用に供することができる機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるものと定義されており、気球、ハンググライダー及びパラグライダー等が該当する。

  • (3) 飛行禁止の対象となる重要施設

小型無人機等飛行禁止法により、重要施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)及びその周囲おおむね1000m の上空(イエロー・ゾーン)においては小型無人機等を飛行させることはできない。その対象となる重要施設は以下のとおり。このほかにも、外国要人の来日等に伴い、一時的に対象施設が追加されることがある。詳細については、警察庁ホームページなどを参照すること。

  • ① 国の重要な施設等
  • ⚫ 国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等
  • ⚫ 危機管理行政機関の庁舎
  • ⚫ 対象政党事務所
  • ⚫ 天皇又は内閣総理大臣の所在する施設であって、国内要人が出席する行事会場等
  • ② 外国公館等(外務大臣指定)
  • ⚫ 外国公館、国際機関の事務所等
  • ⚫ 外国要人が参加する国際会議の準備又は運営のために使用される会議場施設等
  • ③ 防衛関係施設(防衛大臣指定)
  • ⚫ 自衛隊施設
  • ⚫ 在日米軍施設
  • ④空港(国土交通大臣指定)
  • ⚫ 新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港
  • ⑤原子力事業所(国家公安委員会指定)
  • (4) 飛行禁止の例外及びその手続き

小型無人機等の飛行禁止の例外は、次に掲げる場合に限られており、航空法に基づく飛行の許可・承認や機体認証・技能証明を取得した場合であっても小型無人機等を飛行させることはできない。

(a) 対象施設の管理者又はその同意を得た者による飛行

(b) 土地の所有者等又はその同意を得た者が当該土地の上空において行う飛行

(c) 国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行

ただし、対象防衛関係施設及び対象空港の敷地又は区域の上空(レッドゾーン)においては、上記(b)又は(c)であっても対象施設の管理者の同意が必要となる((a)の飛行のみ可)。

飛行禁止の例外にあたる場合であっても、対象施設及びその周囲おおむね 1000m の周辺地域の上空で小型無人機等を飛行させる場合、都道府県公安委員会等へ通報しなければならない。

  • (5) 違反に対する措置等

警察官等は、小型無人機等飛行禁止法の規定に違反して小型無人機等の飛行を行う者に対し、機器の退去その他の必要な措置をとることを命ずることができる。また、やむを得ない限度において、小型無人機等の飛行の妨害、破損その他の必要な措置をとることができる。

対象施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)で小型無人機等の飛行を行った者及び警察官等の命令に違反した者は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられる。また、対象施設の敷地の周囲おおむね1000m の上空(イエロー・ゾーン)で小型無人機等の飛行を行った者は、6月以下の拘禁刑又は 50 万円以下の罰金に処せられる。

ここからは私の解説です

この節がいちばん言いたいこと

一行で言えば、「航空法とは別の物差しが、もう1本ある」ということです。

国土交通省も、この点をはっきり書いています。

航空法に基づく許可・承認を受けている場合であっても、小型無人機等飛行禁止法に基づく同意の取得および事前通報は別途必要となりますので、ご注意ください。

教則も同じことを、もっと強い言い方で書いています。「航空法に基づく飛行の許可・承認や機体認証・技能証明を取得した場合であっても小型無人機等を飛行させることはできない」。 資格も許可も、この法律の前では効きません。

まず「重さで決まらない」ことを押さえる

航空法の無人航空機は本体とバッテリーの合計が100グラム以上。100グラム未満は模型航空機で、多くの規制の外に出ます。

ところがこの法律は違います。

航空法の「無人航空機」と異なり、「小型無人機」は大きさや重さにかかわらず対象となり、100グラム未満のものも含まれる。

手のひらサイズのトイドローンでも対象です。 お子さんやお孫さんに買ってあげたドローンを、旅行先で何気なく飛ばす——その場所が対象施設の周辺だったら、この法律に触れます。「小さいから大丈夫」は、ここでは成り立ちません。

もう一つ、対象がドローンだけではないことも見落とされがちです。「特定航空用機器」——気球、ハンググライダー、パラグライダー等も同じ規制の中にあります。人が乗って飛ぶものまで含んでいる、という点で、航空法の無人航空機の話とは発想がそもそも違います。

