教則第5版をやさしく読む16|4.4 機体の構成【全文+講師の解説】

教則第5版をやさしく読む16|4.4 機体の構成【全文+講師の解説】 ストック記事

今回は機体を開けて中を見る回です。フライトコントローラー、各種センサ、バッテリー、モーター、ESC、送信機——ドローンを構成している部品が、名前と役割つきで一気に出てきます。

ここは用語が多いので、身構えてしまう方が多いところです。ですが、じつはここで覚える部品の名前は、そのまま飛行日誌の「日常点検記録」の項目になっています。試験のためだけの知識ではなく、飛ばす前に毎回チェックする場所そのものです。今回はその対応も表にしてみました。バッテリーの4つの単位も、実際の機体の数字で計算してみます。

教則第5版 4.4 機体の構成(全文)

出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」(令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用)。読みやすさのためレイアウトを再構成し、原本で混在している英数字の全角・半角を半角にそろえています。本記事は国土交通省の公式なものではありません。

フライトコントロールシステム

  • (1) フライトコントロールシステムの基礎

フライトコントロールシステムは、搭載されている各種センサ(GNSS、ジャイロ、加速度、方位、高度等)からの情報や送信機から発信された情報を処理し機体を制御するための信号を送るシステムである。なお、センサ類は、キャリブレーションを必要とするものが多いため、各機体で指定された方法で、キャリブレーションが正しく行われているかを常に注意する必要がある。フライトコントロールシステムを構成する一般的なデバイスには以下のものがある。

種類 機能・特徴
GNSS (Global Navigation Satellite System) 人工衛星の電波を受信し、機体の地球上での位置・高度を取得するデバイス。(GPS(Global Positioning System)等)
ジャイロセンサ 回転角速度を測定するデバイス。
加速度センサ 加速度を測定するデバイス。
IMU (Inertial Measurement Unit) 3 軸のジャイロセンサと3方向の加速度センサ等によって3次元の角速度と加速度を検出する装置。
また、メーカーによっては気圧センサを含む場合もある。
地磁気センサ 機体が向いている方向を地磁気を用いて取得するデバイス。
高度センサ レーザーや気圧センサなどを用い地上からの高度を取得するデバイス。
メインコントローラー GNSS などの各種センサの情報と送信機の指令をもとに、機体の姿勢を制御するデバイス。
送信機 操作の指令を機体へ送信する、又は機体情報を受信するデバイス。
レシーバー 送信機の情報を受け取る受信機又は送受信機。
  • (2) 無人航空機の飛行に用いられる各種センサの原理及び使用環境
  • 1) ジャイロセンサ

ジャイロセンサは、単位時間当たりの回転角度の変化を検出する装置であり、これにより、風などで機体が傾いたときに、無人航空機の傾きや向きの変化を検出し、フライトコントロールシステムに情報を伝える。

  • 2) 加速度センサ

加速度センサは3次元の慣性運動(直行3軸方向の並進運動)を検出する装置であり、無人航空機の速度の変化量を検出するセンサである。ジャイロセンサと合わせて機体の姿勢を制御する。

  • 3) 地磁気センサ

地磁気センサは、地球の磁力を検出して方位を測定する。

  • 4) 高度センサ

高度の計測には主に以下のセンサがある。気圧センサは、気圧の変化を歪みゲージを利用して読み取り、高度を計測する。超音波センサは音波の反射時間から高度を計測する。LiDAR はレーザー光(赤外線)を照射し反射時間から高度を計測する。

