ドローンを飛ばすなら避けて通れないのが、国土交通省のDIPS2.0(ドローン情報基盤システム2.0)。機体登録・飛行許可承認申請・飛行計画通報・技能証明手続きまで、ほぼすべての行政手続きがここに集約されています。
……が、実際に触ってみると「エラーの意味がわからない」「なぜか先に進めない」という“詰まりどころ”が山ほどあります。
この記事では、登録講習機関の修了審査員として現場や受講生からよく相談を受ける DIPS2.0の困りごとを、症状・原因・対処のセットで25項目に整理しました。目次から自分の症状に近いものへ飛んで使ってください。
1. ログイン・アカウント編
1-1. そもそもログインできない
症状:IDとパスワードを入れてもログインできない。新規登録しようとすると弾かれる。
原因:DIPS2.0は旧・機体登録システム(DRS)を土台に、旧DIPS・旧FISSを統合したもの。ログインは機体登録システムのID/パスワードで行う仕様です。旧DIPS用のIDと混同しているケースが非常に多い。
対処:機体登録システムで使っていたアカウントでログイン。新規作成時に「メールアドレスが使用されています」と出る場合は、過去に自分(または家族・会社)が同アドレスで開設済みの可能性が高いので、ID確認・パスワード再設定から進めます。
1-2. 法人でgBizIDが使えない
症状:法人アカウントでgBizIDログインしようとするとエラー。
原因:gBizIDの種別が「エントリー」だとDIPS2.0に非対応。
対処:gBizIDの種別をプライムまたはメンバーにする。あわせてgBizID側のパスワード期限切れ・メンテナンス情報も確認を。
1-3. 通知メールが届かない
症状:申請したのに審査状況やログインID発行のメールが来ない。
原因:迷惑メールフォルダ振り分け、またはドメイン受信拒否設定。
対処:information@dips.mlit.go.jp からのメールを受信できるようドメイン指定受信を許可。迷惑フォルダも確認。届かない場合は再申請。国家資格の学科・実地試験申込にもメールが必須なので、アドレスは1つに統一しておくのが吉。
1-4. 未成年でも使える?
症状:家族名義や年齢で使えるか不安。
対処:未成年でも利用自体は可能。ただし手続きの主体・責任の考え方は用途によるので、業務利用は基本的に保護者・法人単位で整理しておくと安全。
1-5. 入力中に60分放置したら消えた
症状:申請書を作っている途中で席を外したら、やり直しになった。
原因:60分以上操作しないとセッションが切れる仕様。これはバグではなく、離席中に第三者に画面を見られて個人情報が漏れるのを防ぐ保護機能です。
対処:機体情報・本人確認書類・飛行内容は事前に揃えて一気に入力。長くかかりそうなら途中保存(後述3-7)を活用。
2. 機体登録編
2-1. 機種・型式がリストに無い
症状:メーカー名や型式を選ぼうとしてもデータベースに出てこない。
原因:DIPS2.0のDBに型式情報が未登録のメーカー・機種。新製品はメーカー側の型式情報登録が遅れていることも。
対処:「その他」または「自作」を選んで手動入力。製造者名の表記ゆれに注意(例:DJI と Dji が別扱いになることがある)。
2-2. 本人確認(マイナンバーカード)でつまずく
症状:マイナンバーカード連携の段階で進めない。
対処:ICカードリーダー、またはスマホのマイナポータル読み取りを事前に準備。カードの署名用電子証明書のパスワード(英数字6〜16桁)を忘れていると詰むので事前確認を。過去に国交省側で番号取得エラーの障害が発生した実績もあるため、うまくいかない時は公式「お知らせ」で障害情報をチェック。
2-3. 中古機のシリアルが「既に登録済み」
症状:製造番号を入れると「別のアカウントで登録済み」エラー。
原因:中古で購入した機体で、前の所有者が登録を抹消していない。
対処:前所有者に登録抹消(または所有者変更手続き)を依頼。連絡が取れない場合はヘルプデスクへ相談。
2-4. 写真がアップロードできない
症状:本人確認書類や機体写真のアップロードで弾かれる。
原因と対処:
- HEIC形式(iPhone標準)は非対応のことがある → JPEG/PNGに変換
- ファイルサイズ超過 → 解像度を下げる・圧縮(目安2〜5MB以内)
- PDFやBMPも不可のことがある → JPEGへ変換
2-5. レンタル・リース機が登録できない
症状:借りている機体を申請画面で選べない。
原因:DIPS2.0では登録申請済みの機体しか表示されない。所有者が自分でない機体はそのままでは扱えない。
対処:所有者側から「他アカウントへの機体情報の提供」機能で機体情報を提供してもらう。レンタル・リース事業者はこの手間が発生します。