レッド・ゾーンとイエロー・ゾーン

区域 範囲
レッド・ゾーン 重要施設の敷地・区域の上空
イエロー・ゾーン その周囲おおむね1,000mの上空

この1,000mが、今回いちばん大事な数字です。第4版では「おおむね300m」でした。 第5版で1,000mに改まっています。国土交通省が公開している「第4版からの変更履歴」を開くと、旧「300」に取消線が引かれ、新しく「1000」が入っているのが確認できます。

半径が3倍を超えるということは、面積では10倍以上になるということです。今まで「ここなら300m離れているから平気」と思っていた場所の多くが、いまは中に入っています。感覚のまま飛ばすと、そのまま違反になります。

対象施設は5つ。指定する役所がそれぞれ違う

対象施設 指定する者 中身
① 国の重要な施設等 — 国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等/
危機管理行政機関の庁舎/
対象政党事務所/
天皇又は内閣総理大臣の所在する施設であって、国内要人が出席する行事会場等
② 外国公館等 外務大臣 外国公館、国際機関の事務所等/外国要人が参加する国際会議の準備又は運営のために使用される会議場施設等
③ 防衛関係施設 防衛大臣 自衛隊施設/在日米軍施設
④ 空港 国土交通大臣 新千歳・成田国際・東京国際・中部国際・大阪国際・関西国際・福岡・那覇の8空港
⑤ 原子力事業所 国家公安委員会 —

指定する役所が施設ごとに違う、というのがこの表の読みどころです。空港は国土交通大臣、外国公館等は外務大臣、防衛関係施設は防衛大臣、原子力事業所は国家公安委員会。 どれも「その施設をいちばんよく知っている役所」が指定しています。

表の中で太字にした2つ——国内要人が出席する行事会場等と国際会議の会議場施設等——は、いずれも令和8年の改正で追加されたものです(警察庁の説明による)。防衛関係施設は令和元年の改正、空港は令和2年の改正で加わりました。この法律は、必要が生じるたびに対象を足してきた法律だということです。

そして教則は、こう付け加えています。

このほかにも、外国要人の来日等に伴い、一時的に対象施設が追加されることがある。

「一時的に」追加される。 つまり、昨日まで問題のなかった場所が、今日は禁止区域になっていることがあります。だから飛ばす前に見に行く必要があるのです。

対象空港の8つは、航空法の8つと同じ顔ぶれ

気づいた方もいるかもしれません。この法律の対象空港8つは、航空法で「進入表面等の下や敷地の上空まで飛行禁止」とされている8空港と、まったく同じ顔ぶれです。新千歳・成田・羽田・中部・関西・伊丹・福岡・那覇。

離着陸が特に多い空港が、2つの法律の両方で名指しされている——そう理解しておくと、両方まとめて覚えられます。

なお国土交通省によれば、この8空港の指定は令和8年7月3日に告示公示され、令和8年7月14日から適用されています。教則第5版の適用日と同じ日です。

例外は3つ。ただし空港と防衛関係施設のレッド・ゾーンは別扱い

例外 内容
(a) 対象施設の管理者又はその同意を得た者による飛行
(b) 土地の所有者等又はその同意を得た者が、当該土地の上空において行う飛行
(c) 国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行

ここに、読み落としやすい「ただし」が付きます。

対象防衛関係施設及び対象空港の敷地又は区域の上空(レッドゾーン)においては、上記(b)又は(c)であっても対象施設の管理者の同意が必要となる((a)の飛行のみ可)。

言い換えると、防衛関係施設と空港のレッド・ゾーンだけは、自分の土地であっても、公の仕事であっても、管理者の同意が要るということです。ほかの施設より一段厳しくなっています。

そしてもう一つ、例外に当たる場合でも、やることが残ります。

飛行禁止の例外にあたる場合であっても、対象施設及びその周囲おおむね1000m の周辺地域の上空で小型無人機等を飛行させる場合、都道府県公安委員会等へ通報しなければならない。

同意を得ることと、通報することは、別の手続きです。 国土交通省も「空港管理者の同意を得るとともに、都道府県公安委員会等への事前通報を行う必要があります」と書いています。同意=施設の側/通報=警察の側。この2本立てだと覚えてください。