無人航空機の主たる構成要素

  • (1) バッテリー

バッテリーに関係する用語、単位、求め方及びその概要は以下のとおりである。

用語 単位 / 求め方 概要
電圧 V / セル当たりの電圧(V)×セル数
※電圧降下は抵抗(Ω)×電流(A)
⚫ 電圧は、セル当たりの電圧(リチウムポリマーバッテリーなら 3.7V)とセル数で決まる。
また、電池残量(現時点で放電できる電気量)が減ると電池の電圧は下がる。
⚫ 放電(飛行)中の電圧降下は、バッテリーの内部抵抗によって決まる。
出力 W / 放電時電圧(V)×電流(A) ⚫ 単位時間当たりのエネルギー量を表す。
⚫ 出力を一定に維持しようとする場合、電池残量が少なくなると、放電時電圧が低下するため、必要となる電流は増大する。
容量 Ah / 電流(A)×時間(h) ⚫ 満充電から、電圧が決められた最低電圧(終止電圧)になるまでの間に、利用できる電気量。
⚫ 放電時の電流の大きさや温度によって、利用可能な容量は変化する。
エネルギー容量 Wh / 放電時電圧(V)×電流(A)×時間(h) ⚫ 容量と同様に、電流や温度によってエネルギー容量は変化する。
充電率 % / 現時点で放電できる電気量(Ah) / 満充電時に放電できる電気量(Ah) ⚫ 満充電で放電できる電気量と現時点で放電できる電気量の比率を表す。
⚫ 0%は仕様上の完全放電状態を、100%は満充電状態を表す。
  • (2) モーター、ローター(プロペラ)

電動の無人航空機においてローターを駆動するモーターには、ブラシモーターとブラシレスモーターがあり、ブラシレスモーターの特徴は、メンテナンスが容易(モーター内部の清掃、ブラシの交換が不要等)、静音、長寿命であることが挙げられる。また、ローターは通常回転方向(時計回転(CW:クロックワイズ)/反時計回転(CCW:カウンタークロックワイズ))に合わせた形状となっており、モーターの回転方向に合わせて取り付けるよう注意が必要である。

  • (3) ESC(エレクトロニックスピードコントローラー)

モーターの回転数は ESC(エレクトロニックスピードコントローラー)により制御されており、モーターで駆動されたローターの回転数を増減させることにより揚力や推力を変化させている。

送信機

  • (1) 送信機から無人航空機へ送信される指令の流れ

無人航空機への指令は送信機から機体へ送られる。機体では、受信機が指令を受け取りメインコントローラーからモーター又はサーボを駆動させ機体を操縦している。

  • (2) 送信機の信号〔一等〕

送信機の信号は、同じ周波数帯の電波が同時かつ複数使用されているような場所では複数の電波が干渉して混信による誤作動が起きる可能性がある。電波混信の予防として飛行させる前に測定器などで周辺の電波の状態を確認することが望ましい。無人航空機で使用される送信機からの電波だけでなく、無線LANやWi‐Fi、高圧送電線の影響を受ける場合もあるため、周辺環境の確認が必要である。

  • (3) 送信機の操縦と機能

無人航空機は、送信機のスティックを操作して、機体の重心を中心とする 3 軸の回転(ピッチ(機体の左右を軸とした回転)、ロール(機体の前後を軸とした回転)、ヨー(機体の上下を軸とした回転))やローターの推力の増減といった機体の動きの制御を行う。以下のとおりスティック操作による機体の動きの割り当てはモードにより異なる。また、スティックのニュートラル位置を調整するためのトリムスイッチがある場合もある。

  • ① 回転翼航空機の場合
  • (a) スロットル: ローターの推力(揚力)の増減(機体の上昇・降下)
    (モード1)右側スティックの上下操作 (モード 2)左側スティックの上下操作
  • (b) エレベーター: ピッチ方向の操作 (機体の前後移動)
    (モード1)左側スティックの上下操作 (モード2)右側スティックの上下操作
  • (c) エルロン: ロール方向の操作 (機体の左右移動)
    (モード 1/モード2)右側スティックの左右操作
  • (d) ラダー: ヨー方向の操作(機首の左右旋回)
    (モード1/モード2)左側スティックの左右操作
  • ② 飛行機の場合
  • (a) スロットル: プロペラの推力の増減(機体の速度変化)
    (モード1)右側スティックの上下操作 (モード 2)左側スティックの上下操作
  • (b) エレベーター: ピッチ方向の操作 (機体の上昇・降下)
    (モード1)左側スティックの上下操作 (モード2)右側スティックの上下操作
  • (c) エルロン: ロール方向の操作(機体の左右旋回)
    (モード 1/モード2)右側スティックの左右操作
  • (d) ラダー: ヨー方向の操作(機体の左右旋回)
    (モード1/モード2)左側スティックの左右操作