2-6.【要注意】更新忘れで登録抹消 → 記号変更&リモートID再設定
症状:気づいたら登録が失効していた。
原因:機体登録は有効期間3年。2022年6月20日以降に登録した機体は初回更新期限が集中する時期があり、更新忘れが起きやすい。
対処:期限の前もって更新。失効して新規登録し直すと登録記号が変わり、免除されていた外付けリモートID機器の搭載が必須になるリスクがあります。保険会社からの更新案内メールも良いリマインダーになります。
3. 飛行許可・承認申請編 ※つまずきの本丸
3-1.【最重要・2025年運用強化】登録手続き中の機体は許可申請できない
症状:申請画面で機体を選ぼうとしても出てこない/選択できない。
原因:2025年6月13日に国交省が運用を明確化。機体登録に関する手続き中(有効期限更新中を含む)の機体は、DIPS2.0で飛行許可・承認申請ができなくなりました。ステータスが「審査中」「修正依頼中」「受付中」の機体は選択不可。
対処:ステータスが「登録完了」「更新完了」の確定状態の機体だけが申請対象。講習修了後すぐ新機体で申請したい人は、講習前に登録申請を済ませておくのが安全。登録未完了のまま申請してしまうと、審査停止や許可取消しの可能性もあります。
メニューの「申請状況確認/取下げ/支払い」から機体ステータスをリアルタイムで確認できます。
3-2. 包括更新で「申請可能な機体として登録されていない機体が含まれる」
症状:全国包括の更新ボタンを押すと、このエラーで更新できない。
原因:エラー文言からは読み取りづらいですが、真因は含まれている機体の登録(機体認証)有効期限切れであることが多い。3-1と同根です。
対処:まず該当機体の機体登録の有効期限を更新(更新完了ステータスにする)。その後に包括更新へ進むとエラーが消えて審査中に進みます。慌てて新規申請を作ると、目視外基準や飛行理由の指定でさらに沼るので順序に注意。
3-3.「適合基準が申請基準を満たしておりません」が消えない
症状:機体の「追加基準」を入力しても、エラーメッセージが画面から消えない。
原因:システムの仕様上、追加基準を入れてもその場ではエラーがすぐ消えないことがある。
対処:一度「登録」ボタンをクリックし、「機体情報一覧・選択」画面が閉じればOK(正しく登録されています)。画面が閉じず再びエラーが出る場合は入力が正しくないので、追加基準の内容を見直します。
3-4. 目視外・夜間の基準を満たさず弾かれる
症状:目視外や夜間を含めて申請すると差し戻される。
原因:選んだ機体が当該飛行方法の適合基準を満たしていない(例:目視外飛行の要件を満たさない機体)。
対処:機体側の要件を確認。要件を満たさないなら該当飛行方法を外して申請するか、対応機体に変更。
3-5. 飛行理由によって「指定地域の指定」を求められる
症状:飛行理由に特定用途を書くと「指定地域を指定しないと審査を通せない」と返ってくる。
原因:一部の飛行目的は、飛行させる地域を具体的に指定しないと包括では通らない扱いになる。
対処:地域を具体指定して申請し直すか、対象の飛行理由を外して包括を通す。用途に応じて個別申請と包括申請を使い分けます。
3-6. 氏名エラー・規約チェックが入らない
症状:氏名入力でエラー、または利用規約のチェックが入らず先に進めない。
対処:
- 氏名 → 全角/半角スペースの混在を統一
- 規約チェック → 最後までスクロール+飛行ルールのリンクをクリックしないと有効化されないことがある
- 法人番号 → 個人事業主は指定の桁(例:
00000000)の扱いを確認
3-7. 作成途中で画面が消えた/タイムアウトした
症状:申請書作成の途中で画面が落ちて、最初からやり直しかと絶望。
対処:やり直し不要。「飛行許可・承認メインメニュー」→「申請書一覧」→作成途中の申請書の「照会編集」で、途中から再開できます。
3-8. いつ出せばいい? 提出タイミングの目安
症状:飛行日直前に申請して間に合わない。
対処:審査には時間がかかるため、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前(土日祝除く)までに提出。実務では不備による差し戻しも見込んで3〜4週間の余裕を持たせるのが安全です。
4. 飛行計画通報編
4-1. 通報漏れは罰金対象
症状:飛行計画の通報を忘れて特定飛行してしまった。
リスク:飛行計画の通報をせずに特定飛行を行うと、航空法第157条の10により30万円以下の罰金の対象。許可承認を取っていても、飛行計画の通報は別途必須なので混同注意。
4-2. 飛行計画の通報はいつまでに?
