教則第5版をやさしく読む06|3.1-2 航空法全般(2)航空機の運航ルール等【全文+講師の解説】

教則第5版をやさしく読む06|3.1-2 航空法全般(2)航空機の運航ルール等【全文+講師の解説】 ストック記事

「150メートル以上は飛ばせない」——これは覚えている方が多いところです。では、150メートルより下を、有人のヘリコプターが飛んでくることがあるのはご存じでしょうか。

教則の3.1には、無人航空機の規則だけでなく、有人の航空機がどう飛んでいるかが書かれています。ここは「相手を知る」ための回です。試験でも問われますが、それ以上に、現場で頭の上を見上げるときの判断が変わります。

教則第5版 3.1 航空法全般(2)航空機の運航ルール等(全文)

出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」(令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用)。読みやすさのためレイアウトを再構成し、原本で混在している英数字の全角・半角を半角にそろえています。本記事は国土交通省の公式なものではありません。

  • (3) 航空機の運航ルール等
  • 1) 無人航空機の操縦者が航空機の運航ルールを理解する必要性

無人航空機は、航空機と同様、空中を飛行する機器であることから、万一の場合には、航空機の航行の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある。

この観点から、①航空機の航行の安全は、人の生命や身体に直接かかわるものとして最大限優先すべきものであること、②航空機の速度や無人航空機の大きさから、航空機側から無人航空機の機体を視認し回避することが困難であること、③無人航空機は航空機と比較して一般的には機動性が高いと考えられることから、航空機と無人航空機間で飛行の進路が交差し、又は接近する場合には、航空機の航行の安全を確保するためにも、無人航空機側が回避することが妥当であり、航空機は、無人航空機に対して進路権を有するとされている。

無人航空機の操縦者は、(a)国が提供している「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)」などを通じて飛行情報を共有し、(b)飛行前に航行中の航空機を確認した場合には飛行させないなどして航空機と無人航空機の接近を事前に回避するとともに、(c)飛行中に航行中の航空機を確認した場合には無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じることが求められている。

我が国においても無人航空機と航空機の接近事案や無人航空機により空港が閉鎖される事案などが発生しており、ひとたび航空機に事故が発生した場合には甚大な被害が生じるおそれがあることから、航空機と同じ空を飛行させる無人航空機の操縦者も航空機の運航ルールを十分に理解することが極めて重要である。

  • 2) 計器飛行方式及び有視界飛行方式

航空機が飛行する方式には、「計器飛行方式(IFR:Instrumental Flight Rules)」と「有視界飛行方式(VFR:Visual Flight Rules)」との2つがある。

計器飛行方式(IFR)は、航空交通管制機関が与える指示等に常時従って行う飛行の方式である。高速で高高度を移動する旅客機は通常は計器飛行方式(IFR)で飛行する。その他の航空機も有視界飛行方式(VFR)ができない気象状態となった場合には計器飛行方式(IFR)で飛行する。

有視界飛行方式(VFR)は、計器飛行方式(IFR)以外の飛行の方式とされ、航空機の操縦者の判断に基づき飛行する方式である。小型機や回転翼航空機は有視界飛行方式(VFR)で飛行することが多い。空港及びその周辺においては、有視界飛行方式で飛行する航空機も航空交通管制機関が与える指示等に従う必要がある。

  • 3) 航空機の飛行高度

150メートル以下での航空機の飛行は離着陸に引き続く場合が多いが、捜索又は救助を任務としている公的機関(警察・消防・防衛・海上保安庁)等又はこれらの者の依頼により捜索又は救助を行う航空機や救急医療用ヘリコプター(いわゆるドクターヘリ)及び低空での飛行の許可を受けた航空機(物資輸送・送電線巡視・薬剤散布)等もしくは人又は家屋のない地域及び広い水面の上空では離着陸にかかわらず 150 メートル以下で飛行している場合がある。

無人航空機の操縦者は、航空機との接近及び衝突を避けるため、無人航空機の飛行経路及びその周辺の空域を注意深く監視し、飛行中に航空機を確認した場合には、無人航空機を地上に降下させるなどの適切な措置を取らなければならない。

  • 4) 航空機の操縦者による見張り義務

航空機の操縦者は、航空機の航行中は、飛行方式にかかわらず、視界の悪い気象状態にある場合を除き、他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをすることが義務付けられているが、航空機の飛行速度や無人航空機の大きさを考慮すると、航空機側から無人航空機の機体を視認し回避することは困難である。

無人航空機の操縦者は、これを理解したうえで、無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域を注意深く監視し、飛行中の航空機を確認した場合には、無人航空機を地上に降下させるなどの適切な措置を取らなければならない。

  • 5) 出発前の航空情報の確認

航空機の機長は、出発前に運航に必要な準備が整っていることを確認することが求められており、その一環として、国土交通大臣から提供される航空情報を確認することが義務付けられている。