機体の動力源

  • (1) 機体の動力源

無人航空機の機体の動力源として主に、電動かエンジンが使用されている。電動機のメリットは、振動、騒音が少ないため軽量化できるが、飛行時間が短いというデメリットがある。エンジン機のメリットは、飛行時間が長く長距離飛行が可能であるが、エンジンによる騒音が電動に比べ大きいというデメリットある。

  • (2) バッテリーの種類と特徴
  • 1) リチウムポリマーバッテリーの特徴

リチウムポリマーバッテリーはゲル状のポリマー電解質を採用したバッテリーであり、多くの無人航空機に使用されている。

リチウムポリマーバッテリーには、エネルギー密度が高い、電圧が高い、自己放電が少ない、メモリ効果(継ぎ足し充電などで浅い充放電を行った場合に見かけの放電容量が減少する現象)が小さい、電解質が可燃物である等の特徴がある。

満充電のリチウムポリマーバッテリーを使用し無人航空機を急上昇させた場合、直後にバッテリー残量が減った様に見えることがある。これはバッテリーから大きな電流が流れたことで一時的な電圧低下が生じたことによるものである。

  • 2) リチウムポリマーバッテリーの取り扱い上の注意点

リチウムポリマーバッテリーの取り扱い上の注意点として以下のものが挙げられる。

  • ⚫ 充電器は満充電になると充電を停止するが、過充電となる場合がある。
  • ⚫ 過放電や過充電を行うと、急速に劣化が進み、寿命が短くなる。
  • ⚫ 過放電や過充電の状態では、通常利用時よりも多くのガスがバッテリー内部に発生し、バッテリーを膨らませる原因となる。
  • ⚫ バッテリーが強い衝撃を受けた場合、発火する可能性がある。
  • ⚫ バッテリーが短絡した場合、発火する可能性がある。
  • 3) 複数のセルで構成されたリチウムポリマーバッテリーの取扱上の注意

セル間の充電量のバランスを補正しながら充電することが重要である。バランスが著しく崩れたまま充電を行うとセル間の電圧差が生じ、セルによって過放電となる現象が起こり、急速に劣化が進む。そのため、セル間の充電量のバランスをとるバランスコネクタがついているタイプは、充電時にそのコネクタを充電器へ接続することが重要である。

  • (3) エンジン

エンジン機は、エンジンの回転を動力にローター又はプロペラを回転させ揚力と推力を得ている。エンジンにはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ジェットエンジン、グローエンジンなどの種類がある。エンジンの種類により、潤滑方式、燃焼サイクル、着火温度等が異なる。燃料にも種類があり、それぞれのエンジンでメーカーが指定する燃料を適切に扱う必要がある。燃料にオイル等を混ぜた混合燃料を使用する場合は、指定された混合比での使用が必要である。

物件投下のために装備される機器

無人航空機で物件投下する機器は、救命機器等を機体から投下する装置や農薬散布のために液体や粒剤を散布する装置などがある。物件投下装置は、意図せず物件が落下しない構造となっているが、搭載方法や投下手順が定められているため、物件投下装置の特性と機能を熟知しなければならない。特に、物件投下用のウインチ機構で吊り下げる場合は、物件の揺れ、投下前後の重心の変化に注意しなければならない。

農薬を散布する装置は、決められた飛行速度、飛行高度など使用の詳細が定められている。風などの影響で農薬を対象区域外に飛散させないよう注意しなければならない。

機体又はバッテリーの故障及び事故の分析

  • (1) 機体の故障や事故の分析〔一等〕

無人航空機の多くは、機体の異常情報を機体本体または送信機のランプや音などで知らせる機能を有している。また、飛行軌跡や機体の情報(フライトデータ)を記録している機種もあり、事故の原因分析を詳細に確認することも可能である。事故や故障の原因調査は、機体や飛行の安全性を向上させる重要な要素であるので、フライトデータを記録することが推奨される。

  • (2) リチウムポリマーバッテリーに関わる電気的なトラブル

リチウムポリマーバッテリーに関わる主な電気的トラブルを以下に示す。

  • ⚫ 冬季の飛行では飛行時間が半減することがある。気温が低下すると放電能力が極端に低下するためである。
  • ⚫ リチウムポリマーバッテリーは高密度なエネルギーを大容量で出力できるが、バッテリー残量が減り、電圧低下してくると急激に出力が弱くなり、墜落の原因となるので注意する。

