教則の第3章に入ります。ここからが本番です。
3.1「航空法全般」は、教則全体の3分の1にあたる26,000字以上があります。ここで挫折してしまう方を、私は毎年たくさん見てきました。理由ははっきりしていて、細かい規則から読み始めてしまうからです。
そこでこの連載では、3.1を6回に分けます。1回目の今回は「地図」にあたる部分——何が無人航空機で、何が特定飛行で、飛び方はどう分類されるのか——を押さえます。ここさえ通れば、残りは細部の確認になります。
教則第5版 3.1 航空法全般(1)無人航空機の定義と規制の概要(全文)
出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」(令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用)。読みやすさのためレイアウトを再構成し、原本で混在している英数字の全角・半角を半角にそろえています。本記事は国土交通省の公式なものではありません。
航空法に関する一般知識
- (1) 航空法における無人航空機の定義
航空法において、「無人航空機」とは、
- ① 航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、
- ② 遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるものであり、
- ③ 重量が 100 グラム以上のもの
を対象としている。①の「構造上人が乗ることができないもの」とは、単に人が乗ることができる座席の有無を意味するものではなく、当該機器の概括的な大きさや潜在的な能力を含めた構造、性能等により判断される。一方で、「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船を対象としているため、人が乗り組まないで操縦できる機器であっても、航空機を改造したものなど、航空機に近い構造、性能等を有している場合には、無人航空機ではなく、航空機に分類される。このように操縦者が乗り組まないで飛行することができる装置を有する航空機を「無操縦者航空機」という。飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船のいずれにも該当しない気球やロケットなどは航空機や無人航空機には該当しない。
②は「遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」としているため、例えば、紙飛行機など遠隔操作又は自動操縦により制御できないものは、無人航空機には該当しない。
③の「重量」とは、無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まない。なお、100グラム未満のものは、無人航空機ではなく、「模型航空機」に分類される。重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成 28 年法律第9号。以下「小型無人機等飛行禁止法」という。)において規制対象となる「小型無人機」については大きさや重さにかかわらず対象となり、100グラム未満のものも含まれる。
- (2) 無人航空機の飛行に関する規制概要
- 1) 無人航空機の登録
全ての無人航空機(重量が100グラム未満のものは除く。)は、国の登録を受けたものでなければ、原則として航空の用に供することができない。登録の有効期間は3年である。また、無人航空機を識別するための登録記号を表示し、一部の例外を除きリモート ID 機能を備えなければならない。
- 2) 規制対象となる飛行の空域及び方法(特定飛行)
航空法において、無人航空機の飛行に当たって確保すべき安全は、
- ⚫ 航空機の航行の安全
- ⚫ 地上又は水上の人又は物件の安全
であり、これらに危害を及ぼすおそれがあるものとして、次に掲げる飛行の空域と方法を規制している。
- a. 規制対象となる飛行の空域
<航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域>
- (A) 空港等の周辺の上空の空域
- (B) 消防、救助、警察業務その他の緊急用務を行うための航空機の飛行の安全を確保する必要がある空域(緊急用務空域)
- (C) 地表又は水面から150メートル以上の高さの空域
<人又は家屋の密集している地域の上空>
- (D) 国勢調査の結果を受け設定されている人口集中地区の上空(工業専用地域内の区域の上空を除く。)
- b. 規制対象となる飛行の方法
- ① 夜間飛行(日没後から日出まで)
- ② 操縦者の目視外での飛行(目視外飛行)
- ③ 第三者又は第三者の物件との間の距離が 30 メートル未満での飛行
- ④ 祭礼、縁日、展示会など多数の者の集合する催しが行われている場所の上空での飛行
- ⑤ 爆発物など危険物の輸送
- ⑥ 無人航空機からの物件の投下
上記 a に掲げる空域における飛行又は上記 b に掲げる方法による飛行のいずれかに該当する飛行を「特定飛行」といい、航空機の航行の安全への影響や地上及び水上の人及び物件への危害を及ぼすおそれがあることから原則として禁止されている。
- 3) 無人航空機の飛行形態の分類(カテゴリーⅠ~Ⅲ)
飛行の禁止空域及び飛行の方法に関する無人航空機の飛行形態については、そのリスクに応じて次に掲げるとおりに分類される。
- a. カテゴリーⅠ飛行(レベル1(目視内での操縦飛行)、レベル2(目視内での自動・自律飛行))
特定飛行に該当しない飛行を「カテゴリーⅠ飛行」という。この場合には、航空法上は特段の手続きは不要で飛行可能である。
- b. カテゴリーⅡ飛行(レベル3(無人地帯での目視外飛行))