  • 6) 航空機の空域の概要

無人航空機は、高度150メートル以上又は空港周辺の空域の飛行は原則禁止されているが、これは航空機が主に飛行する空域との分離を図ることにより、安全を確保するためである。このため、無人航空機がこれらの禁止空域を飛行する場合には、当該空域を管轄する航空交通管制機関と調整し支障の有無を確認したうえで飛行の許可を受ける必要があるが、そのうえで、無人航空機の操縦者は、次に掲げる航空機の空域の特徴や注意点を十分に理解して慎重に飛行し、航空交通管制機関等の指示等を遵守する必要がある。

  • a. 航空機の管制区域

国は、航空交通の安全及び秩序を確保するため、航空交通管制業務を実施する区域(管制区域)を設定している(管制区域以外の空域を非管制区域という)。

航空交通管制区は、地表又は水面から200メートル以上の高さの空域のうち国が指定した空域であり、この空域を計器飛行方式により飛行する航空機は航空交通管制機関と常時連絡を取り、飛行の方法等についての指示に従って飛行を行わなければならない。また、航空交通管制圏は、航空機の離着陸が頻繁に実施される空港等及びその周辺の空域であり、この空域を飛行する全ての航空機は航空交通管制機関と連絡を取り、飛行の方法や離着陸の順序等の指示に従って飛行を行わなければならない。

  • b. 空港の制限表面の概要

航空機が安全に離着陸するためには、空港周辺の一定の空間を障害物が無い状態にしておく必要があるため、航空法において、次のような制限表面を設定している。

ア) 全ての空港に設定するもの

  • 進入表面: 進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するために必要な表面
  • 水平表面: 空港周辺での旋回飛行等低空飛行の安全を確保するために必要な表面
  • 転移表面: 進入をやり直す場合等の側面方向への飛行の安全を確保するために必要な表面

イ) 東京・成田・中部・関西国際空港及び政令空港において指定することができるもの

東京(羽田)・成田・中部・関西国際空港及び政令空港(釧路・函館・仙台・大阪国際・松山・福岡・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・那覇の各空港)においては、航空機が頻繁に離着陸することから、上記ア)の制限表面に加え、次の制限表面も設定されている。

  • 円錐表面:大型化及び高速化により旋回半径が増大した航空機の空港周辺での旋回飛行等の安全を確保するために必要な表面
  • 延長進入表面:精密進入方式による航空機の最終直線進入の安全を確保するために必要な表面
  • 外側水平表面:航空機が最終直線進入を行うまでの経路の安全を確保するために必要な表面
  • 7) 模型航空機に対する規制

重量100グラム未満のものを含む模型航空機についても、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為は航空法により規制されている。

  • ① 航空交通管制圏、航空交通情報圏、航空交通管制区内の特別管制空域等における模型航空機の飛行は禁止されている。また、国土交通省が災害等の発生時に後述の緊急用務空域を設定した場合には、当該空域における飛行も禁止される。
  • ② ①の空域以外のうち、空港等の周辺、航空路内の空域(高度150メートル以上)、高度250メートル以上の空域において、模型航空機を飛行させる場合には、国土交通省への事前の届出が必要となる。

ここからは私の解説です

なぜ無人航空機側が避けるのか、理由が3つ書いてある

「航空機が優先、無人航空機が避ける」は結論だけなら簡単です。教則は、その理由を3つ挙げています。ここまで読んでおくと、応用が利きます。

  1. 航空機の航行の安全は、人の生命や身体に直接かかわるものとして最大限優先すべきもの
  2. 航空機の速度や無人航空機の大きさから、航空機側から無人航空機を視認し回避することが困難
  3. 無人航空機は航空機と比較して一般的には機動性が高い

そのうえで、航空機は、無人航空機に対して進路権を有するとされています。この「進路権」という言葉は、そのまま覚えてください。

操縦者に求められることも3つに整理されています。

  • (a) ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)などを通じて飛行情報を共有する
  • (b) 飛行前に航行中の航空機を確認した場合には飛行させない
  • (c) 飛行中に航行中の航空機を確認した場合には地上に降下させるなど適当な方法を講じる

飛行前なら「飛ばさない」、飛行中なら「降ろす」。 この2つは対で覚えると混ざりません。

150メートル以下にも航空機は飛んでくる

ここが実務でいちばん大事な部分だと、私は思っています。教則はこう書いています。

150メートル以下での航空機の飛行は離着陸に引き続く場合が多いが、捜索又は救助を任務としている公的機関(警察・消防・防衛・海上保安庁)等……や救急医療用ヘリコプター(いわゆるドクターヘリ)及び低空での飛行の許可を受けた航空機(物資輸送・送電線巡視・薬剤散布)等もしくは人又は家屋のない地域及び広い水面の上空では離着陸にかかわらず150メートル以下で飛行している場合がある。

つまり、自分が150メートル未満で飛ばしていても、そこは「航空機が来ない空」ではありません。

低空を飛ぶ可能性がある航空機を、教則の記述から並べておきます。

  • 捜索・救助を任務とする公的機関(警察・消防・防衛・海上保安庁)等、またはその依頼を受けた航空機
  • ドクターヘリ(救急医療用ヘリコプター)
  • 低空飛行の許可を受けた航空機(物資輸送・送電線巡視・薬剤散布)
  • 人又は家屋のない地域、広い水面の上空を飛ぶ航空機