ここからは私の解説です

この節がいちばん言いたいこと

ひとことで言うと、「機体は、役割の違う部品が分担して飛ばしている」ということです。

位置を知る係、傾きを知る係、向きを知る係。指令を受け取る係、モーターを回す係、電気を配る係。そのどれか1つでも欠けると飛べません。教則がこの節で部品をずらりと並べているのは、点検するときに「どこを見ればいいか」が分かるようにするためだと私は思っています。

この節の〔一等〕は2か所だけです

分量が多い節なので、まず範囲を確認しておきます。〔一等〕が付いているのは「(2)送信機の信号」と「(1)機体の故障や事故の分析」の2か所です。

ここで大事なのは、「(2)リチウムポリマーバッテリーに関わる電気的なトラブル」には〔一等〕が付いていないということです。つまり二等の範囲。冬季に飛行時間が半減する話も、電圧が下がると急に出力が落ちる話も、二等の方が読んでおくべきところです。

なお、この項目に〔一等〕が付いていたのは第3版までで、令和7年2月1日の第4版で外れました(第4版のPDFで、見出しの〔一等〕に取消線が入っているのを確認しました)。古い教材をお使いの方は、ここを「一等だけの話」と飛ばさないようにしてください。

センサは「何を知る係か」で3つに分けると覚えやすい

原本の表は9つの機器が並んでいて、初見だと平坦に見えます。役割で束ねると、頭に入りやすくなります。

何を知るか 担当するもの 原理
どこにいるか(位置・高度) GNSS、高度センサ GNSSは人工衛星の電波。
高度は気圧センサ(歪みゲージで気圧変化を読む)、超音波センサ(音波の反射時間)、LiDAR(レーザー光=赤外線の反射時間)
どう動いているか(姿勢) ジャイロセンサ、加速度センサ、IMU ジャイロは回転角速度、加速度センサは加速度。IMUは3軸のジャイロ+3方向の加速度センサで3次元の角速度と加速度
どちらを向いているか(方位) 地磁気センサ 地球の磁力を検出して方位を測る

そして、これらをまとめて機体を制御するのがメインコントローラー。指令を出すのが送信機、受け取るのがレシーバーです。「知る」「決める」「伝える」の3段だと思うと、表の並びに意味が見えてきます。

紛らわしいのはジャイロと加速度センサです。ジャイロは回転(単位時間当たりの回転角度の変化)、加速度センサは並進(直行3軸方向の運動=速度の変化量)。「回るのがジャイロ、進むのが加速度」と口に出して覚えるのが、私の生徒さんにはいちばん効きます。

教則がさらっと書いている「キャリブレーション」

センサ類は、キャリブレーションを必要とするものが多いため、各機体で指定された方法で、キャリブレーションが正しく行われているかを常に注意する必要がある。

キャリブレーションはセンサの目盛り合わせです。とくに地磁気センサは、鉄骨や鉄筋、車、電柱、金属の柵などの近くで基準がずれます。飛ばす場所が変わったとき、機体を長く動かしていないときは、機体の説明書に従って合わせ直す——教則が「常に注意する」と書いているのは、そういう意味だと読んでいます。

バッテリーの4つの単位を、実際の数字で計算してみます

電圧・出力・容量・エネルギー容量。名前が似ていて混ざりやすいので、1本のバッテリーで通して計算してみます。よくある産業機のバッテリー(6セル・容量16Ah)を例にします。

用語 計算 意味
電圧(V) 3.7V × 6セル = 22.2V セル当たりの電圧×セル数。残量が減ると下がる
容量(Ah) 16Ah(電流×時間) 満充電から終止電圧までに取り出せる電気の量
エネルギー容量(Wh) 22.2V × 16Ah = 約355Wh 容量に電圧を掛けたもの。持っている仕事の総量
出力(W) 22.2V × 40A = 約888W いま出している力。単位時間当たりのエネルギー量

この4つの関係は、「容量=タンクの大きさ、出力=蛇口の太さ、エネルギー容量=入っている水の量」と考えると混ざりません。そして電圧は水圧。減ってくると、同じ勢いを出すのに蛇口をもっと開けなければならなくなります。