症状:いつ通報すればいいのか、先の日付でも登録できるのか分からない。
ポイント:法令上の期限は「特定飛行を行う前まで」。飛行計画の登録画面で開始日時を指定するので、先の日付の計画を前もって登録しておくこともできます(=前日しか入力できない、という制限はありません)。
対処:直前だとシステムメンテや入力ミスで間に合わないリスクがあり、通報後に国交省から計画変更を求められる場合もあります。実務では前日まで(できれば数日前)に通報を済ませておくのが安心です。
4-3. 賠償保険未加入でチェックエラー
症状:賠償保険の欄を空欄にすると先に進めない。
対処:未加入の場合は空欄ではなく、各項目を埋めて回避します。入力例:
- 保険会社名:なし
- 商品名:なし
- 補償金額:対人0円/対物0円
- 賠償資力:はい
※ただし総重量25kg以上の機体は第三者賠償責任保険の加入が義務。25kg以上を運用する人は「未加入で回避」はできないので注意。
4-4.「補助者人数が不十分です」と出る
症状:飛行範囲を広く(例:半径4kmの円)設定すると、補助者数が足りないと弾かれる。
対処:飛行範囲と補助者数のバランスを見直す。範囲を絞るか、必要な補助者数を確保して入力し直します。
4-5. 毎回入力が面倒 → コピー機能を使う
5. 飛行日誌編
5-1. 飛行日誌はどこまで、どう残す?
症状:飛行記録の付け方・保管がよくわからない。
ポイント:特定飛行を行う場合、飛行記録・日常点検記録・点検整備記録の作成が義務です。許可承認番号や飛行計画の通報番号は飛行記録とあわせて保管しておくと、事故時の調査や監査で役立ちます。
デジタル(アプリ・スプレッドシート等)での記録も認められており、現行のMLITガイドライン上、明示的な改ざん防止(タンパープルーフ)要件までは求められていないという整理です。ただし確実な作成・保管・提示は必要。
アプリ・オンライン保存でも様式1〜3の内容は必須。国交省ガイドラインでは、アプリやクラウドで記録・管理する場合も、取扱要領の様式1(飛行記録)・様式2(日常点検記録)・様式3(点検整備記録)に記載すべき事項が一括で参照・提示でき、各様式のような形で表示・印刷できることが条件です。項目に抜けがあると飛行日誌として認められない場合があるので注意。
6. 技能証明・国家資格編
6-1. 更新スケジュールを逃さない(1か月前が実質の締切)
症状:気づいたら技能証明の更新期限が近い/過ぎそう。
最重要(国交省公式):更新は有効期間満了の6か月前から可能。そして満了の1か月前までに、更新申請(更新交付申請)まで必ず完了させる必要があります。満了日の直前に申請したのでは間に合わず、失効します。ここが一番の落とし穴です。
対処:逆算で早めに動くのが安全。先に更新講習の受講・修了と身体適性検査を済ませ、その後DIPS2.0で更新申請します(一般的な目安として更新講習は満了の9か月前ごろから受けられますが、受付開始時期は登録更新講習機関により異なるため早めの予約を)。技能証明申請者番号の取得(マイナンバーカード利用)でエラーが出る場合は公式の障害情報も確認を。学科・実地・DIPS手続きすべてでメールを使うので、アドレス統一を推奨します。
7. システム・UI・ブラウザ編(まとめ枠)
細かいけれど地味に効く”あるある”をまとめて。
- 404 / 502 Bad Gateway が出る:ページが存在しない/サーバ側の一時エラー。国交省サイトの正規リンクからアクセスし直す、時間を置いて再試行。
- 推奨ブラウザ:Google Chrome・Microsoft Edge・Safariの最新版。Internet Explorerは非対応。挙動が怪しい時はキャッシュ・Cookie削除、拡張機能を一時無効化。
- 「戻る」ボタンで入力が消える:ブラウザの戻るは基本使わない。画面内のボタンで遷移する。
- メンテナンス時間帯:メンテ中は申請・登録・飛行計画通報がすべて停止。ログイン前の「お知らせ」で事前告知されるので、期限が迫っている手続きは早めに。
まとめ:DIPS2.0を制する3つの鉄則
長くなったので、詰まらないための要点だけ。
- 機体は「登録完了」ステータスにしてから申請(2025年運用強化の最重要ポイント。更新中の機体は選べない)
- とにかく早め(許可承認は3〜4週間前、飛行計画は飛行前まで=実務は前日までに、技能証明の更新は満了の1か月前までに完了)
- 消えても慌てない(申請書は「照会編集」で再開、飛行計画は「コピー」で使い回し)
この記事が、あなたの「DIPS2.0で30分溶かした……」を1つでも減らせたら幸いです。
本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。DIPS2.0の仕様・航空法・運用ルールは改正・更新されるため、実際の手続きは必ずDIPS2.0公式ポータルと国土交通省の最新情報をご確認ください。
登録講習機関講師 フライトデスク 監修



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