特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者(以下「第三者」という。)の立入りを管理する措置(以下「立入管理措置」という。)を講じたうえで行うものを「カテゴリーⅡ飛行」という。
カテゴリーⅡ飛行のうち、特に、空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送及び物件投下並びに最大離陸重量25kg以上の無人航空機の飛行は、リスクの高いものとして、「カテゴリーⅡA飛行」といい、その他のカテゴリーⅡ飛行を「カテゴリーⅡB飛行」という。
- c. カテゴリーⅢ飛行(レベル4(有人地帯での目視外飛行))
特定飛行のうち立入管理措置を講じないで行うもの、すなわち第三者上空における特定飛行を「カテゴリーⅢ飛行」といい、最もリスクの高い飛行となることから、その安全を確保するために最も厳格な手続き等が必要となる。
なお、上記のカテゴリーによる分類とレベルによる分類は厳密には一致しない場合があるため注意が必要である。また、b.カテゴリーⅡ飛行(レベル3(無人地帯での目視外飛行))には、レベル 3.5 が含まれるが、これについては 3.1.2(2)4)c.レベル 3.5 飛行で解説する。
- 4) 機体認証及び無人航空機操縦者技能証明
特定飛行については、航空機の航行の安全への影響や地上及び水上の人及び物件への危害を及ぼすおそれがあることから、①使用する機体、②操縦する者の技能及び③運航管理の方法の適格性を担保し、飛行の安全を確保する必要がある。
このうち、①使用する機体及び②操縦する者の技能について、国があらかじめ基準に適合していることを確認したことを証明する「機体認証」及び「技能証明」に関する制度が設けられている。
機体認証及び技能証明については、無人航空機の飛行形態のリスクに応じ、カテゴリーⅢ飛行に対応した第一種機体認証及び一等無人航空機操縦士、カテゴリーⅡ飛行に対応した第二種機体認証及び二等無人航空機操縦士に区分されている。
機体認証のための検査は、国又は国が登録した民間の検査機関(以下「登録検査機関」という。)が実施し、機体認証の有効期間は、第一種は1年、第二種は3年である。
技能証明のための試験は、国が指定した民間の試験機関(以下「指定試験機関」という。)が実施し、技能証明の有効期間は、一等及び二等ともに3年である。
- 5) 特定飛行を行う場合の航空法上の手続き等
特定飛行の安全を確保するためには、無人航空機の飛行形態のリスクに応じて、①使用する機体、②操縦する者の技能及び③運航管理の方法の適格性を担保する必要があることから、飛行形態の分類に対応して次に掲げるとおりとなる。
- a. カテゴリーⅡ飛行
カテゴリーⅡB 飛行に関しては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合には、特段の手続き等なく飛行可能である。この場合、国土交通省令で定める飛行の安全を確保するための措置(以下「安全確保措置」という。)として飛行マニュアルを作成し遵守しなければならない。
カテゴリーⅡA 飛行に関しては、カテゴリーⅡB 飛行に比べてリスクが高いことから、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合であっても、あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。
なお、カテゴリーⅡA 飛行及びカテゴリーⅡB飛行はともに、機体認証及び技能証明の両方又はいずれかを有していない場合であっても、あらかじめ①使用する機体、②操縦する者の技能及び③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることによっても可能となる。
- b. カテゴリーⅢ飛行
カテゴリーⅢ飛行に関しては、最もリスクの高い飛行となることから、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させることが求められることに加え、あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。
ここからは私の解説です
この回でやることは「地図を持つ」こと
3.1は教則でいちばん量の多い節で、26,000字以上あります。いきなり読み進めると必ず迷子になります。
そこで、この回で扱う前半部分を「地図」として先に押さえてください。ここには、あとの細かい規則がすべてぶら下がります。骨組みは4つです。
- 何が「無人航空機」か(100グラム以上・遠隔操作または自動操縦・人が乗れない)
- 何が「特定飛行」か(禁止される4つの空域と6つの方法)
- 特定飛行はリスクで3つに分かれる(カテゴリーⅠ・Ⅱ・Ⅲ)
- カテゴリーごとに必要な手続きが違う
この4つが頭に入れば、3.1の残りは「その詳細」でしかありません。
100グラムの数え方に、ひとつ罠があります
重量100グラム以上が無人航空機、100グラム未満は模型航空機。ここまではよく知られています。問題は何を足して100グラムかです。
③の「重量」とは、無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まない。
本体+バッテリー。 プロペラガードやカメラのような、バッテリー以外の取り外せる付属品は数えません。「装備をすべて付けた状態の重さ」ではないところが、引っかけになりやすい部分です。
もうひとつ、100グラム未満なら何をしてもよい、ではありません。 教則はすぐ後ろでこう補足しています。
小型無人機等飛行禁止法において規制対象となる「小型無人機」については大きさや重さにかかわらず対象となり、100グラム未満のものも含まれる。
航空法は100グラムで線を引くが、小型無人機等飛行禁止法は線を引かない。 法律が違えば線の引き方も違う——ここは第3章を通じて何度も出てくる考え方です。