河川敷、山間部、海の上——無人航空機を飛ばしやすい場所ほど、この最後の項目に当たります。「まわりに誰もいないから安全」は、空については成り立ちません。

航空機の操縦者も見張っている。でも見えない

教則は、航空機の操縦者にも見張りの義務があることを書いたうえで、こう続けます。

航空機の飛行速度や無人航空機の大きさを考慮すると、航空機側から無人航空機の機体を視認し回避することは困難である。

向こうも見ている。それでも見えない。 だからこちらが避けるしかない——という筋道です。「航空機が避けてくれるはず」という選択肢が誤りである理由が、ここにあります。

なお、この見張り義務は飛行方式にかかわらず課されますが、視界の悪い気象状態にある場合は除かれます。細かいところですが、教則の書きぶりどおりに押さえておいてください。

IFRとVFR

航空機の飛び方は2つです。

方式 内容と、主に使う航空機
計器飛行方式(IFR) 航空交通管制機関が与える指示等に常時従って行う飛行。
高速・高高度を移動する旅客機は通常これ。
ほかの航空機も、VFRができない気象状態になればこちらに移る
有視界飛行方式(VFR) IFR以外の方式で、操縦者の判断に基づいて飛行する。小型機や回転翼航空機はこちらが多い

ひとつ注意点があります。VFRであっても、空港及びその周辺では航空交通管制機関の指示等に従う必要があります。「VFRは自由に飛べる」ではありません。

管制区と管制圏は、区切り方が違う

名前が似ていて混ざりやすいところです。片方は高さ、片方は場所で区切られている、と覚えてください。

  • 航空交通管制区……地表又は水面から200メートル以上の高さの空域のうち、国が指定した空域。ここを計器飛行方式で飛ぶ航空機は管制機関と常時連絡を取る
  • 航空交通管制圏……航空機の離着陸が頻繁に実施される空港等及びその周辺の空域。ここを飛ぶ全ての航空機が管制機関と連絡を取る

数字にも注意してください。無人航空機の規制は150メートルですが、航空交通管制区は200メートルです。この2つは別物です。取り違えやすいので、数字とセットで覚えてください。

制限表面は「全空港に3つ」+「主要空港に3つ」

数で覚えると迷いません。

全ての空港に設定される3つ

  • 進入表面……進入の最終段階及び離陸時の安全
  • 水平表面……空港周辺での旋回飛行等、低空飛行の安全
  • 転移表面……進入をやり直す場合等、側面方向への飛行の安全

東京(羽田)・成田・中部・関西国際空港および政令空港で、さらに指定できる3つ

  • 円錐表面……大型化・高速化で旋回半径が増大した航空機の旋回飛行等の安全
  • 延長進入表面……精密進入方式による最終直線進入の安全
  • 外側水平表面……最終直線進入を行うまでの経路の安全

政令空港として教則が挙げているのは、釧路・函館・仙台・大阪国際・松山・福岡・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・那覇の各空港です。「3つは全空港、あとの3つは主要空港だけ」という枠組みを押さえておけば、どちらに入るかで迷ったときも絞り込めます。

模型航空機にも規制がある

100グラム未満で無人航空機に当たらなくても、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為は航空法で規制されます。

  • 飛行禁止……航空交通管制圏、航空交通情報圏、航空交通管制区内の特別管制空域等。緊急用務空域が設定された場合もその空域は禁止
  • 事前の届出が必要……上記以外のうち、空港等の周辺、航空路内の空域(高度150メートル以上)、高度250メートル以上の空域

ここでも数字が2つ出てきます。模型航空機の届出は「150メートル以上(航空路内)」と「250メートル以上」。 250メートルという数字は、模型航空機のここにしか出てきません。

この回の数字まとめ

  • 航空交通管制区=200メートル以上(無人航空機の規制の150メートルとは別)
  • 模型航空機の事前届出=航空路内の150メートル以上、および250メートル以上
  • 制限表面=全空港に3つ(進入・水平・転移)+主要空港に3つ(円錐・延長進入・外側水平)

おわりに

この回でいちばん持ち帰っていただきたいのは、数字ではありません。150メートル以下にも、救助やドクターヘリ、送電線の巡視といった航空機が飛んでいるという事実です。

周囲に人がいない場所で飛ばすときほど、上を見てください。教則が「飛行経路及びその周辺の空域を注意深く監視し」と繰り返しているのは、そのためです。

次回は「3.1 航空法全般(3)無人航空機の登録」です。ここから各論に入ります。

出典

  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用

本記事の内容は2026年8月時点のものです。制度は改正されることがありますので、最新の情報は必ず国土交通省の公式サイトでご確認ください。

この章を、問題で確認する

ここは学科試験では「無人航空機に関する規則」の分野にあたります。読んだ直後に解くと、取り違えていた箇所がその場で分かります。

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