教則がこう書いているのは、まさにその話です。

出力を一定に維持しようとする場合、電池残量が少なくなると、放電時電圧が低下するため、必要となる電流は増大する。

飛行の終盤ほど、同じ飛び方をしていても電流が増えて、バッテリーへの負担が大きくなる。「最後の1割は使わない」という現場の習慣には、こういう裏づけがあります。

もう1つ。放電(飛行)中の電圧降下は、バッテリーの内部抵抗によって決まると書かれています。だから急上昇のように大きな電流が流れると、一時的に電圧が落ちて残量が急に減ったように見えるのです(教則はこれを4.4の「リチウムポリマーバッテリーの特徴」で説明しています)。慌てて降ろす必要はないけれど、そういう挙動をすると知っておくかどうかで、現場の判断は変わります。

充電率だけ、単位が「割合」です

表の5行目の充電率だけは、電圧や容量と性格が違います。現時点で放電できる電気量 ÷ 満充電時に放電できる電気量の比率で、0%が仕様上の完全放電、100%が満充電。

ここで押さえておきたいのは、「仕様上の」という言葉です。0%は電気が空っぽという意味ではなく、これ以上使ってはいけないと決められた線。そこを越えると過放電になって、劣化が一気に進みます。

モーターとESC——回転数を作っているのは誰か

教則が挙げるブラシレスモーターの特徴は3つ。メンテナンスが容易(内部の清掃やブラシの交換が不要)、静音、長寿命。ブラシという擦れる部品が無いので、消耗しないし静か、という理屈です。

そして忘れやすいのがローターの形状。

ローターは通常回転方向(時計回転(CW:クロックワイズ)/反時計回転(CCW:カウンタークロックワイズ))に合わせた形状となっており、モーターの回転方向に合わせて取り付けるよう注意が必要である。

プロペラには向きがあります。逆に付けると、回っていても揚力が出ません。前回・前々回で見た「回る向きの違うローターで反トルクを打ち消す」という設計とセットで覚えてください。交換したあとの取り付け向きは、日常点検で見る場所です。

ESC(エレクトロニックスピードコントローラー)は、そのモーターの回転数を制御する部品です。前回までに読んだ「回転数の差で機体を動かす」という話——その回転数の差を実際に作っているのがESCだと分かると、部品の並びがひとつながりになります。

モード1とモード2——ここが実技の入口です

送信機のスティックの割り当てはモードによって違います。教則の記述を表にしました(回転翼航空機の場合)。

名前 機体の動き スティック
スロットル ローターの推力(揚力)の増減=上昇・降下 モード1は右の上下/モード2は左の上下
エレベーター ピッチ方向=前後移動 モード1は左の上下/モード2は右の上下
エルロン ロール方向=左右移動 モード1・モード2とも右の左右
ラダー ヨー方向=機首の左右旋回 モード1・モード2とも左の左右

整理すると、違うのは上下方向の2つ(スロットルとエレベーター)だけで、左右方向の2つ(エルロンとラダー)は同じです。ここに気づくと、一気に覚えやすくなります。

飛行機の場合も割り当ては同じですが、意味が変わります。スロットルは推力の増減=速度変化(回転翼は上昇・降下)、エレベーターはピッチ方向=上昇・降下(回転翼は前後移動)。同じスティックでも、機体の種類が違えば起きることが違う——第4章の入口で読んだ話が、ここでもう一度出てきます。

リチウムポリマーバッテリーの扱いは「膨らませない」に尽きます

教則が挙げる注意点は5つです。

  • 充電器は満充電になると充電を停止するが、過充電となる場合がある
  • 過放電や過充電を行うと、急速に劣化が進み、寿命が短くなる
  • 過放電や過充電の状態では、通常利用時よりも多くのガスがバッテリー内部に発生し、バッテリーを膨らませる原因となる
  • 強い衝撃を受けた場合、発火する可能性がある
  • 短絡した場合、発火する可能性がある

そして複数セルのバッテリーでは、セル間の充電量のバランスを補正しながら充電することが重要とされています。バランスが崩れたまま充電すると、セルによっては過放電になる——同じ電池のはずなのに、中で1つだけ痛んでいく、ということです。

膨らんだバッテリーは、すでに中でガスが出ている状態です。教則は別の節(4.6)で「早めに交換」としています。もったいないと思って使い続けない——ここは強くお伝えしたいところです。