罰則——ここも第5版で変わっている

行為 罰則
レッド・ゾーンで飛行を行った者/警察官等の命令に違反した者 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
イエロー・ゾーンで飛行を行った者 6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金

変更点が2つあります。

ひとつめ。「懲役」が「拘禁刑」に改まりました。 第4版からの変更履歴を見ると、レッド・ゾーンの罰則は「1年以下の拘禁刑懲役」と、新旧が重なって表示されています。旧「懲役」が消され、新「拘禁刑」に置き換わったということです。

ふたつめ。イエロー・ゾーンで飛ばしたこと自体に罰則が付きました。 6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。この一文は第4版には無く、第5版で新たに書き加えられた部分です。

この2つ目は、実務にとって大きな変化です。これまでイエロー・ゾーンは「警察官に退去を命じられ、その命令に従わなければ罰則」でした。いまは、飛ばした時点で罰則の対象です。 「注意されたらやめればいい」は、もう通用しません。

ここで、混同しやすい点を先に潰しておきます。拘禁刑に改まったのは、この小型無人機等飛行禁止法のほうです。航空法の罰則は、第5版でも「懲役」と書かれたままです。 前回の記事で見た航空法の罰則表と並べて確認しておいてください。どちらの法律の話かを、まず確かめる。 それだけで取り違えを防げます。

飛ぶ前に、どこで確認するか

この法律でいちばん困るのは、対象施設が地図に描かれていないと分からないことです。国会議事堂は分かるとして、危機管理行政機関の庁舎や対象政党事務所が近所にあるかどうかは、ふつう知りません。

確認先は2つあります。

  • 警察庁のホームページ……小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設の指定関係が公表されています。教則も「詳細については、警察庁ホームページなどを参照すること」と書いています
  • 国土地理院の「地理院地図」……対象施設が地図の上に重ねて表示されます(警察庁・国土交通省の双方が案内しています)

私は、飛ばす場所が決まった段階でこの2つと緊急用務空域の3点を見るようにしています。航空法の空域確認だけで済ませないでください。別の法律は、別の地図を見ないと分かりません。

この回の数字まとめ

  • 対象=大きさや重さにかかわらず(100グラム未満も含む)/気球・ハンググライダー・パラグライダー等も対象
  • レッド・ゾーン=施設の敷地・区域の上空/イエロー・ゾーン=周囲おおむね1,000m(第4版は300m)
  • 対象施設=5種類(国の重要な施設等/外国公館等=外務大臣/防衛関係施設=防衛大臣/空港=国土交通大臣/原子力事業所=国家公安委員会)
  • 対象空港=8つ(航空法で名指しされている8空港と同じ)
  • 例外=3つ。ただし防衛関係施設と空港のレッド・ゾーンは(a)のみ
  • 例外でも都道府県公安委員会等への通報が必要
  • 罰則=レッド・ゾーン1年以下の拘禁刑/イエロー・ゾーン6月以下の拘禁刑(いずれも又は50万円以下の罰金)
  • 航空法の許可・承認・技能証明があっても飛べない

おわりに

この節は分量こそ短いのですが、航空法の知識がそのままでは通じないという点で、いちばん引っかかりやすいところだと思っています。重さの基準が違う。許可が効かない。罰則の言葉も違う。「航空法ではこうだったから」という考え方をいったん外して読むのが、いちばんの近道です。

そして、令和8年7月14日に施行されたばかりの改正内容が入っています。300mではなく1,000m、懲役ではなく拘禁刑、そしてイエロー・ゾーンにも罰則。 古い教材で覚えた方は、ここだけは上書きしておいてください。

次回は「3.2 航空法以外の法令等(2)電波法・その他の法令等」。無線の免許、条例、そして飛行自粛要請空域の話に入ります。

出典

  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則 第4版からの変更履歴【参照用】」(300m→1,000m、懲役→拘禁刑、イエロー・ゾーンの罰則の新設を確認)
  • 警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」(令和8年法律第47号の施行、対象施設に追加された施設、地理院地図での確認)
  • 国土交通省「小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定」(8空港・令和8年7月3日告示公示、令和8年7月14日適用/同意と事前通報が別途必要であること)

本記事の内容は2026年8月時点のものです。制度は改正されることがありますので、最新の情報は必ず警察庁・国土交通省の公式サイトでご確認ください。

この章を、問題で確認する

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