「紙飛行機は無人航空機ではない」の意味
教則はわざわざ紙飛行機を例に出しています。遠隔操作も自動操縦もできないからです。逆に言えば、飛ぶかどうかではなく、制御できるかどうかで線が引かれています。
気球やロケットも、飛行機・回転翼航空機・滑空機・飛行船のいずれにも当たらないので、航空機にも無人航空機にも該当しません。
特定飛行は「空域4つ・方法6つ」
ここは丸ごと覚えるところです。数で押さえてください。
空域は4つ。 前の3つは航空機の安全のため、最後の1つは地上の人の安全のためです。
- (A)空港等の周辺の上空の空域
- (B)緊急用務空域
- (C)地表又は水面から150メートル以上の高さの空域
- (D)人口集中地区の上空(工業専用地域内の区域の上空を除く)
方法は6つ。 ①②は見えにくさ、③④は人との近さ、⑤⑥は落ちたときの被害が理由です。
- ①夜間飛行(日没後から日出まで)
- ②目視外飛行
- ③第三者又は第三者の物件との距離が30メートル未満
- ④催し場所の上空
- ⑤危険物の輸送
- ⑥物件の投下
この4+6のどれかに当たれば「特定飛行」で、原則として禁止されます。逆に、どれにも当たらなければ航空法上の手続きは要りません。
なお(D)の「工業専用地域内の区域の上空を除く」は教則第5版で加わった部分です。第4版で勉強された方は上書きしてください。ただし、不要になるのは人口集中地区を理由とする許可だけで、そこで夜間飛行や目視外飛行をするなら別途手続きが必要です。
カテゴリーⅠ・Ⅱ・Ⅲは「立入管理措置」で分かれる
ここが3.1前半の山場です。分け方はとてもきれいです。
- カテゴリーⅠ……そもそも特定飛行ではない。航空法上は特段の手続きが不要
- カテゴリーⅡ……特定飛行だが、立入管理措置を講じて行う
- カテゴリーⅢ……特定飛行を、立入管理措置を講じないで行う(=第三者の上空)
つまりⅡとⅢを分けているのは、立入管理措置があるかどうか、ただ一点です。「高く飛ぶからⅢ」「遠くまで飛ばすからⅢ」ではありません。
そのカテゴリーⅡが、さらにⅡAとⅡBに分かれます。ⅡAはリスクが高い6つです。
- 空港周辺
- 高度150m以上
- 催し場所上空
- 危険物輸送
- 物件投下
- 最大離陸重量25kg以上
ここに人口集中地区(DID)は入りません。 DID上空はⅡBです。よく取り違えられるところなので、「ⅡAの6つ」をそのまま覚えて、それ以外はⅡBと考えるのが確実です。
もうひとつ、教則自身がこう釘を刺しています。
上記のカテゴリーによる分類とレベルによる分類は厳密には一致しない場合があるため注意が必要である。
カテゴリーⅠ=レベル1・2、カテゴリーⅡ=レベル3、カテゴリーⅢ=レベル4、と対応してはいますが、「厳密には一致しない場合がある」と書かれている点まで含めて覚えてください。
手続きが要るか要らないかは、この一文で決まる
実務でいちばん効くのはここです。
カテゴリーⅡB飛行に関しては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合には、特段の手続き等なく飛行可能である。
技能証明と機体認証の両方がそろって、はじめて許可・承認が不要になります。 片方だけでは足りません。そしてこの場合も、安全確保措置として飛行マニュアルを作成し遵守する義務は残ります。「何もしなくてよい」ではないことに注意してください。
ⅡAは、両方そろっていても運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、許可・承認が必要です。Ⅲはさらに厳しく、一等の技能証明+第一種機体認証+許可・承認が求められます。
整理すると、こうなります。
| 飛行の種類 | 技能証明・機体認証がそろっている場合 |
|---|---|
| カテゴリーⅠ | 航空法上は特段の手続きが不要 |
| カテゴリーⅡB | 特段の手続きなく飛行可能(飛行マニュアルの作成・遵守は必要) |
| カテゴリーⅡA | 運航管理の方法の審査を受け、許可・承認が必要 |
| カテゴリーⅢ | 一等+第一種機体認証に加え、許可・承認が必要 |
覚える数字はここだけ
- 無人航空機=100グラム以上(本体+バッテリー)
- 登録の有効期間=3年
- 機体認証の有効期間=第一種1年・第二種3年
- 技能証明の有効期間=一等・二等とも3年
- 規制対象の高さ=150メートル以上/第三者との距離=30メートル未満
- カテゴリーⅡAの重量=最大離陸重量25kg以上
「第一種だけが1年」——ここだけ覚えれば、有効期間の3つは迷いません。あとは全部3年です。
おわりに
この回の内容は、3.1の残り5回すべての土台になります。特定飛行の4+6と、カテゴリーの分かれ目(立入管理措置)だけは、先に頭へ入れておいてください。 細かい手続きの話は、そのあとで読むほうが早く入ります。
次回は「3.1 航空法全般(2)航空機の運航ルール等」です。有人の航空機がどう飛んでいるかを知る回になります。
出典
- 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
- 重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号)
本記事の内容は2026年8月時点のものです。制度は改正されることがありますので、最新の情報は必ず国土交通省の公式サイトでご確認ください。
この章を、問題で確認する
ここは学科試験では「無人航空機に関する規則」の分野にあたります。読んだ直後に解くと、取り違えていた箇所がその場で分かります。
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登録講習機関講師 フライトデスク 監修



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