この節の部品は、そのまま日常点検の項目です

最後に、いちばんお伝えしたい対応を置いておきます。国土交通省が出している飛行日誌の様式2「無人航空機の日常点検記録」には、点検項目が9つ並んでいます。その9つが、この節で読んだ部品とほぼ一対一で対応します。

日常点検記録の項目 見るところ 4.4のどこ
機体全般 機器の取り付け状態(ネジ、コネクタ、ケーブル等) ——
プロペラ 外観、損傷、ゆがみ ローター(プロペラ)。向きも確認
フレーム 外観、損傷、ゆがみ ——
通信系統 機体と操縦装置の通信品質の健全性 送信機・レシーバー
推進系統 モーター又は発動機の健全性 モーター、ESC、エンジン
電源系統 機体及び操縦装置の電源の健全性 バッテリー
自動制御系統 飛行制御装置の健全性 フライトコントロールシステム、各種センサ
操縦装置 外観、スティックの健全性、スイッチの健全性 送信機
バッテリー、燃料 バッテリーの充電状況、残燃料表示機能の健全性 バッテリー、エンジン(燃料)

「9項目を覚える」のではなく、「機体の構成を理解していれば、点検項目は自然に出てくる」という順番です。逆に言うと、日常点検を毎回きちんとやっている方は、この節の内容をもう体で知っているということでもあります。

この回の数字まとめ

  • この節の〔一等〕は2か所(送信機の信号/機体の故障や事故の分析)。バッテリーの電気的なトラブルは二等の範囲
  • IMU=3軸のジャイロセンサ+3方向の加速度センサで3次元の角速度と加速度を検出。メーカーによっては気圧センサを含む
  • 高度センサ=気圧センサ(歪みゲージ)/超音波センサ(音波の反射時間)/LiDAR(レーザー光の反射時間)
  • 電圧=セル当たりの電圧 × セル数。リチウムポリマーは1セル3.7V
  • 出力(W)=放電時電圧 × 電流/容量(Ah)=電流 × 時間/エネルギー容量(Wh)=放電時電圧 × 電流 × 時間
  • 充電率=0%が仕様上の完全放電、100%が満充電
  • 電圧降下はバッテリーの内部抵抗によって決まる
  • ブラシレスモーターの特徴=メンテナンスが容易・静音・長寿命
  • モード1とモード2で違うのはスロットルとエレベーター(上下方向)だけ。エルロンとラダーは共通
  • リチウムポリマーの注意=5つ(過充電の可能性/過放電・過充電で劣化/ガスで膨らむ/強い衝撃で発火/短絡で発火)
  • 日常点検記録(様式2)の点検項目=9つ

おわりに

用語の多い節ですが、覚え方は「役割で束ねる」に尽きると思います。センサは「どこ・どう・どちら」の3つ。バッテリーは「タンク・蛇口・水圧」。送信機は「上下の2つだけモードで入れ替わる」。丸暗記の対象が、意味のかたまりに変わります。

そして、この節を読み終えたら、ぜひ手元の機体をもう一度眺めてみてください。プロペラの向き、コネクタの差し込み、バッテリーの膨らみ。教則に書いてあることは、全部その機体の上にあります。日常点検の9項目は、そのための地図です。

次回は「4.5 無人航空機の機体以外の要素技術」。機体の外側——通信、位置、そして自動航行の話に入っていきます。

出典

  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」令和8年7月7日公布・令和8年7月14日適用
  • 国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則」令和7年2月1日第4版(「リチウムポリマーバッテリーに関わる電気的なトラブル」の〔一等〕に取消線が入っていること、電圧降下の記述の変更を確認)
  • 国土交通省航空局安全部無人航空機安全課「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」令和4年12月1日制定、および(様式2)無人航空機の日常点検記録(点検項目9つ)

本記事の内容は2026年8月時点のものです。バッテリーの計算例は、教則の求め方に一般的な機体の値を当てはめてこちらで計算したもので、教則に載っている数値ではありません。実際の機体の仕様は、お使いの製品の説明書でご確認ください。

この章を、問題で確認する

ここは学科試験では「無人航空機のシステム」の分野にあたります。読んだ直後に解くと、取り違えていた箇所がその場で分かります。

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